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脱・ホワイトペーパー

この記事は、フィードフォースグループAdvent Calendar2021の8日目です。

昨日7日目は、アナグラムのクリエイティブチームリーダー仙波さんの「アナグラムブログの執筆を通して得られた5つのこと」でした。ちょうどこれから会社のブログをがんばるぞ!というタイミングだったので、こちらを読んでポジティブな気持ちになりました!

突然ですが、株式会社ソーシャルPLUSは、2021年9月株式会社フィードフォースより分社化し新たに営業開始した会社です

私自身は、ソーシャルPLUSがローンチされた2012年4月フィードフォースに新卒入社し、その後紆余曲折ありソーシャルPLUSチームに所属して、この度分社化というわりと珍しい機会にめぐりあい、感慨深いなぁと目を細めていたのですが、一方でちょっと目を見開かなきゃいけない現実がありました。

リード獲得の手段として、長年作成・公開していたホワイトペーパーをやめたいと思ったのです。その理由と、やめることのメリット、懸念、それを踏まえて今後どうしていきたいかという思いを、今回は書いてみます。

そもそもホワイトペーパーとはなんぞや

そんなの知っとるわ、という方はこの章は読み飛ばしてください。

BtoBマーケティングの定番施策のひとつが「ホワイトペーパー」です。自社の見込み顧客が抱えている課題に対する解決策や参考情報をまとめた資料(ホワイトペーパー)を用意し、ダウンロードフォームに会社名や氏名、電話番号、メールアドレス等を入力するとダウンロードして閲覧できる、というものです。
ホワイトペーパー提供企業は、問合せには至っていないけど、自社サービスに関心を持つ可能性のある見込み顧客のリードを集めることができます。

サービスへの問い合わせ数を急に増やすことは難しいですが、ホワイトペーパーのダウンロード件数はコンテンツ次第で大幅に増やすことができるので、直接電話やメールでアプローチできる見込み顧客を増やしながら、結果的に問い合わせや商談、受注の増加につながると考えられます。

ホワイトペーパーをやめたいと思った理由

チーム体制と重視する指標の変化

ソーシャルPLUSにはかつてインサイドセールスの体制がありました。が、その後プロダクトのフェーズやチーム編成が変化していく中で、インサイドセールス専任担当は不在となり、少人数のセールスメンバーが効率的に商談・受注を獲得していくため、ホワイトペーパーのダウンロード件数よりも直接のお問い合わせ・資料請求をいかに増やすかを重視するようになっていきました。

ホワイトペーパーはメンテナンスコストが高い

ソーシャルPLUSでは、直近で12種類のホワイトペーパーを公開していました。その数のフォームとホワイトペーパーをメンテナンスするのは、なかなか負荷が高いです。

また、ホワイトペーパーのダウンロードがあると、CRM上に新規登録されたリードのメンテナンスも必要です。重複データが存在しないかチェックしたり、重複していた場合はマージしたり、必要に応じてデータの補完や修正をしたり…。ホワイトペーパーの場合、1日あたり数十件ダウンロードされることもあったりするので、数が多いとなおさら大変です。

ちなみに私はこうしたリードデータのメンテナンス処理を新人時代から9年ほどやり続けていたので、処理能力が無駄に高く、周囲から鉄人と呼ばれていました。

新しくブログを立ち上げる予定があった

ソーシャルPLUSでは新たにブログを立ち上げる予定がありました。フォーム登録必須のホワイトペーパーのように閉じた形で情報公開するよりも、誰でも気軽にアクセスできるブログで質の高い情報をカジュアルに公開していく方向に転換したいと考える中で、これからはホワイトペーパーの維持よりもブログの成長にリソースを割きたい、という思いがありました。

ちなみに、外向けに公開する情報はあえて限定的にし、「気になる人は問い合わせてください」とすることで、問い合わせ数を増やそうとするテクニックもあったりしますが、誰もがWeb上でくまなく情報収集するようになった今の時代、情報は隠すよりオープンにしていった方が、より多くの方に見ていただけて認知が広がりやすいし、お客様にとっても自分のペースで自由に情報収集してサービス導入の検討を進められるので、結果的にその後の問い合わせや受注につながりやすいのではないか?と考えました。

分社化とCRM移行

でも、なんだかんだいちばん大きな理由というか、大きなきっかけになったのは分社化と同時に進めることになったCRMの移行です。

CRM移行にあたり、ホワイトペーパーのダウンロードフォームも新CRM向けに移行する必要があったのですが、現状あまり注力していないホワイトペーパー用のフォームを新CRMの仕様にあわせて12個全部作り直すのは正直しんどいなと思いました。

しんどいですし、CRMの移行に向けて検証や新たな設計を議論していく中で、実はこの設計ってソーシャルPLUSとしては特に必要なかった!とか、このルールは省いてもいいんじゃない?とか、もっとシンプルで今のソーシャルPLUSに合った運用に変えていこう!という空気が自然と出来ていました。

