見出し画像

締めていいのはネクタイだけ

三連休明けの平日。
外を出れば足早に凛とした顔で駅へ向かうサラリーマンやOLたち。相反して私は都会から田舎へ帰る。いつも通り恋人と過ごした休日の余韻に浸りながら帰ろうと思っていた矢先だった。

人身事故ー。
今日も自ら命の灯火を絶った人がいた。

あーあ、朝からかあ〜と思いながら、
駅構内は溢れんばかりのひとひとひと。
品川駅で乗る電車を何本か見送りながら
これから出社する人達は大変だなあと思ったりしていた。
SNSで見ていたらトレンド入りにもなっていた。気になって投稿を見たら、人身事故が起きた駅はどうやらホテル街で有名な駅らしい。
私も何度か行ったことはある。
あの安っぽさ、なんとも言えない空気、良く言って人間味のある街だなって思った。

そしてふと、思い出した。

そういえば私も学生の頃、
このまま電車に飛び降りたら楽になれるのかなあとか、あー飛び降りたいなあとか考えたりしたなあと。
でも、それをしなかった理由としては
家族に迷惑がかかるなあとか、
もし仮に死ねなかったとして痛いまま生きていくのはヤダなあとか、
人に迷惑かかるんだろうなあとか、
そう言う思いがあったからしなかった。

じゃあ、
今日飛び降りた人は私みたいに考えなかったんだろうか。
多分、そんなことも考えられないくらいしんどかったのかな?
迷惑かけてやだなあって思う家族も、もしかしたら居なかったのかな?
そう思ったら
なんだか悲しくなってきた。
世の中には
色んな人がいて、
色んな感性があって、日々色んなことを
考えているんだろうけど、
真っ暗な闇に支配されていたら
どれだけ辛いんだろうって。
私も支配されていた時期があったけど、
そこからヒカリを見つけてそれに向かって行くのって相当大変。
表すならば、
真っ暗な洞窟の中にいて、
狭くて苦しくて、泥だらけで、
ボロボロで立つことも出来なくて、
しかも足には重りがついてて、それでも
ヒカリが差している方へ這いつくばっていくイメージ。
それくらい、
闇から脱出するのってしんどい。

どうか、生きることが楽しくなりますように。
ご冥福をお祈りします。


#エッセイ #人身事故 #ヒカリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?