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デザイナー目線で見る決算説明資料 #26 (ワットマン)

より良い投資家コミュニケーションの設計を目指す「IRデザイナー」が、ビジュアル・ワーディング・内容、3つの観点で気になった決算説明資料を毎週紹介していきます!
今回は、2020年11月23日〜11月27日に開示された決算説明資料を紹介します!

株式会社ワットマン(証券コード:9927)

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リユース・リサイクル事業を行うワットマンの決算説明資料です。

サービスのロゴやカラーから受ける印象とは異なり、落ち着いたカラーやフォントを利用されていて、ぱっと見ではこの資料からワットマンのサービスが結びつかないくらいです。
資料のブランディングと既存の会社のブランディングを完全に分けているパターンですね!

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ワットマンの資料の最初には、OVERVIEWとして、全セクションの概要が分かるページがありました。
業績の概要とか戦略の概要といったように、セクション内での概要ページを設けている資料は多い印象ですが、全セクションの概要があるのは珍しいなと思いました。
ここだけ目を通せば資料全体のポイントがしっかり抑えられるので、非常に親切なページだなと思いました!

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ワットマンの資料で特に目に止まったのは、コロナ影響のページで出てきた「従業員エンゲージメント」という言葉です。

従業員エンゲージメント:
会社や仕事に対する「思い入れ」と定義。当社店舗を対象とした分析では、離職率や生産性と強い正の相関があり、営業利益率に大きく影響

すべての意思決定は中期的な企業価値向上に資するか否か。そして中期的な企業価値向上のためには従業員エンゲージメント向上が不可欠、と言い切っています。

そのように思っている企業も多いと思います。しかし、目先の数値とか市場動向とか、そういったものに注目しがちな決算説明資料に、ここまではっきりと記載しているのはなかなかないように思います。

当社店舗を対象とした分析では、離職率や生産性と強い正の相関があり、営業利益率に大きく影響」とあるので、実際に分析した結果があるためここまで強く記載できるのだろうと思います。どんな分析を行われたのか、非常に興味があります・・・!

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従業員エンゲージメントの記載を見たあとに、資料冒頭の「ワットマンのこころざし」を見てみると、「ワットマンは、働く人を『幸せ』にするための手段です。」と言い切っていました。

ここも、「社会に必要とされる企業に〜」とか、「こんな社会を創りたく〜」とか、大きなことを書きがちですが(というか、それはそれで間違っていないとは思うのですが)、このこころざしはもっと身近なところにあり、従業員エンゲージメントが高まる要因にもなっているんじゃないかなと感じました。

また、これだけ見たら綺麗事のように見えてしまう言葉も、さきほどの資料から実際にこころざし通りの経営がされていそうなのが伝わりました。この一貫性はすごいです・・・!

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コロナ影響のページに戻って読み進めていくと、現時点での影響総括が「失ったもの」「失わなかったもの」としてまとめられていました。
この「失ったもの」「失わなかったもの」というワードがすごく良いなと思いました。

決算説明資料では「マイナス」「損失」、「維持」「継続」とかを使いそうな箇所だと思うのですが、これらのワードって堅いんですよね。それを、親しみやすい言葉にうまく言い換えていて、しかも「失わなかった」に関しては、現状維持のニュアンスだけでなく、やや希望をも含んだ表現になっているように感じました(否定が入ることによる力強さからかな?)。

私も、決算説明資料を作る際は、親しみやすい言葉を選ぶことで多くの人に読んでいただきたいと思っているのですが、このワーディングはその思いにめちゃめちゃ刺さりました。真似したいコトバです!

https://wattmann.co.jp/IR/LIBRARY/202103/202103_setsumei_2Q.pdf


今回の紹介は以上です!
ところで、もう12月に突入したことに驚きを隠せません。毎年言ってるのですが、今年こそ声を大にして言いたい言葉があります。
「今年、まじで何もしてない・・・」🥺

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