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偏差値はKPIですか?

最近、経済系のサイトや動画を見る機会があり、この業界の方がKPIという言葉をよく使われるので、調べてみました。

KPI(重要業績評価指標)とは
業績管理評価のための重要な指標。KPIを正しく設定することは、組織の目標を達成する上で必要不可欠である。

数値化された正しい目標設定という感じでしょうかね。受験業界では真っ先に思う浮かぶのが、偏差値でしょう。

実は私は、ほとんど偏差値を気にせずに仕事をしています。

偏差値は参考程度でしかない

一番の理由はいちいち偏差値を確認しなくても、大体の数字はわかることが挙げられます。数学、物理、化学については、受験生の理解や問題の解け具合をみると、当たらず遠からずの数字はわかります。実際の模試の結果を持ってきてもらって、ずれがないかを確認しています。大きくずれることは皆無といっていいと思います。

また、生徒に向けて、偏差値が云々ということもほとんどありません。医学部を志望している生徒に、河合塾の全統記述模試で62.5以上ないと医学部の挑戦権はないよ、それくらい厳しいからねというくらいです。

偏差値を上げるための教育は無意味

塾に対して、偏差値を上げるための教育をしているという見方をされている社会的な風潮があるかもしれませんが、少なくとも大学入試において、そんなことをしても何の意味もないと思っています。

時々、学校が宿題として進研模試の過去問を数年分課している場合がありますが、あれの方がよっぽど偏差値のための勉強ではないかと思うほどです。

そのためか、私は偏差値が受験におけるKPIだと思ったことはありません。偏差値はあくまでも目安であり、志望校との差が10くらい離れていれば、受験は厳しいくらいの理解でいいのではと思います。

では、何を重視しているかというと、当たり前のようですが、各教科の基本の習熟に神経をつかっています。基礎の理解は重要です。また、自学の徹底にも気を使います。これは受験問題集の進捗状況などを参考にします。これらは数値化が難しいですが、受験生とのコミュニケーションなどである程度の数値化に近いイメージをとっていきます。

KPIとなれるのは何か?

受験がリアルな状況になれば、共通テストの数字と志望大学の過去問の解け具合を重視します。KPIとして数値化して判断できるのは、これくらいではと思います。

国公立大学の志望者の場合、私立の併願先を決める際に、偏差値を活用する場合がありますが、それでもグループ化しています。具体的には以下の記事に書いています。

絶対的な指標はあると便利だと思うが、現実には存在しない

偏差値は相対的なものですが、理系科目の基本事項は、絶対的な指標を取り入れることが可能ではと思っています。なので、高校生の学習にもそのような指標を設けてはどうかと思っています。高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)に近いイメージです。

それがあれば、KPIとして活用するのではと思います。ここからデータを取れば教育の向上にもつながるのではと思います。

ペーパーテストには、メリットがあるのは動かしがたい事実。

ペーパーテスト批判や一般入試が時代遅れだと主張される先生方の大半は、偏差値教育というものに批判的なんだろうと思っています。その主張には、一定の理があり、おおむねおっしゃることには賛成ですが、だからペーパーテストはよくない、一般入試は時代遅れであるということには、同意しかねます。

もともとペーパーテストは、アイザック・ニュートンが学生の理解を確認するために導入したものだとされています。学生をふるいにかける道具ではなく、理解度のチェックとしてはじめたものです。

ペーパーテストが理解の確認という側面を持ち、ある程度の効果が確認されている以上、ペーパーテストを全否定することは、合理的でないのは明らかではと思います。

よくできる生徒たちは、難関大の問題を楽しんで解いています。彼らにとっては、詰め将棋の難しいやつに挑戦している感じではと思います。解けても解けなくても楽しそうです。楽しく勉強し、そこから一定の知見を得ている以上、どこに批判するファクターあるのか私には理解ができません。

偏差値は良くも悪くもない。

普通に勉強して、かつ頑張ったら数字が上がった。それが偏差値ではないのかなと単純に思うのです。それがいいとか悪いとか、そんな指標を持ち込むようなものなのでしょうか。

少なくとも偏差値は大学入試のKPIではありません。絶対に。


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