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「合理的な意思決定をできる会社」の実現のために。SmartHRデータアナリストの挑戦

社内外のデータを活用し、事業課題の特定や解決を推進していくデータアナリスト。SmartHRでは、マーケティングやセールス施策のサポートだけでなく、より大きな事業課題へのアプローチや意思決定の精度向上のために、データ分析を最大限活用しています。SmartHRのデータアナリストは、実際どんな仕事をしているのか?この記事では、アナリティクスユニットの和田慶さんにお話を聞かせてもらいました。

話者のプロフィール

和田 慶/マーケティングアナリスト
大学院で金融工学を修了後、保険業界のクオンツアナリストとして定量分析モデルの構築と運用に携わる。その後、企業情報プラットフォームのプロダクト開発でのデータ分析を経験。2023年にSmartHRへ転じ、マーケティングを中心とした分析基盤構築とデータ活用推進に取り組んでいる。

ビジネス活動が目の前で変わるのに惹かれ、マーケティングアナリストの道へ

──まずはSmartHRに入社するまでの和田さんのキャリアを教えてください。

和田 慶さん(以下、和田):大学院で金融工学を研究していまして、そのまま金融機関でクオンツアナリストという金融市場を定量分析する仕事をしていました。新卒から4年間働いて、すごく好きな仕事でした。でも働く中で世の中の働きがいや組織づくりの改善にも興味を持っていったんです。同じデータ分析でも、もう少し組織づくりや改善に関われるような仕事がしてみたいなと考えて、企業情報プラットフォームを提供する企業に転職しました。

転職先では、プロダクトサイドのデータ分析に携わってきました。自分の分析がサービス改善にスピーディに反映されていくのが面白かったです。その中でマーケティングやセールスの人と関わる機会もあって、ビジネスサイドの分析も面白そうだなと、興味を引かれました。

──どんな点に興味を持ったんですか?

和田:データ分析を受けて、実際のビジネス活動が目の前で変わるのを見られるところが、すごく面白いと思いました。もちろん開発サイドでも、世に出てくるプロダクトの開発や改善に影響を及ぼせる面白さはあったんですが、マーケティングやセールスといった組織の意思決定に関われるところに、僕は惹かれたんですよね。それで、ビジネスサイドでのデータ分析に携われる会社を探してSmartHRに入りました。

──さまざまな選択肢があったと思いますが、SmartHRを選んだ決め手は?

和田:社会人経験を通して考えていることなんですけど、僕は自分も周りも、楽しく働いていたいんです。自分がそういう状態じゃないとしたら改善しようと思います。自分がつまらなそうに働いて、周りにいる人につまらない思いをさせたりもしたくない。データ分析の仕事をしていると数字に向き合うばかりになってしまうこともありますけど、僕は人が好きなんで、誰かと一緒に楽しく働くことを大事にしたいんですよね。

だから、SmartHRのミッションである「well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。」という言葉は僕の思いにすごく合っているなと思いました。

手一杯の現状を変えるためにあえて領域を広げ、汎用性を見出した半年間

──SmartHRで実際働き始めてからはどうですか。ギャップなどはありましたか?

和田:ビジネス組織の意思決定に携わりたいとずっと思ってきて、実際に関われる仕事とのギャップは全然ないですね!

印象的だったのは、思っていた以上にきちんとデータを見て、合理的な意思決定をする姿勢が全社的に浸透しているところでした。

本来データというのは、合理的な意思決定をするための根拠や因果関係を説明する道具なんです。でも往々にしてあるのが、データを出しても全然関係ない、人間関係的な力学で意思決定がなされてしまうケースで。SmartHRでは、そういうことはまったくないです。これはいい意味でのギャップでしたね。

あとは、みんなすごく数字が好き(笑)。データ、使ってくれるんですよね。

──どんな職種でもそうなのでしょうか?

和田:はい、目標を明確な数字で設定しているし、目標を達成するために何をするかを考える際にも、ちゃんと数字を見て考えようという意識が根づいていると感じます。経営層、マネジメント層だけでなく、メンバーレベルにも浸透しているのは、なかなかすごいことだと思います。

──データ分析・活用に関してギャップはなかったとのことですが、日々の業務で苦労したことなどはありますか?

