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母がくれたもの

このブックカバー、
母が作ったもの。
針仕事が趣味でよく色々なものを作っていました。

しんみりした話になるかもだけど
母が亡くなる前

死んだらなにになるんだろう。
なにになりたい?
死んだら妹のところの3番目になって戻ってきて

と言ったら
首を横に振って

私は鳥になるから

と言っていました。

動けなくて
どこにもいけなくて
自由にどこにでも飛んでいける鳥になると言っていました。

実家に帰って
空を見上げて鳥を見つけるたび

ああお母さん飛んでるね

と、たまに誰かが言います。

母が作ってくれたブックカバー。
たしかこれは体調を崩してから何枚か作っていたもの。
その頃仕事の本ばかりで小説を読まない私には必要ないと
生前整理を妹と進めていた母に言われ
慌てて私にもひとつほしいと言ってもらったもの。

たまたま文庫本を借りる機会があって
最近引っ張り出してきて
ふと今日表紙を見てみたら
一羽鳥がいました。

ああお母さんここに居た。

そう思って撮った一枚の写真。

死を迎える準備を手伝う。
そんなことしか出来なかった日々が思い出されて
涙が止まらない。
母がいなくなって3年。
そろそろ4年。
母に連絡をしないことに慣れてきたけど
やっぱりふとした瞬間
いつものようにどこかにいる気持ちになる。

このブックカバーを見て
ああやっぱり近くにいるというのを思い出しました。

とても丁寧な人で
ひと針ひと針キレイに作っていく。
そんな母が作ったわりに
少しミシン目がガタついているこのブックカバー。そのガタつきに母のその時の様子が思い出されます。
ただ単に本を覆うのではなく
いろんな厚みの本を入れられるように内側に工夫がしてあって
物を大切にする母がどこからか集めてきたリボンが栞としてついています。
柔らかい生地が温かく
既製品では感じられない本を大切に扱いたくなるブックカバー。

借りた本を一冊読み終えて
文字からイメージを膨らませていく楽しさや
行間の心情を読む楽しさ。
登場人物と共に気持ちが高揚する瞬間。
ああ本ていいな、
本を読むのが好きだった。
忘れかけていた
物語を読み終え閉じた時の充実感を感じる。

また新たな本を包み込んで
母と物語の時間を楽しみます。

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