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初心者でもできる権利化のススメ【商標登録編】

みなさん、元気ですか!?
ご無沙汰しております。宮城県仙台市のパッケージメーカー・有限会社スマッシュの荒木賢一朗です。

ワクチンの接種が急速に進み、ようやくコロナ禍の出口が見えつつある空気感になってきましたね。

さて、今回のエントリーでは、当社がコロナ禍の最中に取り組んだ「権利化」について書いてみます。

駅弁やお土産のパッケージを製造している当社は、コロナ禍で人の移動が制限されたことにより、売上が大幅に減少。「これはいかん。景気や季節に影響されないプロダクトを生み出さなくては!」と思い立ち、自社オリジナルの製品の開発に着手しました。

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そこで生まれたのが、この箱です。これは、配送に適した段ボール箱でありながら、内側には開けてびっくりのオフセット印刷が施されています。

「外装箱」と「化粧箱」の機能がひとつにまとまっているので、ECで過剰包装を避けることができ、梱包のオペレーションも容易。環境負荷の低減も実現する賢いパッケージです。

しかし、その当時の日本には、この箱の機能や魅力を示す適切な名前が存在しませんでした。

そこで私は、この箱をSMART CARTON®︎(スマートカートン)と名づけ、商標登録をすることにしました。

少しの苦労はありましたが、この商標登録願が認められ、SMART CARTON®︎は有限会社スマッシュの登録商標となりました。

おかげさまで、お客様から「SMART CARTON®︎の見積もりをもらえますか?」という問い合わせをいただく機会も生まれ、本当にやってみてよかったなぁと実感しています。(製品が気になる方はこちら

あと、自分の付けた名前をみんなが普通に呼ぶようになるのは、けっこう快感です。笑

せっかく良い経験ができたので、備忘録をかねて、商標が登録されるまでの流れを書き留めておきます。

これから権利化を目指す人の参考になれば嬉しいです!


商標登録の大まかな流れ(自社出願の場合)


1.商品名(商標)を決める

商品名を考えるのは最も楽しいひとときですが、意外と大切なのは「前例がないか調べること」です。どんなに良いネーミングをしても、前例があればパクリになります。「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で、類似の商標がないか確認しておきましょう。商標は誰かが同じものを出願していたり、すでに登録されていたりすると登録できません。せっかく出したアイデアが無駄になるおそれがあるので、リサーチをかけましょう。

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) https://www.j-platpat.inpit.go.jp

2.知財総合支援窓口(INPIT)に相談する

次に、どんな商標を登録したいのか、専門家に相談します。最寄りの知財総合支援窓口に相談すれば、担当の方が手厚くフォローしてくれますよ。・・・というか、事前に相談窓口を把握しておかないと、商標登録が順調に進んでいるのかどうかわからなくなるおそれがあります。専門家と信頼関係を結んでから、次のステップに移行しましょう。

3.「商標登録願」を簡易書留で郵送する

登録したい商標が決まったら、「ここからは金がかかるぞ!」と腹を決めて、「商標登録願」を作成して、特許庁長官宛に送付します。大きめの郵便局に行き、特許印紙を調達し、簡易書留で発送しましょう。ちなみに「特許印紙」は大きめの郵便局の窓口で購入できますが、郵便局内でも特許印紙の扱いに慣れていない人が多いようで、注文すると慌てさせてしまうことがあります。笑

●送付物
1. 商標登録願
2. 早期審査に関する事情説明書
●かかるお金(例)
特許印紙¥12,000(1件)
(後で)電子化費用¥1,900+手数料

4.「登録査定」が届いたら「商標登録料納付書」を簡易書留で郵送する

商標登録願の発送後、圧着ハガキなどが何回か届きます。「ついに商標登録になったか!?」と興奮してハガキを開くと、「おたくの書類は受け取ったよ」とか「J-PlatPatに載せるから電子化費用払ってね」とかいう通知だったりするので、肩透かしを喰らいます。商標登録が内定したことを示す「登録査定」は、A-4サイズの封筒で届きます。

登録査定が届いたら、すかさず「商標登録料納付書」を作成して、また特許印紙を貼り付けて特許庁に送りましょう。

●送付物
1. 商標登録料納付書
●かかるお金(例)
商標登録料納付¥28,200(1件/10年)
※当然ながら商標登録が認められない「拒絶査定」が届くこともあります。この場合、「手続補正書」「意見書」などを送付することで、食い下がることもできますが、うまく行ったとしても、登録査定までさらに3〜6ヶ月くらい待つイメージです。

5.「商標登録証」が届いたらすかさず額装!

ちょっと立派な厚紙に印刷された商標登録証が届いたら、ファイリングするか、額装して大切に保管しておきましょう。ずっと書類のやり取りで進んできた「知的財産」が見える形になるので、ちょっと興奮します。

商標登録は、納付した登録料に応じて、数年後に登録が切れてしまいます。そこで「特許(登録)料支払期限通知サービス」という数年後に登録切れリマインドしてくれるありがたいサービスがあるので、登録しておきましょう。まだリマインドされたことないけど。

特許(登録)料支払期限通知サービス https://www.rpa.jpo.go.jp/rpa-web/GP0101

以上です!

意外と簡単ですよね。ポイントをざっくりまとめると

・うまくいくと商標は3〜6ヶ月で登録できる。

・1件につきお金は5万円くらい必要。

・パソコン、郵便局、専門家の力を借りる。

といったところでしょうか。

当社は泥臭くも自社出願しましたが、弁理士に相談すると、もっとスマートに出願できると思います。

それでは、みなさんも素敵な権利化ライフを!

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