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子どもを理解するのは何のため

 教育は「子ども理解に始まり、子ども理解に終わる」という言葉をよく聞いてきた。

 
 子ども理解とは何だろうか。何のための子ども理解だろうか。

 もちろん一つの記事でとても書けることではないが、考えたことを書く。


①一般的な、子ども理解

 発達を理解すること。

 体や脳(知・心)がどのように成長するのかを知ること。

 それぞれの発達段階の課題と、乗り越えるために必要なことを知ること。

 ここで大切なのは、不適切な関わりかけにならないよう注意すること。

 体の発達を無視して、過剰な負担をかけない。

 脳が傷つくような、心理的なショックを与えない。

 知っていることは大切である。

 知らないことは、リスクである。

 大学で学ぶことには、意味がある。


②「今、目の前の」子どもへの理解

・担任として、1年間をかけて、子どもと付き合っていく。

 この子はどんなことが好きか?

 どうなりたいと思っているのか?

 何が得意で、何が苦手だと感じているのか?

 何に熱中しているのか?

 どんな関わりかけをするがいい?

 どんな言葉かけをするがいい?

 それぞれ異なる個を見取っていく。

 先生は、子どもから学ぶ。


☆1年間は、長くて、短い。

 3学期になってようやくわかってきたな。

 クラスでいい表情になってきたなあ。

 自分ともたくさん話せるようになってきたな。

 ここでお別れはもったいないな・・・

 という子は必ずいる。

 だから、今年度はもっと早く、みんなに、アジャストしたい。

 どの子とも。

 そう思うのだが、限りはないのかもしれない。

 1年かけてやっと花が開くものなのかもしれない。


・子どもを理解するためにやること

 (1)意図的にみる

 ともに時間を過ごし、知ることのすべてが子ども理解になる。

 朝の表情、授業前の表情、給食でのおしゃべり、姿勢・・・

 たとえそこに子どもがいなくても、帰った後の椅子のしまい方を見れば、

 子どものことが少しわかる。

 休み時間、授業も、意図をもって見ることが大切である。

 

 (2)関わり記録をとる

 前田勝洋先生の本で読んでから、日々職員室にもどるとやっていること。

 子どもたちとの関わりの記録をとること。

 名簿に次のように記録していく。

 ほめた…◎ 話した…〇 叱った…△ 話さなかった...(空欄)

 何か気になったことがあれば、横に記録しておく。

 空欄をなるべくつくらない。

 しかし空欄の児童があれば、次の日は関わる。

 忙しいときには大変だが、この振り返りは、私にとっては15分使ってもおつりがくる作業である。

 

③何のための子ども理解か

 洞察力、分析力があり、子どものことをよく分かっている先生がいいのか。そうかもしれないが、必ずしもそうではないと思う。

 大切なのは、子ども自身がそう感じているかだと思う。「この大人は、自分のことをわかろうとしてくれているんだ」「わたしの気持ちをよくわかってくれているんだ」「伸びたい方向へ励ましてくれるんだ」と。

 子どものことをよくわかっている大人は多い。でも、なかなかそれが伝わっていないんだろう、と思わされることは多い。

 「あの子は、こうこうこうだから」・・・と、職員室で語る先生。よく的を射ている。しかし、その子は先生のことを信頼していない、ということもある。


 先生が子どものことをよくわかっていても、子どもがそう感じられなければ、子ども理解の意味はあるのだろうか。

 教育の目的は何だろうか。学びの主語はだれか。

 安心・安全が確保された環境で、子どもはチャレンジできる。

 自分自身を成長させることができる。

 このことを忘れないようにしなければならない。



 「自分のことをよくわかろうとしてくれている」と感じられるピッチャーは、安心してボールを投げこめるはずである。






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