和田:入社したばかりのときは、正直、データアナリストとして理想的な動き方ができているとは自分では思えなかったですね。さっきお話ししたように、みんなデータ大好きなんで(笑)、どんどん仕事の相談が来るんですよ。現場の施策一つひとつをとっても、振り返りのためのデータがほしいですし。それを打ち返すだけで精一杯になってしまっていました。

このままでは、大きな仕事、つまり組織全体を次のステージに引き上げるための基盤づくりや、大きな意思決定に能動的に関わっていける余裕が持てないなと。データアナリストとして事業により大きなインパクトを与えるなら、そういった分野にリソースを割けるような状態をつくらなければなりません。そこで、ちょっとスタンスを変えてみることにしました。

──どのような変化でしょうか?

和田:入社してすぐは、僕はマーケティングの中でもデジタルマーケティングの領域だけに限定してデータ分析を担当していました。それだけで結構手一杯だったんですけど、あえて領域を広げてみたんです。イベントマーケティング、リードナーチャリング、コンテンツマーケティング、インサイドセールス領域、アナリティクスユニットに来ている仕事にできるだけ関わらせてもらって一つずつ勉強しました。

これで何が解決されたかというと、膨大な案件を扱う中でインパクトを出すコツを習得したんです。あえて領域を分けずに全部見ていくことで、異なる領域であっても、目的や課題、データ可視化の要点のほとんどは共通していることに気づきました。その共通項に基づいて取り組むべき課題を繋げて考え、共通した分析データ基盤をつくれば、作業コストも下げられるし一つの業務で大きなインパクトが出せるようになります。

これに気づいてからは、ずいぶん変わりましたね。全てのマーケティング分野を統合した汎用的な分析基盤をつくって、現場の個別案件にはすぐに対応できるように改良していきました。さらにその分析基盤をノーコードで、マウス操作だけでみんなが使えるようなツールを導入することで、マーケティングやセールスの人が、自分たちでできそうな集計や分析は自身でできるように整備していきました。

これで、みんなができる分析はみんながやって、現場のPDCAのスピードは改善し、アナリストは大きな仕事にリソースを割ける余裕ができるようになりました。ここまで6〜8か月くらいはかかりましたね。

マーケ分析を次のステージに進めるためのデータ基盤整備

──次の段階はどんな業務をしてきたのでしょうか?

和田:マーケティング分析を次のステージに進めるための準備として、データ整備を行ってきました。

SmartHRに興味を持ってくださった見込み顧客をセールスにトスアップする過程では、見込み顧客がどんなことに興味をもっているのか、どんな課題があるのか、商談の可能性はどれだけあるのか、データで知りたいですよね。これをするには、マーティングコンテンツの一覧化、コンテンツのタグ付け、名寄せ、顧客の活動履歴との紐づけなど、データ基盤をしっかり整備する必要があります。そこを一気に完成させていきました。特にタグ判定の統一化には一度全てのコンテンツに目を通す必要がありました。

──情報は膨大にありますが、それを和田さんが手作業でタグをつけていったんですか!すごいですね!

和田:そうですね、最初のうちは本当に、自分の目で全部見てやってました。本当は最初からAI使ってやればいいのかもしれないですけど、それだとうまくいかないんですよね。ほかのデータアナリストはあんまりやらないかもしれないです。でも、必要な泥仕事から逃げないことが、僕は大事だと思っていて。

僕が最初に携わっていた金融工学だと、分析するためのデータは株価など、数字として確かなものでした。一方、マーケティングなどビジネス組織のデータは、人が判断して手で入力するものだから、ブレが生じる可能性がある。ちゃんと入力してくれていたとしても、分析できない形になっていては意味がない。だからこそ、データ一つひとつを見て内容をよく把握しておいたり、その上で入口の設計をしっかり固めることが大事なんです。

ちゃんと整備されていればすごい価値が出るデータが、SmartHRにはたくさんありました。ダイヤの原石がいっぱい転がっているのを、一個一個磨いていく。面倒くさいと思うこともありますが、必要なことはちゃんとやるのが大事だと僕は思っています。日々の生活でトイレ掃除をちゃんとやる、雪かきをちゃんとやる人が必要なのと同じです。

──効率化できることはツールをつくるなどして効率化する、その一方で必要な作業は端折らず、ていねいに組み上げていく。これが大事なんですね。

和田:データの基盤は、組織の中で中長期的に活用されていくものです。その設計と整備を一度は丁寧にしっかり取り組むことは、その後の事業に与えるインパクトは大きいと考えています。もちろん整備の過程自体の効率化も大事だと思います。

他部署との連携のために意識していること

──和田さんはマーケティングやセールスの領域を限定せずに広く関わっているとのお話でした。他部署との連携はどのようにしていますか?