分社化とCRM移行により、今まで当たり前と思っていたものから解き放たれ、より本質的な部分が見えるようになった結果、ホワイトペーパーは今の我々には必要ない、と確信するようになったんだと思います

…なんか長いですね、ちょっと休憩です。おいしいカレーの写真です。

落ち着くタイプのカレー。ハラヘッター

ホワイトペーパーをやめるメリット

ホワイトペーパーをやめることで、情報を発進する側である我々と、情報を探している潜在的なお客様と、それぞれにメリットがあると考えました。

情報発信の本質的なところに集中できる

まずソーシャルPLUSの立場としては、こんなメリットがあります。

  • 新規リードのメンテナンスコストが削減できる

  • ホワイトペーパーの新規作成・メンテナンスにあてる時間を、ブログ執筆やほかの新しい施策に使える

  • コンテンツはブログに寄せることで、

    • ちょっとしたテーマでも気軽に記事化できる

    • 情報発信できるメンバーが増える

    • 結果コンテンツ量が増やせ、公開スピードも上がる

    • 質の高いコンテンツ作りに注力できる

    • 関連情報にリンクさせやすい

    • 公開済みの情報の中にアップデートが必要な箇所があっても、ブログであれば比較的更新しやすいので、公開する情報の鮮度を維持しやすい

  • Web上にテキスト情報を多く公開するので、結果SEO効果も上がる(はず)

  • SNS上でのシェアをしてもらいやすくなり、認知の機会が広がる(誰にでも公開されているわけではないホワイトペーパーは拡散しづらいので)

ホワイトペーパーだとスライドの細かい調整などが煩雑で、余計に時間がかかってしまう部分が大きかったので、そこを排除することでもっとコンテンツの質にかける時間を増やせるようにするのは、情報発進する立場からすると大きなメリットになるんじゃないかと思いました。

本当に必要な情報に、自由にアクセスできる

情報提供の方法をホワイトペーパーからブログに寄せた場合、情報の受け手である潜在的なお客様にもこんなメリットがあるはずです。

  • いちいちフォーム入力せずとも、ほしい情報に手軽にたどり着ける

  • まだ情報収集の段階で個人情報を渡したくない場合でも、検討に必要な情報を閲覧できる

  • 営業前提ではない、本質的な情報を得やすくなる

  • その会社が発信する情報に触れる機会が増えることで、サービス導入検討する上で、本当に信頼できる会社か?カルチャーフィットするか?が判断しやすくなる

  • Web上に公開された情報であれば、関連情報リンクをたどって必要な情報にアクセスしやすくなる

「この情報気になるけど、ダウンロードしたら電話かかってくるのかな…ダウンロードやめとこうかな…」と懸念して、本当に必要な情報やサービスにたどり着けない、というのはお互い幸せじゃありません。そういう不幸なすれ違いを、なるべく無くしたかったです。

ホワイトペーパーをやめるデメリットは無いのか

いろいろメリットがあるとはいえ、ホワイトペーパーをやめるとなると確実にリード獲得数は減るので、その影響はゼロではありません。

そのため今回は、主に受注数、商談数、問い合わせ・資料請求の件数など、現在ソーシャルPLUSが重視している数字に影響するかどうかを過去データをもとに調査してみました。
結論、現在のソーシャルPLUSにとっては、ホワイトペーパーをやめても大きな悪影響はないと判断しました。

参考までに、主に調査したのはこのあたり。

  • 初期接点がホワイトペーパーDLだったリードのうち、何件が商談化・受注したか

  • ホワイトペーパーDL後のリードが問い合わせ/資料請求・商談・受注につながったか

  • ホワイトペーパーDL数の増減が問い合わせ/資料請求・受注に影響するか

ここで補足をしておきます。

ソーシャルPLUSにはインサイドセールスが不在で、最少人数のセールス・マーケメンバーで日々の業務を回しているため、リードの育成(電話でのフォローアップやステップメール、マーケティングオートメーションを活用したアプローチ等)に十分時間をかけられていませんでした。
ホワイトペーパーをダウンロードしたリードに対して、こういったアプローチをもっと徹底的にしていれば、ホワイトペーパーが問い合わせや商談、受注に影響した数字はもっと良くなっていた可能性はあるかもしれません。

だけれど、過去にできなかったことを振り返って体制作りと検証をしなおす時間と余力は現状の我々には無く、情報自体はオープンにしていくべきというスタンスを優先したかったという思いもあり、今回は前を向いて「脱・ホワイトペーパー」の可能性に挑んでみることに決めました。

とはいえ懸念はあったので対策は考えた

脱・ホワイトペーパーを実行するに当たり、懸念が一切なかったわけではありません。

たとえば、ホワイトペーパーをやめる分、単純にリード数は減っていくので、結果メルマガの配信対象が減り、潜在的なお客様との直接的かつ継続的なタッチポイントとしてのメルマガのパワーが弱り、定期的に行っているウェビナーの集客などにも影響が出る可能性があります。

