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夏目漱石の時代

 家庭教師で文学史を教えていて、夏目漱石を教える時に、漱石が留学していた当時、イギリスで流行していたという「ラファエロ前派」が出てこなくて、とても困った。

 ここ8年ぐらい現代文を教えていなかったので、雑学の類がかなり吹っ飛んでいて、固有名詞が出てこないのはもちろん、内容もあやふやになっていた。

 ラファエロ前派については、結局、電子辞書で「前派」から逆引きして、事なきを得た。

 家に帰って、昔に買った図録を見たら、『Victorian dreamers master pieces of neo-classcal and aesthetic movememts in Britain』だった。
 ?ちょっと違わないか?
 フレデリック・レイトン卿のナウシカは、昔、絵葉書を持っていた。ブレスレットやエレジーも好きだった。孤独、山の精も。
 エドワード・バーンジョーンズは、ちょっと独特だけれど、外せない。
 ムーアのアカシアも好きだった。
 ウォーターハウスはちょっと怖い。

 しかし、この図録には、レイトン卿の大理石の上に毛皮を敷いて横たわる女性の絵や、誰の絵だったか忘れたか、魔法使いが冬の庭園中に花々を咲かせる絵がないので、ラファエロ前派の図録がもう一冊あるはずということが分かった。
 そう言えば、昼寝をしている若い女性を両側から扇で二人の女性があおぐ、とても美しい、大きな絵を母と観ている時、「この絵は運搬の間に亀裂が入り、一生懸命修復したんですよ、どうですか?分かりますか?」と男性に声をかけられた。母と行った展覧会は、母が図録を買っていたので、その図録は母宅にあるかもしれない。

 夏目漱石自身は、絵については、『永日小品』か『硝子戸の中』のどちらか(何故か文庫本が見つからない。持っていないのかもしれない。小中学生の頃、読んでいたのは川端康成監修の子供用の全集。結局、検索をかけたら『永日小品』だった)に、モナリザの複製画の話を書いているから、全く興味がなかったわけでもなさそうだ。

 もちろん漱石は、山中の庵の水墨画の掛け軸の方が良かっただろうけれど。

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