はにかむ

借り物の有りもの

村上春樹著「猫を棄てる」 感想文

木の上に上がった猫を、下で待ち続けている。 降りることは、上がることよりずっとむずかしい は、「戻ることは、進むことよりずっとむずかしい」に似ている。 私は道を…

雨の昼下がり 午後四時は

秋雨で落ちた金木犀の星花が アスファルトに瞬く 靴裏で踏むと かすかに匂い立つ 見上げた信号の 青になるのを待ってる 信号に決めてもらわないで 自分で渡ればいい…

441 A

Aは 時を刻み告げる音 鐘で 調弦で 問いかけで    皆に 手を伸ばす音

恋い焦がれ光線

私は取り残された岩で そのうち潮の流れに削り取られて 砕かれ 丸まり 石から砂へ 海の雪になって 海底に降り積もる 砂粒は海上のきらめきに憧れ じっと見て じっ…

夜空へ バス

バスの運転手が ハンドルを大きく切って 信号を曲がる 夜の通りに 街灯の集中線が浮かび上がる 飛行場の誘導灯のようで バスは 夜空へするすると昇っていく 蒼黒の…

二拍三連

夜明け前の黒が濃くなる刹那 夜と朝が互いの音を聴きながら 時を手渡していく 夜は三連符 朝は八分音符 調はG-dur 波のアルペジオが浮き沈み 闇と陽の境目は一日の輪郭線 …