SDGs史#11 SDGsのロゴ・デザインに至る半世紀の物語り
これまでのSDG史の流れをうけて、SDGsのロゴとストックホルム人間環境会議の関係を書いてみます。
メッセージは、教育が大切、という当たり前のものです。「理解し、行動する」、そして、歴史から学ぶ意義を考えるきっかけになると嬉しいです。
©国際連合広報局
SDGsは、誰にもわかりやすく、行動に移しやすい、と印象付けがブランディングの成功の肝だったと思います。
ロゴを開発したスウェーデンのデザイナーであるヤーコブ・トロールベック氏は、「行動に向かわせるコミュニケーションをどうデザインするか(これは、氏の言葉ではなく、記者の言葉?)」に注力そうです。
そして、日本では、ご存じの某大手・広告代理店が、それを普及するよう動きました。キーワードを自分事に感じられるようにしたそうです。
だからこそ、これまで国連の動きに関心のなかった方々も今では当たり前に目にし、耳にします。『note』にSDGsの記事があふれ始めているのもそのためです。その意味で大成功です。
最近だと菅総理の「脱炭素宣言」もインパクトがありました。とくに、企業や自治体の方は、どうすればよいのか?が切実になりつつあります。その手掛かりとして、SDGsにつながる方々も多いかと思います。
そこにどんな背景と経緯があったのかを留意してみるとSDGs史とのつながりが見えてきます。
トロールベック氏の経歴をみると、スウェーデン出身です。年齢を考えると1970年代にティーネイジャーとして過ごしています。
その後、アメリカ・ニューヨークに事務所をかまえて活躍します。1980~2000年代のアメリカは、前回に話題となったテック企業の黎明期で、トロールベック氏は、GoogleやAppleのブランディングを手掛けています。MTVとも仕事をし、2007年にTEDでプレゼンをし、そこでデジタル時代の音楽メディアを再思考しています。要するにデジタル時代のブランディング・メディアに精通していたんですね。
一方で、トロールベック氏は、スウェーデンに新しい会社を立ち上げ、そこで20年以上にわたって「サステイナビリティ」を主眼として企業のコミュニケーション戦略をコンサルティングしています。
こちらは、テック企業相手よりも、ルイ・ビィトンなど小売業で力を発揮している印象です。もちろん、他にもたくさんです。
トロールベック氏のことを調べて思うのは、ファッション業界で、エシカル消費がきているのは、なるべくしてだと感じます。やはり、ビジュアルがあって、理屈があって、ストーリーになりやすい、と思います。どんどん、こうした方向に進んでもらいたいと思います。
その会社のHPに企業「哲学」が掲げられています。割と公共セクターに近い仕事をしている身として、耳が痛く、同時に、「教えてください!」ってなる部分を抜粋し紹介します。
We translate the language of organizations and governments into clear messages that everyone can understand and act on.
(Oh.の勝手な訳; 私たちは、皆さんの組織と政府の「ことば」を、誰もが理解し、行動にできる、はっきりとしたメッセージへと翻訳します。)
SDGsのロゴの神髄だと思いました。国連がはっする特殊な「ことば」を誰もが理解し、行動できるように翻訳しています。ただし、ロゴはあくまで一つの成果であって、そこからコミュニケーションが継続することが、とっても大切だと思うんです。国連の「ことば」が、どんどん日常生活に浸透していく、壮大なブランディングですね。
と、中書きが長くなりました。では、ストックホルム人間環境会議とどう関係するの?を最後に書きます。
間接的にですが影響は大きかったと思います。それは、20年前に、トロールベック氏がスウェーデンに会社をつくるときの立地の選定を思い浮かべると明らかかと思います。
もちろん、故郷を言うことが大きかったでしょう。
機会があったら、そこら辺の経緯を伺いたいですが、裏をとっていないので一般論を書きます。
2000年頃のスウェーデンでは、クライアントとその顧客はもちろんのこと、従業員もサステイナビリティがすでに共通言語であった点は大きかったと思います。当然、ビジネス戦略に大きく影響を与えたでしょう。
逆に、もしトロールベック氏自身が、同じことをニューヨークでやろうとしたら、難しかったかもしれません。おそらく、人材集めに苦しんだでしょう。
デジタルブランディングでは最適であった都市が、必ずしもサステイナブルで最適な都市ではないのだと思います。
スウェーデン・ストックホルムに本社を構える意義は、すでにサステイナブルでブランド化されていて、かつを相互に強化しあえる関係にあった点だと思います。
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そして、ストックホルムがサステイナブルでブランド化した理由の一つが、1970年代の環境教育から始まり、サステイナビリティ教育へと深化していった教育システムが基盤にあったと思います。ストックホルム人間環境会議がその初期の大きな原動力となったわけです。
Photo by Tim Mossholder on Unsplash
そのように整理してみると、SDGs史で見てきた北欧の50年、アメリカの50年が少し重なってきませんか?
これからの10年、50年は、若い世代の礎を築く時期かなと思います。なので、地道にでも歴史的な視野で、SDGsを考える、自分事にする知見を提供できればと思います。
ただ、国連およびトロールベック氏が提示するように「理解し、行動する!」が大原則です。そちらも時機を見て、発信するかと思います。
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