わが社の給与制度「先約束のミッション制」について Vol.67
今回はうちの給与制度について書いてみたいと思います。
世の中にはいくつかの考え方からなる評価制度があると思うんだけど、
うちの評価制度は ちょっと変で、「先約束のミッション制」という制度になっている。
「先約束のミッション制」とは
簡単に言うと 社員と会社が話す場があって
そこで、会社として社員にやってほしいことをお願いする。
〇〇が出来たら〇〇円昇給させるね~ って先に約束する制度。
それが出来たら実際に昇給させるし、できなければ昇給はしない。
至ってシンプルなものだ。
逆に社員からは、こういう形で会社に貢献出来たら〇〇円給与を上げてください。と提案をできる場でもある。
球団と選手が交渉するプロ野球の年俸更改のようなものだ。
なんでこんな変な評価制度にしたのか
うちだってもともとは
年次とか等級とか職種とか
いわゆるよくある評価制度を作って運用してた。
懐かしいのだと、コンピテンシー評価に始まり
のちに360%評価だとか言いながら
他社の評価制度を見よう見真似てやろうとしたりした。
でも、色々とマイナーチェンジしてきたが、なんだか俺にはしっくりこなかった。
なんでなんだろうと考え続けてたら
どーもしっくりこなかった理由は、うちの業態であるSES事業(客先常駐型システム開発)にあった。
いろんなお客様先に常駐するから、
必ずしも、評価者と社員が同じ現場で働くとは限らないからだ。
要するに、評価をする人間がいつも近くで評価される社員を見ているとは限らないのに、
評価の時期になるとひょっこり現れて、
「お前の何それができてないから、昇給しない!」とか言われたら
「はあ?」ってなるじゃんか。
評価者がレベル高ければ、ちょっとした機微で社員レベルを捕らえられるかもしれないが、
俺も含め、当時のうちのものは、
お客様からの声すら、拾ったのか拾ってないのかも怪しいレベルの評価者しかいなかった。
俺がずっと評価の仕組みに、しっくりこないのは、
こんな社員目線をしり目に感じているからだろう。
先約束のミッション制の原点-モンハンの仕組み-
社員がイキイキと働けるようにするのには
出来る限りの納得いかないことを減すべきだと思った10年ほど前、
ちょうど、この時期に俺はモンスターハンターというゲームにハマってた。
知らない人もいるかもしれないから説明すると、昔、流行ってたガキを募ってやる、オヤジ狩りのモンスター版だ。
ん?・・・余計に分からないね。ググって(笑)
このモンハンでは、
仲間とチームを組んで、ゲームマスターから出される幾つかの指令から
一つ選んで、それをクリアすると報酬がもらえるって言うのがある。
難しい指令だと後回しにするし、興味ない指令はやらない。
クリアしないと報酬はもらえないから
いたってシンプルで分かりやすいし、普通に納得しかない。
当時、ゲーミフィケーション(注1)なる考え方が流行りだしてたこともあって、俺は、モンハンでこの「quest」と呼ばれる指令をクリアする方式を会社に取り入れ始めた。
注1:ざっくりいうとゲームの仕組みを組織の仕組みに応用する考え方
名称もそのままに「quest制」として
既存のよくある評価の上にquest制を追加し、
questを選んで消化してくれた人たちには、通常の給与以外の報酬を足した。
これが、わが社の先約束のミッション制の原点だ。
当時は自ら進んでやってくれる人は少なかった。
社員の意識もそうだし、
企業文化もまだ伴っていないから、この制度はすぐに浸透しなかった。
もっとも言えることは、俺がまだ、この評価とquest、さらに言えば
ゲーミフィケーションへの理解が乏しかったからだと言える。
色々と試行錯誤して、改良し続け
少しずつ、この概念を理解してくれる社員が増えて
2016年に大きくバージョンアップさせた。
この時は、ふざけた俺は
なぜか学校のように通信簿みたいな評価シートにした。
俺は、より納得感のある分かりやすい評価にしたいと常々思っている。
そのうえで、
周りの優秀な人たちを見ていると、皆、
提供している役務と頂く対価について理解をしている。
つまり、
自分の価値を分かっているし、相手の利益も考えられる人たちだ。
お互いのためになるお話(交渉)をちゃんとできてる人たちでもあった。
それをうちの社員たちにもできるようになってほしいと俺は思った。
評価というよりも、契約更改だし
そこには上も下もなく、会社も社員もイーブンの約束にすべきだ。
そんな思いから、少しずつ作り上げたのが
今、現行にある、先約束のミッション制になったわけだ。
PS:今回はPSがちょっと長い・・・・
確かに、この仕組みのお陰で
主体的で、お客様視点を持てて、ちゃんと相手の利益と
自分の価値を理解する社員が増えてきたのは確かだ。
でも、うちの会社に入社してくる大半の子は
経験の浅い若手だ。
この先約束ミッション制の最大な欠点は、プロ視点のある子なら問題ないけど、経験の浅い子にとって、この制度の自由さは見方を変えれば不親切すぎるということだ。
ゲームで例えると、チュートリアルがないままいきなり、ゲームが始まるようなもんで、「どうやるんだよ!!くそゲー!!。」ってなる。
だから、活用できる子は限られるという課題に俺は最近、気が付いた。
まだまだ道しるべが必要な子たちが多くいるわけだから、
これから、また改良を続けたいと思う。