そこで考えた対策をざっくりとあげます。

  • 「この会社の発信する情報は定期的に受け取りたいな」という人向けに、メルマガ購読フォームを用意する(メールアドレスのみでOK

  • LINE公式アカウントを新たなタッチポイントとして強化していく

  • ウェビナー自体も、事前登録制をやめることを検討

メルマガで情報収集したい方とは引き続きメルマガで接点を持ちつつ、いっそメルマガ以外に潜在層のお客様との接点をもてる媒体を用意してしまえば、フォームで情報取得云々という話はあまり関係なくなっていきます。

LINE公式アカウントについてはソーシャルPLUSでもほそぼそと運用しており、何度か試した結果メルマガよりも開封率・CTRが良いという結果も出ていたので、あわせ技で使うメリットはありそうです。そもそもLINEのCRM活用に知見がある立場ですしね、わたしたち。

また、ウェビナー自体も事前登録を要さないYouTube配信のようなものにしていってもいいのかもしれません。考え方は情報発進をホワイトペーパーからブログに寄せる話と同様で、情報はオープンに誰でも気軽にアクセスしやすいものにするほうが後々メリットが大きいはずです。

※このへんの新しいマーケティングアプローチについては、明日まおちゃん(ねこにしさん)が詳しく語ってくれるはず!

アフターホワイトペーパーの世界

最後に決意表明がてら、目指す世界を語ります。

  • 情報がオープンになることで、情報同士がつながり拡散され、届くべき人のもとに必要な情報が届きやすくなる

  • 公開する情報は質を重視し、お客様が本当が必要とする情報は何かを徹底的に考える

  • 営業目的に偏りすぎず、中立的な意見も含めて公開していく

  • 質の高い情報に誰でもアクセスできるようになることで、お客様自身が自ら知識をためて問題解決できる力を身につけていくことにつながる

  • 基本的に個人情報の提供は、本当に必要なシーンで、必要とする人のみが行うものとする(直接相談したい・Web会議したいから連絡がほしいというような問い合わせ、メルマガがほしいからメールアドレスを登録する等)

これを実現すれば、みんながハッピーになると信じて、今後新しいマーケティング施策を次々と実行していきたいです。

締めます

さっきので締めじゃないのかよって感じですよね。今から締めます。

その前に美しい山の写真を見ていったんリフレッシュします。

地元長野です

ソーシャルPLUS分社化するってよ。あわせて今まで使ってたSalesforceやめてZoho CRMに移行するってよ。という話が持ち上がり(そうです、SalesforceからZoho CRMへの移行だったんです)、オッケー!心機一転がんばろうぜ!って感じで分社化とCRM移行の準備を進め、8~10月は息してたら1日終わるみたいな日々をソーシャルPLUSチームの面々は過ごしていました。みなさん本当おつかれさまでした。

分社化とCRMの移行にあたり、骨がボキボキに折れる作業のひとつとして「外向けに公開している会社情報をすべて変更する」「CRMの設計を新たに作り直す」というものがありました。
設計についてはこれまでのベースがあるので必要な要件をひとつひとつ検証しながら移行していくのみなんですが、長年運用してきた分、作業対象数がとにかく多いのです。ホワイトペーパーも例外ではありませんでした。

分社化以前もこういった設計の見直しや細かなメンテナンスはちょこちょこ発生していたのですが、その時は「いつもやってるし、これでやるしかない」と思考停止状態で対応していた部分が正直多かったです。

が、今回分社化とCRM移行が重なったことで、ある意味これまでの設計やルール、慣習を気にせず、新たな土壌でゼロから業務をスタートできる状態になり、今までの当たり前をゴソっと見直す機運が社内で高まりました
その流れで、ホワイトペーパーという、なんとなく違和感を抱いていたものも、よく考えればやめたほうがいいんじゃないか、と気付くことができました。

振り返れば大変だったけど、良い機会だったなと思います。なかなか経験できることではないですし。貴重な経験をさせていただいたことを感謝しています。

分社化とCRM移行の機会があれば、みなさんもぜひ飛び込んでみてください!

というところで、フィードフォースグループ Advent Calendar 8日目は以上です!とんでもない長文、お読みいただきありがとうございました。

明日9日目は、ソーシャルPLUSのまおちゃん(ねこにしさん)が「これからのソーシャルPLUSのマーケティング」について語ってくれます。
今回は「脱・ホワイトペーパー」というきっかけのひとつを前編として書きましたが、次回は「いざホワイトペーパーやめてどうするのさ」という、これからのマーケティング活動全体のお話をしてくれる予定です。
今回の記事の後編みたいな感じでお読みいただけると思いますので、ぜひお楽しみに!

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