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灯台のぼる記 #10 角島灯台

今回は、山口県下関市にある角島つのしま灯台にのぼります。
訪れたのは9月ですが、投稿するのをサボっていたら季節はすっかり冬になってしまいました。


角島は、山口県下関市にある離島。
人口はおよそ700人です。

角島大橋

2000年に架けられた角島大橋は、長さ1,780m。
これは、架橋当時としては無料で渡れる橋として日本最長を誇る長さでした。

SNSを中心に、映える風景として人気を集めるようになってきています。
この時も多くの人が写真を撮っていました。

角島大橋を渡り、島のちょうど反対側に建つ灯台を目指します。


こちらが、角島灯台。
塔の高さは29.61m。灯台の建てられた地面が海抜約13mと低いところにあるため、このようなすらっとした長身となりました。

23基しかない「Aランクの保存灯台」にも選ばれている歴史的価値の高い灯台です。2020年には国の重要文化財にも指定されています。

真っ先に目につく特徴は、その「白くない」外観。
県内産の花こう岩を使って作られた角島灯台は、独特の茶色っぽい色をしています。
ちなみに、こうした無塗装の灯台は、角島灯台を含めて日本に2基しかないそうです。(もう1基は、香川県の男木島にあります)

踊り場下部の切れ込みの装飾もおしゃれですね。
なお、レンズは高さ約2.5mの第1等フレネルレンズ!この大きさのレンズを持つ灯台は日本に5基しかありません。
ただし、踊り場との位置関係などの要因で、レンズをじっくり見るには不向きな灯台です。これは残念。


別の角度から灯台を見てみます。
塔の根元部分に、扇形の建物がくっついている様子が分かります。
扇形の付属舎といえば、そう、ブラントンですね。

リチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton, 1841年12月26日 - 1901年4月24日)は、イギリスのスコットランド出身の土木技術者で、明治政府に灯台建設主任技術者として雇われ、明治初期の灯台建設を指揮した。「日本の灯台の父」と讃えられている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3

彼が設計した灯台の多くに、同じような形の意匠を見ることができます。
それぞれの個性を生かしながらも、共通のモチーフを入れてくるあたり、ブラントンはなかなかのやり手です。

なお、上の写真で灯台の左側に見えている2階建ての建物には、照射灯が収められています。
この照射灯もなかなか好きです。
いぶし銀の活躍で海の安全を守る職人的航路標識で、いつかちゃんと取り上げて紹介したいなぁ。


灯台入口に掲げられた初点プレート。
1876年の記述が見えます。
このプレートをくぐり、灯台へと足を踏み入れます。

階段を見上げたところ

内部の螺旋階段にも花こう岩が使われています。
塔内部は無機質な灯台が多い中、ここでも抜かりなく個性を発揮してくる角島灯台、おそるべし。

階段は全部で105段。
最上部はお約束の、急な階段になっています。
たいていは手すりが取り付けられていますが、ここは代わりにロープが垂らされていました。
なんか怖い…。


のぼりきって見える風景がこちら。

北方向
東方向
南方向

のっぺりしていますね。
南方向、方角的には九州なんかも見えるんじゃないでしょうか。
地理に疎いので私はわかりませんでしたが。

雲が多くてどんよりしていましたが、波はなく海面は穏やかでした。


灯台の上で潮風を堪能したあとは、島内をふらふらめぐってみました。

かわいい消波ブロック。奥は角島大橋
山口県名物、みかん色のガードレール。
海鮮丼。観光地価格&観光地クオリティで微妙。

すっきり快晴!といかなかったのは残念でしたが、それでも離島特有ののんびりした時間を感じることができました。
そして、それに似合わぬモダンでスタイリッシュな角島灯台。
1等レンズの迫力も感じられて、なかなかおすすめの灯台でした。

次回は灯台界のキング、出雲日御碕灯台にのぼります。

2022.12.06








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