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僕が「創造性を解放する」というミッションにかける理由

こんにちは、株式会社Spir(スピア)の代表をしています大山です。2019年3月に創業し、日程調整を簡単にするカレンダープラットフォームを開発しています。

Spirのミッションは「創造性を解放する」です。今回は、このミッションがどのように決まったかについてご紹介したいと思います。

20年以上も心にひっかかるものがあった生い立ち

僕がSpirを起業することになったのは、ある日アメリカで働くためのVISAの更新が出来なくなったという外的な要因が発端で、事前にじっくりと準備をしていたわけではありませんでした。(起業の背景も長くなるのでまたどこかでご紹介します。)

起業するのであれば人生を賭けて実現したいことをテーマに据えたいと思い、まずはミッション、つまり「会社として社会で実現したいこと」を決めることから始めるべく、自分自身が実現したいことを改めて言語化するため、これまでの人生を振り返ってみました。

僕は、在日韓国人の父と日本人の母の間に生まれ、日本人として育てられてきました。教育も日本の学校に通っていましたし、未だに韓国語は話せません。ただ、幼い頃から在日韓国人のコミュニティと日本人のコミュニティという異なる文化を身近に見てきました。

幸いにも、僕自身はひどい差別を受けたりすることはなかったのですが、身近な父方の親族の話を聞いていると在日韓国人に対する偏見や不条理な歴史を実感することもありましたし、一方で在日韓国人コミュニティの方々が自分たち自身の価値観に囚われて苦労していることも目の当たりにしてきたこともあり、友人などにそんな素振りは見せていなかったと思うのですが、本当は自分自身のアイデンティティがどこにあるのか悩み、社会人になるまで自分の出自を胸を張って詳らかにすることが出来ませんでした。

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▲ 韓服を着せてもらっての祖父との2ショット

「悩み」が「強み」だと思えるようになった上海駐在

大学を卒業し、CDIというコンサルティングファームに新卒で就職したのですが、2011〜2012年に上海オフィス駐在という機会をいただき、人生で初めての海外での仕事と生活をしてみて、(日本と比べると)中国は圧倒的に厳しい競争社会であり、同僚やクライアントは高いビジネススキルを前提に複数言語をあたり前のように使いこなす人達ばかりで、どのように自分自身がチームマネジメントやプロジェクトマネジメントの中で価値を提供することが出来るのか非常に苦労しました。

その一方で、日系企業の方々をみると、(自分自身も含め)日本からの駐在員というだけで経済的に優遇されているのを目の当たりにすることも多く、実際の能力と処遇のギャップはたまたま自分が恵まれた環境によるものだと強く実感したのもこの時期でした。

ボーダレス化の進展する社会でビジネスパーソンとして通用するためには、ビジネススキルやナレッジのような表層的なものではなく、もっと根源的なリーダーシップを身に着けなければならないという強い危機感を感じ、どうすればそれが身に着けられるのかということを時間をかけて考えるようになりました。

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▲ CDI-Chinaの同僚の結婚式での集合写真

コンサルティングの仕事をする中でも、クライアント企業内に坂本龍馬のような改革派のキーパーソンが存在するかどうかがプロジェクトの成否に大きく関わると言われていたのですが、僕自身が尊敬するリーダーシップを発揮している方々を思い浮かべてみても、他人への深い受容性を持ちつつ、自分のブレない信念を持っているという共通点があります。

そして、一見すると相反するこの2つの要素を両立している人は、何らかの「マイノリティ経験」を乗り越えていることが多いのではないか?ということに思い至りました。

ここでの「マイノリティ」とは、国籍や性的指向だけでなく、家庭の経済状況が逸脱していたり(貧困側にも富裕側にも)、家族が特定の宗教を信仰していたり、身近に障害のある方がいたり、などといったようなことにも当てはまる、自分のあたりまえが周囲の多くの人のあたりまえとは異なるという状況に直面することです。

マイノリティ経験により、自分と他人は同じではないという環境がスタート地点となり、互いの違いを心から尊重し合うコミュニケーションの土台が作られます。その上で、自分の内面と徹底的に向き合い、揺るぎない本当の自分を形成していくことができるのではないでしょうか。

このような考えに辿り着いてから、自分自身が悩んできた生い立ちは、幸運にも思春期という自我を形成する時期にマイノリティな立場を経験する機会となり、誰でも自分と同じひとりの人間として尊重することや、周囲の目に囚われずに自分らしさを見つけることの重要性を無意識のうちに気づかせてくれたのではないかと思えるようになりました。

誰かの「あたりまえ」から解放されることの力

このような経緯から、その後の僕の人生はマイノリティ経験というコンセプトが頭の片隅にずっとあり、コンサルティングファームを退職した後、世界中を放浪する旅に出てみて、様々な異文化を体験してみたり、国際的な教育団体でのボランティア活動に取り組んでみたり、前職のユーザベースでは、SPEEDA事業で日本やアジア各国でのプロダクト開発や事業開発、そしてNewsPicksの米国事業でのマネジメント経験を通じて、多様なバックグラウンドのメンバーがチームとしてパフォーマンスを最大化することに取り組んできました。

