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ネタバレ『ゴジラ-1.0』観てきました。観賞前の方は読まないでください。

昨日予告したとおり、11月5日20時20分の回SAIONシアターで観ました。プレミアムシートのすぐ後という特等席で。観客は3割ほどの入りでしたでしょうか。当館でも4スクリーンを使用していますので分散されて当然。2Dというのが従来型なのでしょう。音響にこだわったSAION、IMAXレーザー、4DXスクリーンと4種から再生環境を選ぶことができます。SAIONに関しては通常のシアターと同料金、IMAXなどは加算料金が発生します。

以下ネタバレになります。最初に結論を言いますと、これは絶対に劇場で観るべき映画であり、その視聴体験は素晴らしかったです。東宝のゴジラ作品と最初のハリウッド版まで、劇場からテレビ放送も含めてですが全て観ている中で、間違いなくこれが最高傑作です。コメディだったシン・ゴジラと比較して、本作には緩むところがありません。真剣で重たく文芸的でさえあります。それがまず良かった。

敗戦濃厚の末期から話が始まり、特攻を免れた主人公(神木隆之介)がゴジラとの邂逅を経て帰還します。子を連れた女(浜辺美波)と出会い、自宅で暮らすことを許します。

よく聞く、生き残った兵士が戦没者に対して持つ申し訳なさに苛まれ、またゴジラの襲撃で部隊の殆どが抹殺された体験が悪夢となって彼を苦しめます。ゴジラは上陸し、彼女が働く銀座を壊滅させます。3万人もの犠牲者が出ました。統治している米国は関与せず、国家は無力である中、民間がゴジラ駆除に向かい、主人公も死を覚悟して任務に臨みます。

描かれる戦後日本、空襲で焼け野原にされた東京が舞台となります。家を建て直した神木(以後配役では無くキャストで示します)は浜辺と、すでに数年になりますが、部屋を隔てて寝ており結婚はしていません。それぞれが抱えるトラウマへ、もう少し踏み込んでも良かったかもしれないと思いました。ただ、そうなると別の方向へ作品が傾きます。ここは人の内面にのみ焦点を当てるのではなく、時代と人々といった大きな括りで、半ば素通りして間違っていないとも思います。分岐点ですが、正解を選べている気がします。

映画鑑賞中、先の展開をどうしても予測してしまいます。神木の運命や浜辺の消息は、その作戦は成功するのか一旦は挫折し覆すのか、そこにはゴジラ駆除という単純な目的への作家が作るルートがあるはずです。で、大方予想通りでした。ただ、そのせいで感興が落ちるということはありません。文字通り圧倒的な作画力が、ただただ恐怖体験として迫ってくるからです。音響は優れてそれを助け、もしも4DXで観賞すれば身体が物理的に揺さぶられ、絶叫すら禁じ得ないかもしれません。まぁ一言で言って、日本の作画力の最高峰でしょう。世界中の人に見てもらいたい。

浜辺は、なんともすごい俳優に育ったと感心しました。らんまんの前とのことですが、これがあったかららんまんも傑作になったと確信します。ともに彼女の、菩薩のようなひと言が本当に効きます。人間界のドラマは、絶妙な表情でやってのける、その言葉で浄土へと導かれます。神木ももちろん負けていないことはご覧頂けば解るでしょう。

伊福部昭の音楽に飢えていました。ずっと待たされ、最高の場面で鳴り響くときSAIONのボリュームは爆音です。泣きそうになりました。この映画は泣けます。

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