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2つのポルトガル語(伯葡語×欧州葡語)

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ブラジルのポルトガル語(伯葡語)とポルトガルを初めとするブラジル以外のポルトガル語(欧州葡語)では著しく異なる単語や表現をメインに紹介していきます。
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【2つのポルトガル語】: 伯葡語では 「nascer」(生まれる) を【ナッセール】と、欧州葡語では【ナシェール】と読む

なんてことはない…、先日アップした 「ブラジルのいじわるばあさん」の記事を改めて見ていたら、 「あ、そうだ、そうだ!」 と思い出してしまったので…!w ❇❇❇ そうなんです…、 ブラジルのポルトガル語、 つまり伯葡語では 「生まれる」と言う意味の動詞である 「nascer」を【ナッセール】と、 あたかも「sc」が「ss」であるかのように 発音します。 一方、ブラジル以外のポルトガル語、 つまり欧州葡語では 同じ「nascer」動詞を 【ナシェール】と発音するのです!

ポルトガル語と私

日本では、在日ブラジル人コミュニティーの拡大もあり、「ポルトガル語といえばブラジルの言葉」という印象を持っている人も少なくないのではないでしょうか。 ところが、実は、話者人口でこそブラジルが一番であるものの、ブラジルのポルトガル語(伯葡語)が用いられているのはあくまでもブラジルのみで、その他7か国に上る葡語圏の国や地域ではポルトガルのポルトガル語(欧州葡語)が話されています。 また、伯葡語は、欧州葡語話者の耳には乱暴で不仕付けで「べらんめえ」な印象を与え勝ちで、毛嫌いする

ポルトガル語の新正書法について

プロフィール記事でも触れましたが、ブラジルのポルトガル語(伯葡語)とポルトガルを初めとする国々や地域のポルトガル語(欧州葡語)にはなんとしても相容れない側面があります。 そんな中、1990年12月16日、リスボンにおいて「ポルトガル語諸国共同体(Comunidade dos Países de Língua Portuguesa – CPLP)」の構成メンバーであるアンゴラ、ブラジル、カーボベルデ、ギニアビサウ、モザンビーク、ポルトガル、サントメ・プリンシペの各国代表者によ

「Carona」×「Boleia」 これでも同じ言語?!

ブラジルのポルトガル語(伯葡語)とポルトガルとその他の葡語圏のポルトガル語(欧州葡語)には、慣れないと同じ言語だとすら思えないような表現もあります。 そんな一つが「Carona」 と 「Boleia」 です。 どちらも車に便乗させてもらうこと、つまり「ヒッチハイク」を意味する単語で、「Carona」 が伯葡語、「Boleia」が欧州葡語です。 「乗せていって貰える?」と頼むとき、ブラジルでは Me dá uma carona? 又は、 Pode me dar um

アフリカ葡語圏の人とのファーストコンタクト

私が初めてアフリカを訪れたのは1997年ですが、その遥か7年前に、とあるアフリカ葡語圏の人と出会った話をさせて下さい。 その人は、友人の知人の更に知人の方で、日本人男性と結婚しているポルトガル国籍のアンゴラ人女性でした。 アンゴラでは、1961年から1974年という、なんと13年もの長きにわたり独立戦争が繰り広げられ、1974年6月に停戦合意に至り、1975年1月15日に正式にポルトガルから独立を果たしました。 ここで早くも余談ですが、アンゴラでは2月4日の開戦記念日が

「ポルトガル人は列のことを『bicha』という」とブラジル人は笑うけれど…

ブラジルのポルトガル語(伯葡語)には「列」を意味する単語は「fila」しかありませんが、ポルトガルとその他の葡語圏のポルトガル語(欧州葡語)には、この「fila」という言葉の他に「bicha(ビッシャ)」という単語もあります。 ところが、あろうことか「bicha」はブラジルでは「オカマ(男性の同性愛者)」を意味する俗語であるため、これを題材に、ポルトガル人が登場する小話をして盛り上がるブラジル人も少なくありません。 又、今や「bicha」というとブラジル人に笑われると知っ

ブラジル人が欧州葡語のサッカーの実況を聞くとズッコケる

さも「欧州葡語押し」の人間だと思われそうな口ぶりでここまで記事を執筆してきた私ですが、所詮「根」はブラジル人なので、四半世紀もアフリカ葡語圏を通い倒した今でも「慣れないものは慣れない!」というものもあるわけでして、今回は欧州葡語圏の放送でサッカーの試合の実況を聞くと、拍子抜けしてしまうという話をします。 それは、欧州葡語のサッカー用語にはブラジル人が強い違和感を感じたり、どうしても笑ってしまうものがあるからです。 以下が初めて欧州葡語圏でサッカーの試合を観たブラジル人の反

