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5/15 詩の話

相変わらず職場と布団を往復している恋々です。気付いたら四月すっ飛ばして五月も半ばでびっくりしました…。寝込む日々とはいえ、最近睡眠時間がすこし短くなってきて、起きている時間にできることが増えてきている気がします。就労をはじめてから二か月が過ぎましたが、すこしずつ慣れてきているのかなと感じます。体力仕事な分、体力がついてきていたら嬉しいなあ。前より本を読んだりする余裕も出てきた気がします。五月の目標は毎日運動なので、毎日フィットボクシングやってます。いまのところ15日連続でできているので、この調子で月末まで行きたい。

昨日緊急事態宣言が解除されましたね。解除によってふたたび感染者が増えないことを祈っています。はやくお外で大らかにお酒が飲めるようになりたいですね。最近はコストパフォーマンスを考え、酒の缶を買っていたのをウイスキーボトルを買うのに切り替えました。自分で量を調節するのたのし~とめちゃくちゃに飲んでたら馬鹿みたいに酔っ払ったので、歯止めが効かない恐ろしさを感じました。今度はもっとゆっくり飲みたい。おまえにそれができるかな…?ククク。


さて、先日マシュマロで詩について質問いただきまして

その時非常にぽよんぽよんとした返答をしたのを若干悔いているので、ここ数日詩について考えていました。

私にとっての「詩」というものの認識は、音楽史と似ていて時代によっての流行があり、廃りがあり、個人の思想と宇宙全体の風景を描くもの、という感じで、ようするにメチャクチャミクロでありマクロであるみたいな…そういう感じです。古代から近世・近代くらいまでの詩集は色々読んではきましたが、教養として、学校的な場で学んだことはありません。所詮幼少期から色々読んできた程度の付け焼刃なので、マロ主さんの大学で学べるというのがとても羨ましいです。それはともかく、私が好きな詩、というくくりでなら少しは語れるかな~と思って並べてみようと思いました。

日本近代詩の歴史をわかりやすく描いたものは月に吠えらんねえが本当に良いと思います。この漫画が大好きなので普通にそういう意味でも読んでみて~のお気持ちです。完結してるよ。



叙事詩

詩というのも色々ある訳なんですが、作者不明で歌い継がれてきた、古代の詩というものがありまして…いわゆる神話というものの多くは、もともと詩として語られていたものが、文字に起こされた形で読めるのだと思います。ひとつの民族が歌い継いだものとしての価値や意義だけではなく、そこには魅力的な神話風景が描かれるわけですよね。なので叙事詩は好きで古今東西のものをよく読んでいました。

たぶん昨今わりと手に取りやすいものならギルガメッシュ叙事詩ですよね。きちんと詩として読んだことなければ一読の価値はあると思います。英雄の物語、神々の物語、全部詰まってておいしいね。あとこれは詩じゃないけどギルガメッシュ物語は絵本も家にあったんですがすごくお気に入りです。美しい。全三巻なので図書館などで見つけられたらぜひどうぞ。

色々叙事詩は好きなの多いんですが、アイヌ神謡集なんかは身近に触れられるものとして、未読ならぜひ読んでみて欲しいです。青空文庫にあります。

神謡集の序に描かれる、この神謡をまとめた知里幸恵の心について、近代文化の成長によって踏みにじられ失われていく民族の痛ましい思いは大変しみいるものがあると思います。詩は古い時代から誰もが手軽に歌いついできたからこそ、こうした失われていくものたちが美しく輝いていた頃を描くことが出来るものだと思っています。楽器や筆がなくとも、ひとが声をあげて唄えば届くものなのですから。すごいね~。口承文芸はいいぞ~。


海外の詩

詩の歴史は海外の方が圧倒的に先なのですが私はあんまりよくわかってません(鼻ホジ)そこにあるものを読んでいるだけなので…記憶に残っている好きなやつなどをあげてみます。

ポーはそもそも小説家としても大好きなのですが(黒猫とか書いてる、怪奇小説とか探偵小説とかの人です)彼の詩のちょっと破滅的でドラマティックな空気が好き。すごく死の気配がします。

ランボーは暴力的な印象をつよく浴びれる、力強い詩です。ひとりの狂人が高らかに歌い上げているような、激しく揺さぶられる…私が大好きな映画のラストシーンで引用されていることもあって、補正がかかってます(好きな映画というのは気狂いピエロです)