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▲ 教育団体でのサマーキャンプで引率リーダー達と

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▲ NewsPicks USAメンバーとのエクスカージョン

改めて、これらの活動から浮かび上がってくるキーワードを考えてみると、「マイノリティ」「ダイバーシティ」「ポテンシャルの最大化」「チーム/組織マネジメント」などにいつも自分の興味・関心が向いています。

そうであるならば、今回の起業はHR Techと呼ばれるような領域で何かやるのがよいのではないか?と考え、勉強会を開催したり、ユーザーインタビューなどをしながら事業構想を練っていたのですが、ミッションというには少し違うんじゃないかと、モヤモヤとした違和感をずっと感じていました。

そんな中で、ある日、アメリカにいる頃にハマっていたQueer Eye(クィア・アイ)というNetflixのリアリティー番組が日本版で放送されるという告知を発見しました。

このリアリティ番組は、ファッションや美容など様々な分野のプロフェッショナル5人組が、悩みを抱えるクライアントをビフォー・アフター的に変身させていくという内容です。クライアントの外見のプロデュースを通じて、実際には内面の解放・成長がもたらされていくのがこの番組の醍醐味です。このプロフェッショナル5人組は、全員がゲイなのですが、周囲からの抑圧の中で本当の自分らしさに向き合ってきた彼らの言葉は、クライアントの悩みの本質が「他人の価値基準」に従って生きていることだと気付かせ、それを乗り越えて本当の自分らしさに向き合うことを助けます。最後に変身を遂げる場面ではどのクライアントも「本当の自分になれた!」と感謝するのです。

日本版が公開されたので、楽しく見ていたのですが、それに出演するクライアント全員が「これまでこんなに自分らしくいていいんだと思えたことがなかった。」と涙を流して感謝していました。(海外版でもみんな喜び・感謝するのですが、泣いてしまうということはほとんどありません。)

これを見て、「ああ、僕のやりたいことはこれだな」と全てが繋がったという感覚を得ました。これまでの活動は全て、他人の価値基準で良しとされている物事を乗り越え、真に自分らしく生きることで得られるパワーに、僕は惹かれていたのです。

誰かの価値基準である「あたりまえ」に囚われないとは、すなわち創造的であると僕は考えます。創造性は「あたりまえ」の抑圧から本当の自分らしさを解放している状態のときに訪れるのです。他人の「あたりまえ」から解放されることを通じて、ビジネスの世界にも前例に捉われない創造性が生まれていく世界をつくりたい。この想いから「創造性を解放する」という会社のミッションが生まれました。

ビジネスにおける出会いのイノベーションを起こす

ミッション「創造性を解放する」を事業を通じてどのように実現するか(いわゆるビジョン)にも触れておきます。

Spirでは「人と会う」ことを軸に、創造性の解放を目指します。これは、ユーザベース時代、偶然の重なりがもたらした出会いによって事業が飛躍したことが原体験となっています(より詳しく知りたい方は過去記事をご覧ください)。

創造性の要素の一つは「新しさ」です。ビジネスの世界では、創造性とは全く新しい発見というよりも、既知のもの同士を新しく結びつけることによって生まれるものだと思います。例えば、他業界で起きていることをアナロジーに発想してみる、様々な事象の共通点を概念化して新しい発見を得るなど、関係ないと思っていた物事を結び付けることから創造性は生まれます。

一見関係ないと思える物事を結び付ける秘訣は、同じ「あたりまえ」を持つ人同士で固まるのではなく、違う「あたりまえ」を持つ人からインスピレーションをもらうことです。HBRでもインスピレーションを得るためには新しい友達をつくることが推奨されていますが、僕もビジネスパーソンはとにかく社外の人に会うべきだと思います。常に違う視点に触れ続けることで、固定概念から自由になり、創造性を発揮できるのです。

また、創造性には「新しさ」に加えて「実際に行動を起こしている」という要素も重要です。新しいことであっても、頭の中で考えているだけではまだ世の中に新しさを生み出していません。「新しさ」と「実際に行動を起こしている」の二点がセットになって初めて創造性だと僕は思います。

現在、Spirでは日程調整を簡単にするカレンダープラットフォームサービスを提供しています。例えば久々に連絡を取った知人と「今度ごはんでも行きましょう」と口約束だけして何となくそのままになってしまった経験はありませんか?その場を逃してしまうと、忙しくなって他の予定よりも劣後してしまったり、時間が経って何となく切り出しにくくなったりするものではないでしょうか。僕たちのサービスは、日程調整のひと手間の負担を下げ、社外の人同士が気軽に会いやすくすることで「創造性を解放する」ことを目指します。いまは日程調整サービスですが、これを皮切りに今後もビジネスにおける出会いのイノベーションを起こしていきます。

Spirに共感してくれる仲間を探しています

Spirでは現在、創業期メンバーとしてエンジニアとデザイナーを絶賛募集しています。Spirのミッション・ビジョン・バリューに少しでも共感いただける部分があれば、まずはカジュアルにお話をさせていただき、より詳しく僕たちが何を目指しているかご紹介させていただければと思いますので、お気軽にDMなどでご連絡いただけたら嬉しいです。

Twitter: @s_oyama
Facebook: Shinsuke Oyama
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