PastelとPastelaria: 伯葡語話者と欧州葡語話者の認識の違い

ブラジル人にとって「pastel」とは、小麦粉の薄い生地にひき肉やチーズなどを挟んで揚げ餃子風の軽食・おやつのことで、青空市場にはこれの屋台(banca [バンカ]) が必ずありますし、これ専門の店舗(pastelaria [パステラリーア])も多くあります。 一方、欧州葡語圏の人々にとって「pastel」とは、スイーツをメインとしたパイ系の軽食・おやつの総称で、とりわけポルトガルのあの有名な「エッグタルト」(「pastel de natas [パシテル ドゥ ナッタシ]」

地階

ポルトガル語圏の建物の1階は、原則「地階」、つまり英国で言うところの「ground floor」です。これを、伯葡語では「térreo (テーヒウ)」、欧州葡語では「rés-do-chão (れーシドゥシャウン)」といいます。 なので、エレベーターに乗ると、ブラジルでは2階を表す「1」のボタンの下にあるのは、「T」、ポルトガルでは「RC」、または「0」となります。 伯葡語の「térreo」は「地」、「土」を表す「terra(テーハ)」を語源とした単語です。欧州葡語の「r

欧州葡語圏の「観衆」は「刺客」だった?!

スポーツ観戦などの「観衆」のことを、伯葡語では「エスペキタドール」、欧州葡語では「エシペタドイレ」と言います。 表記については、かつては伯欧両葡語において 「espectador」というスペルでしたが、新正書法の制定に伴い「発音しない無声子音は省略する」というルールができたことで、一度は表記が2通りに分かれてしまいました。 この単語の場合、伯葡語では無声音の「c」を「キ」と発音するため、必然的にスペルにもこの「c」が残り、一方の欧州葡語では、この「c」を発音しないので省い

空飛ぶ「おネエさん」と「宿主」って?!

トップ画像:Mahmud ShoebによるPixabayからの画像 思えば 「ポリティカル・コレクトネス」とやらに則って、 スチュワーデスという言葉が死語になって久しいですよね。 日本では「客室乗務員」という呼び方こそ定着したものの、 それをカタカナ言葉にするとなると、結局は 「キャビンアテンダント(CA)」なのだか、 「フライトアテンダント」なのだか、 今一つ統一性がないですし、 そもそも私のような年寄りには途中で名称変更されても 覚えられなくて困ってしまうだ

1ビリオン=1千ミリオン

トップの数字をご覧下さい。 日本語の場合、これはいくら「ゼロ」を付けようが、「1」以外の何物でもないわけですが、 フランス語やポルトガル語では、このように表記して「10億」を表します。そして、逆に「小数点」を「カンマ」で表すのです。 ただ、今日話そうと思ったのは、そんなことではなく、伯葡語と欧州葡語の「とんでもない相違点」についてです。 実は、この数字、 伯葡語では 「1 bilhão (ウン・ビリアゥン)」といいます。 英語では「1 billion (ワン・ビリオ

ブラジル人がポルトガルで「アメ(飴)を下さい」というと銃弾が出てくる?!

な~んて馬鹿なことはありません。 毎度の 伯葡語 Vs. 欧州葡語の 「とんちんかんシリーズ」です。 ブラジルではアメ(飴)の類は (ハードタイプもチュアブルタイプも) 「bala(バーラ)」 といいます。 ところが、ポルトガルの「国語辞典」で 「bala」を引いてみると、 「銃弾」が主要な語義として出てきます。 (※ブラジルでも「銃弾」という意味もあるのはあるんですけどね…。) 他にもいくつか マイナーな意味が記されてはいますが、 「飴」という意味は出てきません。

「モット」と「モッタ」

トップ画像:Monoar Rahman RonyによるPixabayからの画像 ブラジルではオートバイのことを、 「motocicleta(モトスィクレッタ)」 といい、これを略して、 「moto(モット)」 とも言います。 一方、欧州葡語では 「motorizada(モトリザーダ)」、 これを略して 「mota(モッタ)」 とも言います。 「motocicleta」も「motorizada」も 女性名詞なので、 「私のバイク」という場合は、 「私の」という意味の「