和田:数字とは違う部分も理解しておくようにしています。ミーティングにもなるべく顔を出して話を聞きますし、あとはSmartHRでは社内ですべてのドキュメントを公開しているので、大事そうなものやデータ活用が関わるものには目を通します。完璧、というわけにはいきませんが、できるだけ自分も現場に近づいていくようにしています。そうなると、その分野での課題や、それを解決するための仮説を出せるようになるんですよね。

──それは心強いですね。

和田:僕たちのほうこそ、仕事をするうえで他部署のチームには本当に助けてもらっています。データ基盤をつくるにも、コンテンツ制作やプロセスを担うチームの協力なしにはできないことですからね。

そうやって協力してもらったからには、チームにも還元していけるものにしたいですし。データ基盤整備でタグ付けに協力してもらったら、それをコンテンツチームが使える形に可視化して、コンテンツ制作の際に実績を数字で見られるようにするなど、借りた力はちゃんと返していけるようにいつも意識しています。

「合理的な意思決定をちゃんとできる会社」になるためのデータ分析

──データアナリストとして着々と歩みを進めている和田さんですが、これからSmartHRでどんなチャレンジをしていこうと考えていますか?

和田:そうですね、これまでやってきたことから繋がっていくものですが、まずはメンバーとデータの距離を近づけること。先ほどお話ししたノーコードの分析基盤もそうですが、誰でもすぐにデータを活用して仮説検証できる環境をより広げていきたいです。

もう一つの方向性としては、合理的な意思決定をちゃんとできる会社の実現に貢献していきたいと考えています。「合理的な意思決定」とは、取り組む課題を適切に選ぶこと、そして仮説の検証をなるべく高速で回して迅速な意思決定に至ること、の2つの要素に分解できます。この2つを組織全体ができるようにするというのが、僕が達成したい目標です。

そのために具体的に取り組んでいることとしては、マーケティングデータの基盤は、入社してから今までである程度つくってきました。今後はさらに先のフェーズ、インサイドセールスやセールスの領域まで広げていきたいと考えています。ゆくゆくは、予算の配分など、経営レベルの意思決定にも、データアナリストとして介入できるようになりたいですね。

──データアナリストの存在感もますます増してきますね。

和田:率直に言ってしまうと、これまでSmartHRの中でデータアナリストは、ビジネスを動かす際に支援する役、サポート役でした。それを今後は大きくシフトさせようとしています。より大きな意思決定に介入できる存在になること、ひいてはその先で結果を出すところまで一緒にやりきること。これを理想に置いて、今後もチャレンジしていきます。

──スケールアップ企業として進化を続けるSmartHRの中で、データアナリストの皆さんも大きな方向転換を始めているんですね。最後に和田さんが感じている「SmartHRで働く面白さ」について聞かせてください!

和田:まず、組織として越境ウェルカムなのが面白さの一つですね。入社してから関わる領域を広げた話をしましたが、あれも別にマネジメント側から指示を受けたり許可をもらったりしたわけではなくて、自分がそうしたいと思ったら、できる。いくらでも挑戦できる環境はあります。

これが面白さの一つめで、もう一つは、会社としても個人としてもすごく目標が高いところです。達成するには大胆な意思決定も必要ですし、中途半端なことをやっていたら無理です。達成できなければめちゃくちゃ悔しいですけど、やっぱり難しいからこそ、面白さがあるんですよね。

会社としても高い事業目標を掲げて、みんなそこに向かって走っています。今後SmartHRがどういう組織になっていくかは想像もできないですけど、できればみんなと一緒に走って、事業目標の達成を見届けたいですね。


和田さんが公開したnote記事もぜひご覧ください。

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