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大学中退と、Femme Fataleとの出逢い


私は、真っ直ぐ進んできた。

世の中で「普通」と言われる道を、「成功」と褒められる選択肢を、選んできた。

地元イチの荒れ中学から、地元イチの偏差値の高校へ進学。前代未聞のコースで成功し、高校で必死にもがいた。
大学進学が当たり前の高校である。就職の支援などない。それどころか、「私大、ましてや私文は甘え」とまで言われ、毎年3分の1が浪人するような場所だった。

「甘え」である、一応難関には入る私文に進学。所謂読み書きの勉強ではなく、教養や思想を学べる大学生活が、とても楽しかった、2019年。

2020年、世界中の人々が人生の岐路に立たされたであろう、コロナ禍。私もその1人だった。
持病でずっと患っていた鬱や解離性障害、摂食障害などが、アルバイトの収入が激減したことにより悪化、家の都合で奨学金という借金もできなかったので、次期の学費が払えない。それどころか、下宿先のマンションの家賃や携帯代だけで、精一杯だった。

時給1000円の居酒屋のアルバイトを辞め、夜の世界へ向かった。少し、生活が楽になった。でも、精神面はすり減るばかりだった。

学費さえなければ

そう思うようになった。大学を辞め、夜の世界で生きていく決断をした。「普通」ではない生活リズムと「普通」ではない環境で働くことを選んだ。親の顔色を伺い続けて生きてきた私が、初めて「普通」に逆らう選択をした。

そんな生活の中で出逢った、1人の同業者。

熟女キャバクラというものをご存知だろうか。システムはキャバクラと変わりなく、キャストの年齢層が、30代くらいから50代くらいまで、という違いだけだ。

生活の為だけに、水商売や風俗を転々としていた私にとって、その出逢いは、光だった。水商売専門のブログサイトがあるのだが、私の文章がすごく素敵だとコメントをくれた、20個歳上の女性、熟キャバ嬢が、光に見えた。会いに行った、ずっと特別扱いをくれた。同性だから、娘でもおかしくない年齢だから、かもしれない。それでも、何となくで生きてきた私にとって、その女性は神格化の対象となり、運命を狂わせる女、ファム・ファタールとなった。

あれだけ騒がれていたコロナのコの字も出なくなりはじめ、フリーターとして夜職をしている私でも、3年前と比べたら、収入は安定するようになった。

彼女の手中に収まりたくて、使えるだけのお金を使った。そんなことで動くような、安い女性ではないのに、お金が全て、金額が愛情だと思っていた私は、まだ幼かった。無理をしてでも、兎に角お金を使った。

そのガタが来て、一度関係を拗らせてしまい、もう二度と会えないだろうと思っていたが、半年ぶりに会う彼女は全てを受け入れ、諭し、また構築しようとしてくれた。私はやはり、彼女から離れられなかった。

今でも空っぽの伽藍堂な私の人生の主軸は、彼女である。

これが、私の選んだ、真っ直ぐではない、歪曲した愛の道。私が私で、彼女を選んで、彼女の業界卒業まで一緒に生きていたいと、そう決めた。その道を選んでよかったと言えるように、今日も私は着飾り、夜の街へ向かう。

#自分で選んでよかったこと

#エッセイ #キャバクラ #キャバ嬢 #風俗 #水商売 #鬱

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