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トマトの心〜無限の可能性を生きる


夏休み最後の週末、我が家に泊まりに来た息子の友達が、えこりん村のトマトジュースを持って来てくれた。
なんと!このトマトジュース、1粒の種から1年で20,000個の実をつける「とまとの森」のトマトを使用している。
2013年11月10日に 世界一大きなトマトの木として世界記録に認定された。枝葉が広がる面積は85.46平方メートル。
一粒の種から20,000個のトマトが育つ秘密は水耕栽培。
しかし特別な品種ではなく、ごく普通にスーパーなどで売られているトマトと同じ。
「ひと粒のトマトの種が生育環境を整えるだけで、自分で考えて大きく成長し、真っ赤な実をたくさんつけて子孫を残す。トマトには潜在的な生命力、植物の無限な力がある」と 。
土がないのには理由がある。
のびのびと根を伸ばせるようにすることで、水の中に根が広がり、それに比例してトマトの木も大きく成長できる。
このような植物の潜在的な能力を引き出す画期的な栽培法は、植物学者・野澤重雄氏が発明した。
1992年上映された映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第一番」で野澤重雄さんのトマトを観た記憶が蘇った。
「人間がトマトを育てるのではなく、トマトが”心”のままに育つのをお手伝いする」というのが野澤さんの哲学だ。
温室の中央にある木箱の中に液肥槽(えきひそう)があり、上部にある深さ約10センチメートルの栽培槽との間を、肥料を混ぜて空気を含んだ井戸水が循環する。 当然農薬は使わない。
水や肥料をきめ細やかに調整するのはもちろん、毎日朝と夕方の30分間、植物が好むとされるモーツァルトの名曲やインドの古典楽器シタールの音色を聴かせるなど、トマトの成長に良いといわれることは積極的に取り入れている。
野澤さん曰く、トマトの”心”とは、私たち人間が言う心とは違う。
自分の存在を外部に向かって主張しようとする心ではなく、自分に与えられた環境をできるだけ素直に受け入れ、その中で精一杯生きようとする”心”だ。
野澤さんは「どのくらいの大きさに成長するかはトマトが決めるんです」と言う。
成長の初期段階で、トマトは、今回は水や栄養に制約がないんだ、と自ら判断して「自分はいくら大きくなっても大丈夫」と思い巨木に成長したのだ。
野澤さんは言う
「トマトに限らず全ての植物、全ての生命は"心"=判断力を持っている。私たち人間が、コントロールしている、とか作っている、という考え方が間違っているのです。
環境条件を感知し、自らの判断で変化しながら生き続けようとするトマトの叡智に学ぼうとする姿勢こそ必要なのです」
自ら思い込んで作った制限を取り払い、自分たちの持つ潜在的な生命力を最大限に生かしていかなければ・・。
巨木トマトのジュースを味わいながら思った。

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