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林檎パンに、りんごが入ってないの?

Sleepy Tofu Japan

【TOFUスタッフの日記 vol.02】

こんにちは。
突然ですが、台中市の西区に遊びに来たことはありますか。この歴史のある街には広い緑地公園があって、若者が経営している個性豊かな独立店も点在していて、憩いの場としていま注目されるエリアのひとつになります。

今回はこの界隈でぶらぶらしながら、食べ物にまつわる面白いネーミングを探っていきます。

1.りんごのない「林檎パン」 | 沒放蘋果的蘋果麵包 

結構インパクトのある「劉麵包」の広告看板。
パッケージに「りんごが入ってない林檎パン(蘋果麵包)」と書かれている(笑)

小学生の頃、一日に貰えるお小遣いが10元(約40円)程度。自動販売機でジュースを買ったらすぐなくなるので、それより販売部で「林檎パン」という菓子パンを買って小腹を満たしたほうが、圧倒的満足度が高いし、幸福感もより長く続きます。(*個人感想)

ほんわりとしたあまーい香りをひとまず味わいます。肝心な食感は少しパサパサですが、水さえあれば、食欲が盛んでいる小学生にとって気にしないでしょ。みんな「りんごの味と香り」を感じながらパクパクと頬張ってしまいました。

そんな林檎パンにりんごが入っていない事実を知るのは、もうだいぶ後のことでした。(もちろんショック!)

林檎パンを作り出す「劉麵包廠」
虎がトレードマーク(オフィシャルHPより)

「劉麵包廠 Liu's Bakery」 は元陸軍軍人の劉哲基さんによって1962年に創業されました。しかし、最初の10年の売り上げは全然芳しくなくて、苦戦の日々が続いていました。そんな状況を打ち破れたんのは、そう、林檎パンです。

いまも大好物です。マーラー鍋との相性も◎

当時、ある清涼飲料水「アップルサイダー(蘋果西打|Apple Sidra)」が台湾全島を風靡していて、この流行りを見る劉さんは

「贅沢感のあるりんごを商品名にしようかな」

http://www.nutricom.com.tw/about.html

と思い、レシピを変えず、従来の小麦パンに「林檎パン」を名付けました。いま同じことをしたら詐欺で訴えられるかもしれませんが、りんごすら入手困難の時代背景を考えてみると、「りんごのような高級パン」に少し粋とユーモアも感じるようになりました。

このネーミングのおかげで劉麵包廠は軌道に乗り(ほかの同業者にパクりまくられながら)、林檎パンが幅広い年齢層から愛される国民食になりました。

創業者の劉さんは今年で97才になり、すーごく元気なお方です。今でもよくブログで心境を綴ったり、プロ野球の始球式に出たりして(なんと史上最年長)、台中の人々だけではなく、多くの台湾人にとっても馴染みのある人物であります。

決してうまいパンとは言えませんが、あの時代の暮らしと未来への期待を覗かせることは確実です。

:劉麵包廠 Liu's Bakery:

台中市西區向上路一段2-3號 [google map]
全年無休


2.お肉の味しない「柔らかい肉」 | 吃不到肉的老皮嫩肉

いまいちばん話題なスポット「PARK2 草悟廣場」
静かな住宅街に
珈琲業界を牽引するパイオニア店「coffee stopover」が潜む
激狭のゆえに、臨場感が魅力的

先程にも述べたように、西区は台中市の中で早く開発された地域です。伝統市場の傍らに3、40年築以上の一軒家が多く、賃金も比較的にリーズナブルのため、住むのはよし、商業的にも新しい店舗が進出しやすい環境となっています。例えば「Tamp Temper」「stopover」「Roundabout」「Intro 2.0」などのコーヒーの名店が出揃えて、人気と実力と共に驚くほど優劣をつけがたいコーヒータウンであります。

街の雰囲気と言えば、少し東京の池尻大橋に似ています。コーヒーショップ以外に、会社終わりに気軽に立ち寄れるレストランやビストロが多数存在しています。今回紹介したいのは、ミシュラン・ガイドのビブグルマン部門にも掲載されたお店「好菜 Küisine

夜になる前に、すでに行列が出来る人気の理由はいくつかあります。もちろんおいしい。しかも料理が出て来るのはとても早い。スタッフがきびきびしていて、フレンドリーの接客も好印象。

メニューをパッと見たら、一体何のジャンルの料理屋なのかと戸惑う人もいるほど、充実しています。日本の煮物からエキゾチック風味の炒める物まで、「白いご飯に合う味」がテーマのおかずラインアップで、30分並んでいる間でもなかなか決められません(笑)ちなみに、ここのごはんは「台中194」というブランド米を使用しています。

ディナータイムはいつも大盛況

そんな中、決してはずしてはいけない一皿が四川料理の「老皮嫩肉」。直訳すると「硬い皮を持つ柔らかいお肉」となります。お肉を手に入らない時にお肉への欲望を満たすため、角煮を模倣するのはこの名皿の起源だと言われます。少し林檎パンの発想と似たような気がしますね。

