人の心を動かすための神作「影響力の武器」を、死ぬほど分かりやすく解説してみる#3「社会的証明」
こんにちは、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。
今回も前回に引き続き、『影響力の武器』のカンタンな解説です。
前回まではこちら
そして今回は、第3の武器である「社会的証明」についてざっくりと解説。マーケティングやお金稼ぎをする人にとっては、めっちゃくちゃ強力な武器になりますので、ここは確実に押さえときましょう。
それでは、GO!
Section①
人の心を動かす最強の武器その③
「社会的証明」
社会的証明とはなにかと言うと、「人は、特定の行動に対して、その行動をする人が多いほど、その行動を正しい行動と判断する性質がある」ということです。カンタンに言えば、「みんなが良いって言うものは良いものな気がする理論」みたいなものです。
たとえば、本には「ベストセラー」ってものがありますよね。で、「この本はベストセラーです!」って聞くと、「よく分からないけど、みんな読んでるってことは、きっと良い本なんだろうな」と思いますよね。
つまり、人は、「みんながやってる=正しい」と思ってしまう傾向があります。これを「社会的証明」と言います。
たとえば、「売れてます!」とか「みんなやってるよ!」「流行ってるよ!」と聞くとその商品が欲しくなってしまうのも、この社会的証明の影響です。
で、この社会的証明ですが、なんといっても「強力」なんですよね。というのも、社会的証明はとてつもないパワーがあるクセに、人はそのパワーに気づけないんです。
これは、行動科学者のJノーランさんの行った有名な実験。この実験ではまず、ある地域の住む数百名の人に対してアンケートを取ります。で、アンケートの内容がこんな感じ。
あなたは、どんな理由で”省エネ”に取り組むと思いますか?
以下の4つから1つ選んでください
①環境のため
②未来の子どもたちのため
③お金の節約のため
④近所の人が省エネしてるから
つまり、「人ってどんな理由で省エネすると思う?」ってことを聞いてみたわけですね。で、このアンケートの結果はこんな感じ。
・もっとも影響力が”低い”と評価されたのは、④の「みんながやってるから」だった。
とのこと。つまり、ほとんどの人は、「みんながやってるからって、自分がやるわけではないでしょ」と考えたわけです。
で、次にこの実験では、地域ごとにこれらの4つのパターンで広告を出して、実際に省エネ効果を試してみました。わかりやすく例えると、
・足立区の人には「環境のために省エネしましょう!」と訴える
・杉並区の人には「未来の子供たちのために省エネしましょう!」と訴える
・豊島区の人には「省エネはこれくらい節約になります」と訴える
・中野区の人には「中野区の人のほとんどは省エネしてます」と訴える
みたいな感じで、それぞれの地域別に別のメッセージを送って、省エネを訴えてみます。そして、この1ヶ月後に、実際にどれくらい省エネするようになったのかを調べてみました。要するに、「実際のところ、どういうメッセージで人は動くのか?」ってことを調べたわけですね。
で、その結果はというと、
・1ヶ月後、もっとも省エネに取り組んでいたのは、「④周りのみんなは省エネしてますよ」と訴えたグループだった
とのこと。つまり、多くの人は「みんながやってるからって、自分がやるわけではないでしょ」と考えているにも関わらず、実際には「みんながやっているから」という言葉にもっとも動かされているわけです。
これが、「社会的証明には、とてつもないパワーがあるクセに、人はそのパワーに気づけない」の意味です。人は自分で思っている以上に「みんなやってるから」という社会的証明に弱いわけです。
たとえば、コンビニのレジにある募金箱なんかは、社会的証明が使われていますよね。募金箱っていつも何円か入っていますが、あれが社会的証明になっているわけです。つまり、他の人が募金した形跡を見せることで、「みんな募金してるから、私も募金しておこう」と思ってもらうための仕組みなわけです。
ところが、実際に募金をした人に、「なんで募金したんですか?」と理由を聞くと、「お釣りが余ったから」とか「少しでも応援になればと思って」などと言います。少なくとも、「みんなが募金してるから募金した」とは考える人はいませんよね。つまり、「みんながやってるからやったんじゃなくて、自分の意思でやった」と思い込んでいるわけです。
他にも、「お笑い番組に笑い声を入れると、面白く見える」とか「行列のできてるお店は美味しそうみ見える」みたいなのも、社会的証明です。探してみると面白いです。
というわけで、一旦ここまでをまとめると、「人は”みんなやってるよ”に、めちゃくちゃ弱い。しかも、それに気づいてない。」という感じ。
Section②
社会的証明のパワーを強力にする
2つの条件とは?
