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事件簿 ① ギョーザコンタミ事件

症状・食生活とも安定期に入りつつある中に起きた、失敗やハプニングを書きたいと思います。 第一弾は、ギョーザコンタミ事件です(コンタミ=意図しない物質が混入)。

最初はアレルギー、中盤は豚と魚粉の関係、最後はアニサキスアレルギーの難しさについて書きます。


1. 発端

冷凍餃子は食べられなくなったので、フードプロセッサーで自分で餃子を作ることにしました(「自分で作るよ」反骨精神)。

餃子の皮の原材料は大丈夫そうなので、皮は既製品を購入。私用の野菜の具と、家族用の豚入りの具、2種類を作りました。

皮に包み完成。フライパンで焼く際、家族用6個と私用3個を別々に2回焼くのは面倒だと思いました。「大きなフライパンだから端に置けば大丈夫だろう」と、一緒に調理しました。

2.結果

食後1時間くらいで蕁麻疹「やっぱり出ちゃった」。フライパンの中で、豚エキスが流れ出し、私の大切な野菜餃子にコンタミした模様。 

翌日、野菜餃子だけで作ってみた所、症状は出ず、調理の仕方が問題だったと判明。

3.学び

調理の際に面倒と思わずに、最後までコンタミしないよう初志貫徹が大事。
わざわざ家で作ったのに、最後の焼きの工程で手を抜き、失敗してしまいました。

そして、豚肉自体を食べていなくても、調理の仕方で症状が出てしまうということは、医師に言われた通り、外食は無理なんだと分かりました。

お店で鍋を洗っていないかもしれないし、油も共用されているかもしれない。

原材料だけの問題ではなく、調理して口に入るまでの全ステップに気を付けた方がよいということ、野菜餃子たった3個に微量の豚エキスが浸透しただけで、私の場合はダメなんだとよく分かりました。

迷いや曖昧さなく「外食禁止」と最初にきっぱり言って下さった医師に感謝しました。

4.魚粉について

症状が出た豚肉に関連し、魚粉について書きたいと思います。 

日本では魚の養殖場以外にも、養豚場・養鶏場で魚粉が餌として使われていて、アニサキスアレルギーの人は反応する可能性があるかもという情報を目にしたことがあり、ちょっと調べてみました。

魚粉は、食用・飼料・肥料に使用されるのですが、世界的に需要急増・価格高騰が続いています。(エルニーニョでカタクチイワシ不漁、中国など新興国での需要増、有機農法での需要増、日本では円安も影響)。

日本の水産養殖業も影響を受け、追加予算が組まれたり、魚粉を使わない飼料の開発も進められています。

https://www.jimin.jp/news/information/204832.html

養鶏・養豚の飼料としての需要も増加。牛のBSE・狂牛病問題の後、家畜のタンパク質源として牛の肉骨粉が敬遠され、魚粉が代替的に使われるようになってきたようです。

検索すると、日本の養鶏・養豚場ではかなり使われていることが分かりました。カツオ、イワシ、アジ、サバ等、アニサキス寄生率の高い魚の魚粉を使い、「うまみ」をアピールしている養鶏場もありました。「うまみ」文化は、卵本体まで浸透しているのかと、驚きました。ある養豚場では、白身魚の魚粉なら、豚肉に生臭さが出にくく肉に甘みが出るとのことで、そこをアピールポイントにしている所もありました。

国産牛の餌に魚粉は使われていないようです。

私の抗体検査では、豚、鶏、α-gal、卵、オボムコイドも陰性なのに、豚・鶏・卵には症状が出て、牛肉には症状が出ません

餌の魚粉に含まれるアニサキスが影響しているのか、関係ない感作・アレルギーが成立しているのか、真相はよく分かりません。とにかく、症状が出る食物を除去し続けるしかないですよね。

魚介以外のフードチェーンで人工的に魚粉が餌として使われているのは、ちょっと心配だなあとは思います。魚粉の影響がないといいな、同胞のアニサキスアレルギーの患者さんの除去が、これ以上複雑にならないことを祈ります。

5.アニサキスアレルギーの難しさ

アニサキスアレルギーは、厳密には寄生虫に対するアレルギーで、狭義の食物アレルギーには当たらず食物関連アレルギーなのです。

生態系の中で、寄生虫が食べられて、それを食べた人が寄生虫に対して反応が出るという、ちょっと厄介なアレルギーなんです。

サバやイワシを食べてアレルギー症状が出て、サバやイワシの抗体検査は陰性、アニサキスの抗体検査は陽性ということもあります。

また、食べたサバにたまたまアニサキスが寄生していなければ、アニサキスアレルギーであっても症状は出ない当たりはずれもあります。

私も、診断前にサバの塩焼きを試し症状は出ませんでした。でも、サバの水煮缶は20gで呼吸困難になりました。圧力調理の際、水煮というよりアニサキス煮の状態で、アニサキスのエキスがしっかり染み渡ったサバだったのでしょうか。恐ろしや。。。

そういう訳で、一概に除去の範囲を決めることが難しく、アナフィラキシーを起こした患者さんは、完全除去からスタートすることが多いようです。

小児の食物アレルギーでは、除去範囲は最小限に留めるのが基本になっています。それに対し、成人のアニサキスアレルギーの場合、未知の部分が多く、食品中に含まれる寄生虫や原因タンパク質の割合にばらつきがあるので、現時点では除去範囲を広く取らざるを得ない、ということだと思います。魚介類が食べられるというQOLのため、ロシアンルーレット的にアナフィラキシー・命をかけるのは、バランスが悪すぎますよね。

どう除去すべきかが定まっていなく、標準的な診療ガイドラインもないので、治療する医師によって、除去の指示が曖昧だったり、正確でなかったり大きなばらつきがあることも問題の1つです(例 生魚だけ除去でOK、味噌汁のダシはOK、養殖魚はOK等)。その結果、アレルギー症状を再発したり、どう除去すべきか不明な中、不安を抱えて毎日の食事を取らなければいけないケースも頻繁に起こっています。 

アニサキスアレルギーが、ちょっと厄介な理由が、一般の皆様にも伝わるといいなと思います。

そして、食物アレルギーの同胞の皆様、原材料だけでなく、コンタミにもお気をつけ下さい!

いつもお読み頂き有難うございます。

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