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好きなことを突き詰めることで、自分の武器になる【THE CREATIVE ACADEMY#6】


6月3日、THE CREATIVE ACADEMYの第6回講義。

Wieden+Kennedy Tokyo 米澤 香子さんの「デザイン」の講義だった。

THE CREATIVE ACADEMYとは、The Breakthrough Company GOが開催するクリエイティブディレクターの養成講座である。詳しくはこちら。

ACCの審査員長になられたことでも有名な米澤さん。事前に記事等で拝見させていただき、これまでの講義の方々とはまた違う経歴をお持ちだと痛感した。

前回の徳田さんの講義では、一般的なグラフィックデザインやブランディングについてだったが、米澤さんはテクノロジーを活用したクリエイティブを強みとされていた。
※前回の講義はこちら※


Technology

Technology の語源はTechne = art and craft

人類最古のテクノロジー、それは石器。デザインされて用途に合わせて最適化するなど、今使われている言葉とは違いがあれど昔からテクノロジーはあった。広告業界テクノロジーは活版印刷である。

また、Technology の語源はTechneであり、Techne = art and craftである。テクノロジーはアート、工作物であるということを意味している。


Data Design

仕組みを可視化する

Internaviという、Hondaのカーナビのテクノロジーがデータを可視化したテクノロジーの事例の話があった。dots by internaviという、「移動をデザインする」ために、車の移動を地図上で孤として描くという展示を実施した。車両No、日付、時間、緯度経度、渋滞を示すデータを活用している。米澤さんはこのクリエイティブを実現するために、APIの仕様書やパラメータをまとめた技術資料を読み込んで提案されたと聞いた。誰にでもできる所業ではない、米澤さんだからできる仕事だと感じた。また、この取り組みを実現したことで、Hondaの社員さんも自分たちの仕事に誇りが持てた、というお話があった。クライアントの社員さんの課題を解決することができるのは非常に素敵な仕事だと感じた。


Experience Design

新しい使い方を発明する

OLYMPUS AIRという、ケータイにつけて撮影できるレンズが発売していた。それらは、ソースコードが公開されており、誰でも好きなアプリに変えることができた。しかし、プログラミングは難しくできる人が限られている。

そこで、「PLAY AIR」というカメラにダンボールをつけてペーパークラフトとして自分の好きなスタイルに作ることができるという取り組みを行なった。
この取り組みを行うことで、生活者は発明した人の想像を超えた形でクリエイティブを行い、使ってくれる。このような生活者の想像力を刺激する余白を持たせることで、面白さが生まれるのかもしれない。


Structure Design

新しい仕組みを発明する

ONE RACEのリングバトンは、シンプルだけど新たな仕組みを作成している画期的な発想だった。健常者も障がい者も平等にレースすることを心がけていたので、既存に囚われず新しい仕組みが発明できるかという発想力も問われることが明らかである。

また、米澤さんが例として上げてくださったルーマニアのコウノトリの事例は非常に感銘を受けた。地球温暖化の影響でワタリドリは居場所を無くし、電柱に巣を作るようになってしまった。その結果、ショートや火事が起こってしまう。これは実は電力会社にも大きなデメリットが起こっていたのだ。
そこで、電力会社のエネルはネストアドレスという施策を行い、生活者が電柱にある巣を撮影するだけで、位置情報をもとにエネルが工事を行いに駆けつけている。この取り組みは、コウノトリにとっても会社にとっても社会にとってもいいというメリットがある素晴らしい取り組みだと感じた。

Product Design

生まれ変わらせる

Google Lunar XPRIZEに参加していたHAKUTOという月面探索チームの事例が挙げられた。月面探査車の開発はかなり苦戦を強いられていた。

そこで挙げられていたテーマが「Every aspect of design has a meaning based on engineering.」。小型軽量化、カーボンファイバーによる強度向上、太陽光発電に最適な角度、熱を放射する細かい工夫、凸凹の土地に耐えるホイールといった、デザインだけでなく緻密な設計が施されていた。また、操縦するインタフェースも月と地球の遅延を上したり、タブレットで操作できるようにされていたりという面でも工夫がされていた。


Have Some Fan

あそんでみる

Leah Douの"CATS"は、米澤さんがWieden+Kennedy Tokyoに移籍されて初めてのお仕事だったそうだ。ロボットの猫が本物の猫になりたいかのような構成で作られた。そこで使用されたのが、すりガラスごしの景色から出たピクセルアートである。しかし、2次元ではなかなか理想とされた映像を作成することが叶わなかった。そこで、3次元でピクセルを再構築していた。アナログっぽく見せるために普通のカメラと3Dカメラの映像をビデオテープにしてブラウン管で流した映像を撮影するなど、最新のテクノロジーだけでは実現できないうまみがある。


テクノロジーは人間の暮らしを変えるテクノロジーである。そこには、ソリューションと可能性がある。テクノロジーの中には昨今では環境問題など悪い面も指摘されているが、人にとって素敵な可能性を与えてくれることにつながる。テクノロジーは難しい、ややこしいと言った無知で拒絶せず、好きなことと交わる点から少し歩み寄ってみることが大切だと教えていただけた。

また、米澤さんが宇宙、ネコといったご自身の好きなものを突き詰めて仕事にされていたのが非常に素敵だと感じた。好きなものを組み合わせる・突き詰めることで、自分の強みになる。今までの人生で携わってきた私のものに、いつか仕事で恩返しできる日が来るように精進していきたい。


課題の反省

正直、かなり手応えはなかった。テクノロジーは気になるものがピックアップできたが、1枚のスライドにまとめるくらい理解することの難しさを痛感した。今回を機に今まで知らなかったテクノロジーを知ることができたのでいい機会ではあった。私は、NFTという、デジタル上での代替不可のものである。

正直NFTを活用した企画はかなり難しかった。米澤さんに頂いたFBでも、「代替不可である必要性はないんじゃないか」といったごもっともなご意見をいただいた。資料のクオリティも選ばれた方達にまだまだ及ばなかった。色々なテクノロジーを知ることができたので、勉強になった回だった。


今回でデザインの講義は終了して、「企画」の講義になる。テクノロジーのお話も今までと異なり新鮮な感じだったが、次の水野さんの講義もまた新鮮な気持ちで聴くことができそうだ。課題は難しかったが、非常に心待ちにしている。


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