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留学生の詩

世界は写真よりも面白かった
そして気づいた、私は
詩を書くほどの主体ではないと
私には自分の直感とそれを通した世界の方が
脳内に蓄積する独白よりよっぽど面白かった
悩んでいる自分より
解決しない世界の方が現実的だし
私の頭は悩んでも悩んでも
平凡以上の、既成以上の成果を残さず
文字には誰かの血と汗の匂いがして
私はただのフィルターでしかなかった
それを19になるまで気づけなかった
そうしてまたいつの間にか
詩が書けなくなっていた
直感と経験が先走るメモワールは
よっぽど活き活きとして見えた
自分がこれまで課していた
文字制限をやめてみよう
音の制限をやめてみよう
これで書けるかもしれない
私の詩にある特徴を全て取り払うに等しいけれど
私の文字並べが面白いと、誰か
いつか思ったりするのだろうか
その前に私は自分の詩を
人に見せなければいけないのだろうか
こんなだから世界は面白くない
結局文字は人間にしか読めなくて
結局言葉は伝えないと何もならない
文字より言葉より面白い文化的生活を
人間は送っているというのに
予想より結果より強烈な衝突と調和を
人間は目にしているというのに
世界は私の言葉遊びよりも
よっぽどドラマチックで嘘みたいなのに
自分の言葉を自分が一番
楽しんでいないし楽しみにしていなかった
ただ全て書き出すことと考えることを
これまでの習慣が生産的と捉えているだけで
私の生活は環境が変われば何一つ守られず
私のルールは居場所が変われば少しも機能しない
詩が書けないのは地に足をつけて
言葉より奥で脊髄が機能している証拠か
誰だって脳みそは輝かない
手と足と陰こそが美しい
世界は黙々と仕事を続けていて
自分は何をしても部外者であって
そろそろそれに耐えられなくなって
子供時代を「切り上げて」いくのだろう

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