009 キミとのオモイデ


ボクは元来、人見知りをする方ではないのだけれど、キミは出会ったときすぐさまボクをこわごわと見つめて、パードレの大きな足に抱きついて守ってもらおうとしたね。

そのパードレの足の隙間からみえたキミの瞳は、今までボクが知っているものとくらべものにもならないほど純粋なものだった。怯えているのだろうとわかっていたけれど、それでもキミはゆっくりと"ボク"を知ろうと手をのばしてきたね。

うれしかった。
キミの瞳に見つめられることが。
キミのかわいらしい、小さな手でふれられたことが。

キミは太陽のようなまぶしさで笑ってボクを抱きしめてくれたこともあったよね。

そんなキミの瞳から涙がこぼれている。
ああ、……そうだ。

ボクは人生のなかで、誰よりもたいせつにボクを抱きしめてくれたキミを思う。
ボクより低温な体温も、なぜだかいつもあたたかく感じて。
ずっとキミと一緒にいたいという気持ちに気づいてくれた幾千ものオモイデ。

ありがとう、……とキミの声がきこえる。
アリガトウ、……とボクも言葉にならない声をキミにつたえようとしたけれど。



※お題009「はじめての日」
パードレ(お父さん)

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