マラルメは、「詩」というそのものを揺さぶる存在であると感じます。紙面上を踊りまわるような、しかし精密に計算されているような難解さ。ぜひ紙面、もっと言えば原文も同時に入っているようなやつを手にとってほしいです(載せてる本はフランス語原文は載ってないっぽいです。家にあるやつが今紛失しているのでがんばって探してみてください)。ページを見開きで開いて、そして読んでみてね。

ルバイヤートは11世紀ペルシアの詩なので、上記の詩人とは時代も場所も異なるものですが、私が大好きな詩集のひとつです。四行詩でつづられる刹那主義者の感情は、とっても勇気づけられる気もします。酒や小姓の話の合間合間にある、宇宙に対する果てしのない問いかけが美しい。わりと軽く手に取りやすく、読みやすいものだと思います。青空文庫にある。


日本の詩

そういえば私は謡曲が結構好きで能楽を見に行ったり謡集を読んでいたりするんですが、あれも詩という区分に入るんですかね。ようわからん。とにかく日本古典歌謡というくくりで言うのならば、憂愁の美を色彩と共に告げる謡が好きです。

字数制限のある、いわゆる和歌や俳句は読んではいますが大体記紀歌謡とか万葉集とか、そのくらい古いものが好きでした。というか日本神話とか古代とかその辺がとにかく興味の範疇だったので…。詩集として好きなのは西行の山家集などでしょうか。「願わくば花の下にて春死なむ」の人ですね。

あと、歌垣という、古代日本で行われた歌の掛け合いによる男女の婚姻行事が好きで、それについての研究本とかよく読んでました。でもこれはもう詩や歌を楽しむとかそういうのではなく、民俗文化を研究する面白さ的なやつのほうですね…。有名な論文は西郷信綱の「市と歌垣」だと思います。https://ci.nii.ac.jp/naid/40003385698 


日本近代の詩集は高村光太郎の智恵子抄が、詩集というまとまりでは最も好きなものです。光太郎がやったことそのものに対してはあまり肯定したくないのですが、それにしても自分の妻を利用して描かれたこの詩集は、はじまりから終わりまでひとつの連なる物語として完成され切っていると感じています。愛の嘆美とか夜の二人とか好き。でも全部好きです。青空文庫がある。

詩集という括りでは峠三吉の原爆詩集もとても好きです。序文が一番有名だと思うのですが、原爆炸裂後の混乱から、その幾年のちに遺されたものの痛みの描き方は、とても生々しくいたましく、けれど確かに芸術として昇華され、人間の悲しいまでの美しさすら覚えるものです。元気な時などに読むと良いと思います(私は元気がない時によく読んでます)

好きな詩、はたくさんあるんですが、金子光晴の「しあはせについて」という詩がたぶん一番好きです。なんかweb上では見つからなかったので詩集を読んでください。たぶんわたしは、日々の暮らしに苦しみを覚えたり、怒りを覚えている人が悶えるような痛みのなかで発露された詩もわりと好きなんだろな~って思います。


文章として完成された、思わず唸るような言葉、というのに多く触れられるのも詩の良いところだと思います。洗練された、玉のようにきらびやかな言葉から、誰かが苦しみの中で吐き出した言葉まで、時折詩に対して覚える感動が詩との出会いの楽しいところです。山中暮鳥は「いちめんのなのはな」で知っている方も多いと思います。私も例によってあの詩が大好き。さまざまな詩が作られていった日本近代詩人の中でも際立って詩風の変遷が激しいのですが、大成期の長閑で大らかな風景描写は本当に唸るものばかりです。わりと手に取りやすいかも。青空文庫にあります。

長田弘は飾り立てない素朴な言葉の数々が、いつも安心と隣り合わせにあって、穏やかに読めることができるものだと感じていました。現代詩は色々読んでみてもなかなか肌に合わないことが多かったのですが、長田弘は珍しく大好きな現代詩人です。亡くなられて悲しかったです。



もうちょっと書きたかったのですが疲れてしまったのでここまで。詩は時代の流れによって形式を変化させますが、しかし表現可能なものはあまりに多岐にわたり、それゆえに、ひとりひとりの詩人が向き合ってきた詩の形も思い思いに変化していくものです。ゆえに、受け取り側の我々も、常に多くの姿勢で詩に向き合うことが可能です。読むもよし、朗読するもよし、朗読しているのを聞くのもよし。詩という世界に触れるとき(というか詩に限らずあらゆる芸術はそうなのですが)気負わず、あらゆるものに柔軟に触れ、そして色んな楽しみ方を見出してほしいです。

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学問と音楽と創作が好きで社会が苦手です。楽しく生きたい @oribeiyo
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