というわけで、「人は”みんなやってるよ”で動かせるよ」、という話ですが、これをさらに強力にするためのコツがあります。つまり、ただ単に「みんなやってるよ!」というだけではなく、ある条件を守るとさらに人が動きやすくなります。
そして、その条件は以下の2つ。
流されやすくなる条件①
「状況の不確かさ」
人が社会的証明に流されやすくなる条件、1つめは「状況の不確かさ」。これはどういうことかと言いますと、「人は、状況がよく分からない時の方が流される」ということです。
たとえば、初めて大学のオープンキャンパスに行った時って、「最初ってどこに行ったらいいんだろう?」みたいに思いますよね。で、そんな時って、とりあえず行列が出来てるところに行ってみたり、人がたくさんいるところを覗いてみたりしますよね。ところが、あなたが既にその大学の学生だった場合、「とりあえず行列に並んどこ」なんて思わないですよね。もし思ってたら、バカです。笑
つまり、人は「今自分はどうしたらいいか?」がわからない時ほど、周りに流されやすくなります。
で、このことを自分に置き換えて考えると「状況がよくわからない時ほど、社会的証明に流されやすいから、気を付けようね。」ということも言えます。
たとえば、投資の知識がない人ほど、「みんなこの株買ってるよ」「みんなこのツール使ってるよ」って言葉に従います。これは、投資に対する知識がない=自分がどうしたらいいかわからない。だから「みんながやっている」という社会的証明を頼りにしてしまう。そしてその結果、騙される。というよくある話です。詐欺師がよく使うやつですね。知識がない人ほど「みんなやってるよ」に流されやすいので、気を付けましょう。
また、似たような手口で、「難しい話をたくさんして相手を混乱させたところに、”みんなこれやってるよ”と言って、社会的証明で流す」みたいなテクニックがあります。これも詐欺師はよく使いますので、気を付けましょう。
というわけで、社会的証明で人を動かす1つ目の条件は、「状況の不確かさ」。
流されやすくなる条件②
「類似性」
社会的証明のパワーが増す条件の2つ目は、「類似性」。これは何かと言いますと、「人は、自分と似ている人の社会的証明に影響を受けやすい」ということ。
たとえば、あなたが関東の大学に通っている2年生だとしたら、「日本人のほとんどの人が買ってます!」よりも、「関東の大学に通う2年生のほとんどが買ってます!」と言われた方が、「買わなきゃ!」ってなりますよね。
つまり、人は、「多くの人がやってる」よりも、「”自分に似てる”多くの人がやっている」に弱いです。
これは実験でも確かめられておりまして、スティーブマーティンさんの行った有名な実験があります。
この実験では、イギリスで税金を滞納している人に対して、「早く税金を払ってください」という手紙を送って、その結果どれくらい税金を払ってくれるようになるのか、ってことを調べたのですが、この実験で分かったのが、
・「さらなる限定性の追加」を行うと、社会的証明の効果は強くなる!
ということ。これは、どういうことかと言いますと、この実験では、手紙に「イギリスの人のほとんどの人は税金を払っています」という文章を載せたのですが、「みんなやってるよ」の「みんな」の範囲を狭めるほど、税金を納めるようになったということです。たとえば、
「イギリス人のほとんど」よりも、「あなたと同じ州に住むほとんどの人」
「あなたと同じ州」よりも、「あなたと同じ地区」
と、集団の範囲を狭めた方が、多くの人が税金を払うようになった。
ということです。
つまり、社会的証明の効果を発揮するには、「みんなが」ではなく、「あなたと同じようなみんなが」というメッセージを入れる事が重要なわけです。
たとえば、家庭用の洗剤のCMって、本田圭佑みたいなスーパー有名人って出てこないですよね。その代わりに、もっと身近な雰囲気の芸能人が出演してますよね。これはなぜかというと、洗剤を売りたいターゲットは、庶民層なわけです。だからあえて、わざと庶民的な雰囲気の芸能人を使って「あなた(庶民)と同じような人が使ってますよ」という社会的証明のメッセージを送ることで、「私もこれを買おう」と思ってもらえるわけです。
そんなわけなので、もしあなたが社会的証明を使う場合は、「さらなる限定性の追加」を使うといいです。つまり、「これを読むあなたと同じような人はこうしてるよ」というメッセージを入れると、人は動きます。
たとえば、noteを売りたいんだったら、
「私のフォロワーさんの90%は、このnoteを買っています」
こんな感じで「さらなる限定性の追加」を行うと、noteを買ってくれやすくなります(笑)。もちろんウソのデータを載せてはいけませんが、もし実績があるならば、書かないと勿体ないです。
ちなみに、「私、実績がないよ」って人は、「noteを買う人が増えてます」ってデータを載せたり、「多くの人がnoteを買ってよかったと言っている」という文言を載せるのもありです。これらはウソではないですから、やってみる価値ありです。
というわけで、社会的証明で人を動かす2つ目の条件は、「類似性」。
まとめ
というわけで、第3の影響力の武器、「社会的証明」について、カンタンに解説しました。今回をまとめますと
・人は「みんなやってるよ」という社会的証明にとても弱い。
・そして、ほとんどの人はその影響に気づいていない。
・社会的証明に動かされやすくなる2つの条件
①状況の不明確さ
→人は、自分がなにをしていいかわからない時ほど、周りの意見に流される。
②類似性
→人は、自分と同じような人と同じ行動を取ろうとする。特に、「さらなる限定性の追加」を行うと、社会的証明の効果は強くなる。
という感じでした。
今回の教訓としてましては、「みんなが良いって言うからって、良いとは限らない。自分の今の判断は社会的証明の影響を受けていないか??」と考えることでしょうねぇ。要するに、みんながやってるからって理由で物事を決めないこと。です。
たとえば、多くの人が社会的証明で動かされてる例だと
・「みんな大学に行ってるからとりあえず大学に行く」
・「みんな免許を取ってるから自分も取っておく」
・「みんな保険に入ってるから保険に入る」
・「みんなバイトしてるから、俺もバイトした方がいいのかな」
とにかく、自分の頭で考えるのをめんどくさがって「みんながやっているから」と思考停止で行動してしまうのは、非常に危険。「それって本当に必要?」「ただ流されてるだけではないか?」こうやって考えるクセが大事だよなー、と思ったりします。みんながしているからって、それが正しいとは限らないわけです。。
というわけで、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
次回は、第4の武器、「好意」についての解説です。
次回も、お楽しみに。
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