まずは、ダイス状にカットされた玉子とうふ(もしくは絹豆腐)の表面を濃いきつね色までにこんがりと揚げ、皿に載せ、そして醤油の塩気が効いている香味野菜あんをかけたら完成です。手順は簡単そうに見えますが、味の完成度が豆腐の揚げ具合に大きく左右されます。

ここで提供するのは、本物の牛肉が入っているアレンジバージョン。
定番の台湾料理「豆酥鱈魚」|豆酥とは:揚げたおから

好菜 Küisine の味付けはしっかりしているながらもくどなくて、骨太い味わいで自然にご飯が進みます。料理の分量が丁度良くて、一人で食べでも二人で分かち合っても問題ございません。

近所にこのようなめし屋があったらいいなと食べながら思います。

:好菜 Küisine:

台中市西區模範街24巷1號 [google map]
火曜定休
事前予約がお勧め URL


3.食べられない豆腐 | 咬不下去、紮實的豆腐

市場の穏やかな午後
台湾ではよく見る風景
老舗日本料理屋「築地」の料理長のひと休み

土日のにぎやかと比べると、平日の西区は静かでのんびりしています。弊社「スリーピー・とうふ SLEEPY TOFU」の店舗はこのような街に佇んでいます。

マットレスのお店なのに、なぜ「とうふ」と名付けましたか。とよく聞かれます。入社が決まり、両親に伝う時にも、えっ!豆腐屋になるって話は聞いてないよ!とびっくりしました。

台中は雨が少ない街
スリーピー・とうふがずらり
柔らかい光に照らされるとうふたち

でも、この文章に取り上げられたふたつの例を見れば、食べ物のイメージを使って変換・再解釈することは台湾ではごく普通だなと納得するはず。

では、スリーピー・とうふはどういう経緯で、「とうふ」と名付けましたか。

手作業でとうふの模様を縫い出す

台湾人の寝室(ベッドルーム)のインテリアと言ったら、残念ながら手抜き感が少し強め。寝るスペースさえあれば、天井の色とか照明の種類とか、あんまり気にしない傾向があります。

賃貸住宅サイトより拝借する寝室の一例

そのため、クラウドファンディングに向けて初めて商品を開発する時、私達が心がけていたのは「少しでも台湾人の睡眠環境に癒し感をもたらすこと」。賃貸物件の都合でインテリアに手を加えなくても、いい感じのマットレスが寄り添えば暮らしを楽しむことができるのではないかと考えています。

試行錯誤で、ようやくスプリングとフォームを合併させるハイブリッドマットレスができましたが、見た目について、なかなかいい案にはたどり着けない。

ある商品会議の後、チームメンバーが一緒に韓国料理屋さんにいって、スンドゥブ(순두부|純豆腐)を頼みました。真っ赤なスープに真っ白な豆腐がテーブルに運ばれた瞬間、あぁこれだ!と一同が思わず声を上げてしまいました。こうして、スリーピー・とうふが誕生しました。

スリーピーとうふダブル
すごくとうふではないか(笑)

3年ほど経った今、ありがたいことに自分の店舗を持つこともできました。たったの商品陳列場だけではなく、この街に憩いと交流の場所を提供できたら良いなと思います。一階には料理人「Soac」さんプロデュースのカフェが併設され、4階が多目的イベントスペースで、絵本の読み聞かせとか、梅しごとのワークショップとか、閉店後のDJイベントなど、真っ白な建物の中に毎週多彩なアイデアが生かされています。

睡眠に関する絵本読み聞かせ
人気ミュージシャン「puzzleman」のインストアライブ
白を基調するカフェで、部屋作りの話をしましょう

もちろん、私達は自社の商品を売りたくてしょうがない思いもありますが、その前に、みんなと一緒に良い暮らしの本質を考えて、「台湾ライフスタイル」を定義していきたいという気持ちが非常に強いです。

スリーピーとうふロゴのベビーカステラ
日本でも、台湾でも大人気のベビーカステラ

近年日本で巻き起こされた台湾ブームの中、注目されるのはほとんど食べもので、みんなさんが飽きないように何かほかのアスペクトでこのブームに厚みを与えたらと思います。(一応とうふも食べ物ですが笑)

結論で言いうと、「ゆったりのある生活感の中、しっかりと個人の主張を持つ」という感覚は、今後弊社の商品開発と店作りに通じて伝えたいことです。

スリーピーとうふで寝落ちする
寝てしまっても大丈夫です

台湾の街で吹かれた優しい風を、ぜひ私達の店舗で、スリーピー・とうふマットレスの上で体感してみてください。

:眠豆腐|スリーピー・とうふ 手づくりマットレス専門店:

台中市西區大和路75號 [google map]
1130-2000
https://sleepytofu.co.jp


text & photo : kiyomoto shi
edit : Sleepy Tofu Japan

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