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捨てたい、けど捨てられない―機能不全家族で育って

第8回

父が営む写真屋は、いつでも客が少なくて暇でした。家族4人が生活するためにはそれでは困るのに、いつも父は「儲けようと思って店をやっているのではない。」と言っていました。

私たちが学校で必要な物、例えば上履きだって、小さくなっても買ってもらえず、かかとの部分を踏んで履いていて、いつも先生に注意されていました。散髪に行けず髪も伸ばしっぱなしでだらしなく、よく怒られていました。体操服の半ズボンに穴が開いても新しいズボンを買ってもらえず、穴が大きくなってしまって恥ずかしい思いをしたこともあります。服はいつも母方のいとこのお下がり、靴下は穴が開いても履いていました。同級生の中にはみすぼらしい私の姿を見て陰口を言う子もいましたが、それでも「買ってほしい」とは言えず我慢していました。

そして私たちは必要な物も与えてもらえないのに、父は趣味のカメラのレンズや写真を飾る額縁、酒やたばこなどを次々に買っていました。子どもの私たちがどんな思いで毎日を過ごしているかなど、少しも気にしていない様子でした。(緑:2021.12)


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