メロンとともに去りぬ

誰が好きなの?

──小学校高学年の頃に、そんな会話をしたときに、相手が意中の人の名前を言うのが嫌だったのか「ヒントは、スイカとメロンの名産地」と答えた。

で。「ああ、植木さんかぁ……」と速攻当てたら、頭を叩かれたのを思い出した。

当てられるはずがないと思っていたんだろうけれど、その名産地の場所、僕の祖父母が住んでいて当時1〜2週間に1度は行っていたぐらいだし?

そんなエピソードを思い出したのは、手元にメロンがあるからか。

祖父母が作っていて、そもそも僕はメロンが好きだった。
作られていたのは網目模様ではない、ホームランとかキンショウとか。網目模様よりはメジャーではないと思う。手元にあるのは色合いからホームランだな。

もっとも祖父は既に亡く、メロンも作られなくなって久しい。

祖母は生きているけど、1年に1度、正月頃に顔見せに行くぐらいか。おそらく母が居なくなれば、それも終わるだろうなと思っている。
そこには叔父が住んではいるけれど、連絡を取る必要性がない。
同じ歳の従兄弟はいても、そちらも、改めて仲良くということもない。

会えば会話はするだろうけれど。

希薄。

まあ、その通りだ。

けれど──これは、どうなれば正解だったのだろう?
改めて考えても、こちら側に正解はないように思える。
希薄にならなかった未来なんて、頑張っても思い描けない。

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