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顧客と継続的な関係性を築くために重要なリテンションマーケティングとは?

デジタル・コンテンツをはじめ、音楽や食品、IoTビジネスまであらゆる業界で導入され、定着したサブスクリプション。

商品を単に「売る」のではなく、今いるユーザーをいかに満足させ、長期的な関係を築くことができるのかが重要になります。既存顧客との関係性に着目した「リテンションマーケティング」手法が注目されるゆえんもそこにあると言えるでしょう。

一方で、以下のような声も耳にします。

「リテンションマーケティングって結局どう進めるべき?」
「リテンションマーケティングはどんなメリットがあるの?」
「リテンションマーケティングの重要さは理解しているけれど、具体的にどんな施策が必要かわからない」

当社ではサービスの「解約」というタッチポイントで、顧客とのコミュニケーションを図り、解約抑止・分析を行っています。ユーザーの解約理由などを取得した上で解約抑止に導いたり、顧客企業に解約以外のブランディングや獲得、ロイヤルティ向上などフィードバックを実施したりするなどの「リテンションマーケティング」を展開してきました。

顧客維持を意味する「リテンション」の3つのメリット

「リテンションマーケティング」の「リテンション(retention)」は、保持や維持との意味を持っています。特にマーケティングにおいては、既存顧客の維持や関係性を定着させる活動や施策として用いられます。顧客の満足度を高め、安定した関係を築くために行うのが「リテンションマーケティング」なのです。

リテンションマーケティングにはさまざまなメリットがありますが、代表的な3点についてご紹介します。

1.新規顧客獲得より高い費用対効果が得られる

ビジネスを成長させるための大きな要素として、新規顧客獲得があります。しかし、顧客を0から開拓するためには想像以上の時間と労力、何よりコストがかかります。

マーケティングで頻繁に用いられる「1:5の法則」をご存じでしょうか。新規の顧客を得るためには既存顧客の5倍のコストが発生するという考え方です。ちなみに新規顧客を得るためのマーケティングは新規顧客を得るためのマーケティング手法はアクイジション(Acquisition)と呼ばれています。

0から新規顧の客を獲得するためには、広告や営業にそれなりにコストをかけなければなりません。一方でロイヤルティが高い既存顧客は中長期的にサービスを利用し続けるケースが多く、売上の貢献度も高いのです。既存顧客との関係性に重きを置くリテンションマーケティングは、「1:5の法則」を如実に示している形態と言えるのです。

とはいえ、アクイジションマーケティングが必要なシーンももちろんあります。ただ、同じ条件でマーケティング施策を打つ場合には、リテンションマーケティングのほうが高い費用対効果を得られるメリットがあるのです。

1-1. FRSで効果が高い
リテンションマーケティングへのアプローチは多種多様ですが、当社ではチャットボットを活用しています。顧客の温度感を数値化する独自のFRS (Favorability Rating Score)の技術を採用しています。

FRSにより、チャットボットが人間のように空気を読み、顧客一人ひとりに合わせた個別の対応を実現しました。解約抑止につなげる他、One to Oneで取得したデータを再入会や再購入の可能性がある見込み顧客育成に活用できるのも利点の1つです。

1-2. 休眠顧客にもアプローチできる
休眠顧客・離反顧客とは、過去にサービスを利用、製品購入があったものの、一定期間にわたり利用がないユーザーです。休眠や離反理由を分析、改善を行い、適切なリテンションを実施できれば、休眠顧客・離反顧客を再び掘り起こすことも可能になります。

2.VOC取得によりロイヤリティ向上とファン増

解約手続きと言えば電話を連想する方も多いのではないでしょうか。電話での解約はユーザー側の本音を隠してしまう側面もあります。またサービスの解約抑止を意識するあまりに、解約手続きを煩雑にする企業も少なくありません。
一方でユーザーの立場に立つと、煩雑な解約手続きにストレスを感じるのも事実です。解約を急ぐあまり、無難な理由を伝えるユーザーもいるでしょう。しかし、「顧客の声」VOC(Voice of customer)は商品やサービスへの率直な感想になります。今後のマーケティングに生かせる金言でもあるのです。

2-1. 顧客の声を明確にでき、マーケティングに生かせる
チャットボットでの解約であれば、クリック1つで理由を示せます。選択肢の中からクリックするだけですから、本音を伝えやすいのです。「解約」はネガティブな言葉ですが、解約理由を知ることはマーケティング施策の再考にも役立ちます。

また、「何となく」解約を考えていた既存顧客に対しては、解約抑止効果も高まります。ユーザー各々に合わせ、きめ細やかなコミュニケーションを取ることでロイヤルティを高める効果もあるのです。中長期視点では、LTV(顧客生涯価値)の向上へとつなげることも可能となります。

2-2. 口コミがさらなるロイヤリティ向上へと波及
リテンションに注力、適切なアプローチが奏功すれば、既存顧客がブランドや商品、サービスへの信頼や愛着を高める成果が得られます。このようにロイヤルティがアップしたロイヤルカスタマーは、高いリピート率を誇り、購入単価を引き上げるなど企業にとって大きな存在となります。

ロイヤルティの高い顧客は、SNSなどへの好意的な口コミや新規紹介などを行いやすい傾向にあるとされています。口コミや紹介が呼び水となり、新たなコストをかけずに新規顧客を獲得できるメリットも考えられます。

2-3. 的確なフィードバックで商品やサービスへの課題を明確にできる
「解約」を契機に得られた顧客の率直な意見やアンケート結果などVOCデータが得られるのもリテンションマーケティングならではの利点です。VOCの分析により、自社の立ち位置や強みに加え、課題やウィークポイントなども明確にみえてくるはずです。従来のマーケティングでは気づくことのできなかった顧客ニーズ、ターゲットの見直しや施策のあり方などへ活用できます。

最後に

サブスクや定期購入の「解約」については、どうしてもネガティブな印象が先行しがちです。しかしユーザーの流入経路が判明したり、コミュニケーション次第で解約を抑止したりできるチャンスでもあるのです。

リテンションマーケティングとは、継続的に自社の商品やサービスを選んでもらうために欠かせない視点です。また顧客との良好な関係を保ちながら収益向上を目指すための積極的施策として今後ますます重要になっていくでしょう。


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