ネックプレート実験の感想、まとめ

雑な演奏でお耳汚しとなり恐縮です。ずっとやりたかったことの一つで、ようやく実現し、理解を深めることができました。機会を与えていただきありがとうございました。

楽器に不満があり、それをなんとかしようとするとき、あれこれやった結果は録音して確かめるのが重要だと思っています。そして何度も聴きます。

今回のそれらの変化量は、きっとどなたにもわかっていただけるレベルと思いますが、録音の前、プレート交換後にチューニングを戻す時点で、その明らかな変化に気付きました。生の状態で、楽器の鳴りが印象的に変わります。

そして、少し主観が入りますが、どちら(1.5mmか1.9mmか)の場合も、元々楽器に付いていたプレートよりも、何かが良くなっているように感じます。一人で作業していて、にやっとしてしまいますし、まわりに誰かがいたらウォーっと叫ぶかもしれません。

私が知る限り、現状では、この2種の厚みが、企画され、製作された全てではないかと思いますが、そのどちらをどの楽器に付けようか、というイメージもかなりはっきり持つことができました。しかし決して安いものではないので、4本全部(さらに5弦ベースの分も)となれば大層な出費となり、ある意味で、これは誤算でした。

実験に使った楽器の製造元は2社にすぎませんし、そこに使用されているプレートが、それぞれどこで作られたものかは不明です。しかしハンプバック製と比較する上で、一旦ここでは汎用という風に一括して言わせて頂きます。4本のベースに取り付けられていた4枚全てが同一の出自であるかは、もちろん存じません。

汎用のプレートから、1.5mmのに替えると、ボリュームが上がります。なにかつかえていたものが外れた感じです。録音時のゲイン設定は、最初に合わせて以来、個別の調整は行っておりません。同条件下で、はっきりと信号が大きくなるのがおわかりいただけるでしょう。それでいて、倍音が整理されたかのような、すっきりと見通しの良さが現れます。ですので、音が良い、と捉えることができます。生音ではアコースティックギターを想起させる明るさが、多少感じられます。

単純に音質向上を意図した場合なら、これ1枚だけで必要充分だと思います。色々な意味で(素朴な見た目の問題はさておき)ネガティブな要素は見られませんので、パーツに投資して少しでも楽器の音を、より良くしたいのであれば検討の価値はあるでしょう。

1.9mmにすると、より、締まります。締まることによって、密度が高まるのでしょうか、低域が太く感じられ、迫力が増します。ベースの音域内でいうところのミドルやハイ(周波数というより基音のピッチでの話)の領域ではくっきりとし、かつ太さも出ます。少しこの楽器の音は痩せているなと感じるようでしたら、チューンナップとしてかなりお勧めできます。

私は、手にした楽器を現場で使ってみて、ここがもう少しこうであれば、という場合に、物理的なことであればハードウェアを替えたり、音色の方ならPUやサーキットを色々試してきました。

たとえばブリッジをA社からB社に載せ替えると、単純に不満点を補えるかと言えばそうではなく、キャラクターが変わってしまいます。ネックジョイントプレートの変更は、絶対とは言えないけれど、実感としては、そうはならないようです。

たとえば、ディンキーサイズの、パッシブだと少し寂しいような楽器に1.9mmを付けてみると、底の方から力強くプッシュされるようで、良いんじゃないかと思います。しかしキャラクターそのものは保たれていて、人間が筋トレでシェイプアップしたような変化に例えられるでしょう。

これらの傾向は、いずれの楽器でも同じように確認できました。というわけで、付け替えは非常に簡単。仮に厚みの違うものを1枚ずつしか持っていなかったとしても、持ち出す楽器と用途に応じ、随時換装して使い回す、といったことも可能でしょう。

ちなみに、昨日書けば良かったですが、ジョイントビスの締め方です。木部のネジ山を潰さないように留意する必要があります。コツは簡単で、ビスの頭がネック側の穴位置に届いたら、逆回し(緩める方向)にドライバーを使います。するとネジが噛み合う場所でカクンと音がして、ビスがやや下がります。ここから締めていくことで、新たなネジ山を木部に切ってしまうことを避けられます。

あと、締め込む力加減の問題です。トルクによって楽器の鳴りをチューニングするという技術もあるくらいなので、ちょうど良いところを探るのも有りですが、私の場合は、以前に掘られている深さ以上に、ねじ込まないことを念頭に置いて、きつくなり始めたところから、ほんのちょっと締め込みを行い、まだその先を残すようにしています。電動ドライバーは使わない方がいいですが、最初と最後を感覚が掴めるように手動でやって、途中のところは電動で回すみたいに作業しました。

総括はこんな感じです。ずいぶん宣伝になっちゃいましたが、お勧めできるプロダクトには間違いありません。ハードウェアにおける素材とメッキの秘密に踏み込んだ素晴らしい試みだと思います。


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