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世界最大の音楽フェス!ただし開催場所は、、、?

Covid-19の影響で多くのイベントが中止を余儀なくされているが、音楽フェスティバルも例外ではない。

日本ではフジロック2020も中止が発表され、海外でもコーチェラやロラパルーザ、SXSWやワンダーランドなど主要イベントが中止、または延期を発表している。

こうしたイベントは毎年楽しみにしているファンたちが数多くおり、日々の生活の中でもある種光をもたらす存在がなくなることで、半ば絶望している人も少なくはないはずだ。

このような状況下で変わり種のフェスが開催されようとしていた。その名もRave Family Block Fest。開催場所は日本でもアメリカでもイギリスでもスペインでもない。オンライン空間の”Minecraft”だ。

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Rave Family Block Festとは

Block Festは今年から始まる新しいフェスで、”Rave Family”という有志のコミュニティが運営している。開催初年度にも関わらず900を超すアーティストがラインナップに名を連ね、海外の有名フェスにも引けを取らない。

有名どころで行くとDJのSteve AokiやA-Trak、テクノ界の大御所Carl Craig、テキサス出身のインディーロックバンドで日本でも人気上昇中のKhruangbin、お騒がせセレブで有名なParis Hiltonなど古今東西豊富なラインナップが揃っている。

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左からSteve Aoki、Carl Craig、Paris Hilton

そして最大の特徴は、なんといってもフェスにも関わらずすべてがMinecraftのオンライン上の空間で完結すること。参加費10ドルを支払えば、アーティストのパフォーマンスの視聴はもちろん、会場となるMinecraftの仮想空間を自由に行き来できる。

アーティストのパフォーマンスを視聴する際は、運営から発行されたコードを使ってMinecraftの世界にアクセスできる仕組みだ。(アーティスト一人ひとりにサーバーが割り振られ、特別にBuildされている。)

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画像右下の女性が主催者のJackie McGuire

革新的な試み

ここまで読むとInstagramやYouTubeなどのプラットフォームでアーティストたちがストリーミングしていることと何が違うのかと思う方もいるかもしれない。
確かに今までアーティストがオンライン上でパフォーマンスを行い、投げ銭などで対価を支払うようなサービスは存在した。

しかし筆者はBlock Festが3つの点で大きく異なり、より革新的だと考えている。

まずは、初めてオンライン上で「フェス」だと宣言したイベントであること。パフォーマンスのオンライン配信自体は珍しいものではないが、ここまでのアーティスト数を集めた試みは今までなかった。また、よくあるInstagramやYoutubeなどではなく、あえてMinecraftで配信することにも注目したい。現実のフェスでしか体験できない他者との交流や一体感などをアバターを通じて再現しようとしており、これまでに例のなかったことだと言える。

次に、オンラインでしか実現できないアーティストたちの「質」と「量」がずば抜けている点。例えば世界でも有数のフェスであるフジロックでの出演者数は3日間で延べ250組ほど。アメリカのコーチェラでも約100組だが、先に触れたようにBlock Festの出演者数は900を超える。

これはビジネスモデルにもよるところがあり、実際にオンサイトで行われるフェスになると、アーティストに対する報酬はもちろん、移動費や滞在費、会場の設営費や運営にかかる人件費など莫大な経費がかかってしまう。対してオンラインで行われるフェスには、当然移動費や設営費、人件費もほとんどかかってこない。そのためBlock Festでは初年度にも関わらずこれほどまでの豪華なラインナップを揃えることができたと考えられる。

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Glastonbury Festival

そして最後に、”Rave Family”がビジョナリーかつかなり本気で運営を行っている点が挙げられる。このようなイベントを行う際、運営は当然本気だと思うかもしれない。

しかし世界を見ると意外とそうではない。その最たる例が、FYRE FESTIVALだ。Netflixのドキュメンタリーも出ているため詳細は割愛するが、派手な宣伝を行って資金を集めたものの、杜撰な運営により出資者やチケット購入者を欺いてしまうような事例は少なくない。

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世界的インフルエンサーを活用した派手なプロモーションを行ったが、大失敗に終わったFYRE FESTIVAL

今後に向けて

残念ながら今年のBlock Festは技術的問題により延期になってしまったが、イベントのサイト上には主催者の声明文があり、彼らの覚悟が伺えるものだった。(以下声明文抜粋)

”We have decided to postpone the event, while still leaving our festival and camping open for the people who have been enjoying them for the last few days. Many artists have indicated that they still want to have their music in-game, and with more time – and hopefully sleep – We will be in a better place to fully deliver the festival everyone deserves. I want to be clear that this was never meant to be a one-time event, but rather the start of movement.”

「私たちはイベントを延期することを決定しましたが、ここ数日楽しんでいただいている方々のために、私たちのフェスティバルとキャンプはまだオープンにしています。多くのアーティストが自分たちの音楽をゲーム内で演奏したいと言っていますが、もっと時間があれば、そして願わくば睡眠時間があれば、みんなが望むフェスティバルを完全に提供することができるでしょう。これは決して一度きりのイベントではなく、ムーブメントの始まりだということをはっきりさせておきたいと思います。」

思い返せば、今や日本で絶対的な地位を築いたフジロックも初開催の際は地獄のような環境のため中止を余儀なくされたという歴史がある。それが今や「伝説の第一回」と呼ばれるようになり、多くのファンに愛されるフェスになっている。

また、彼らは収益のほとんどをアーティストに還元することを宣言しており、派手な営利目的というよりは新たなコミュニティを創造したいという想いが現れている。このような一大イベントは一筋縄にはいかない。

ぜひともまたチャレンジして、新たな体験を私達にさせてほしい。彼らの動向にこれからも注目したい。

この記事を書いた人

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Shawn(ショーン)
学生時代は3社のスタートアップでインターンを経験した後に外資コンサルに新卒入社。大学では経済学専攻。趣味は旅行とDJ。好きな映画はデビッド・フィンチャーの「Fight Club」。
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