ショートショート 『突拍子もない第一志望』
面談で、教え子に『異世界転生したい』と言われた楠木は、どうしたもんかと頭を抱えた。
「狩野、それ、本気で言ってんのか?」
「本気です。俺の頭じゃ大学も無理だし、これといって専門でやりたいこともありませんので」
「なら、就職はどうだ? 何も決まらず卒業よりは、まとまった金だって入ってくるぞ」
楠木の提案にも、狩野は渋い顔で俯き何も言わない。そこに、狩野の意志の固さが見て取れる。
「あのな、そう考えるのは自由だよ。俺だって頭から否定するつもりはない。だがな、その異世界転