危機感の共有は誰の仕事か?
「何か、子供に関する政策ばっかりでどの人もピンとこなかったんだよね」
職場で都知事選の話になった。
数少ない都民である50代独身(子供なし)の方がこんな風に言っていた。
「介護保険料をタダにしますとか、シルバーパスを50代からにします!とか、子供の話されても自分には関係ないし」
「別に現状を変えて欲しいとも思わないしさ」
なるほど。
きっと、これが多数派という事だ。
子供政策の扱い
ひと昔前。
日本は少子高齢化社会だから、高齢者に受ける政策ばかりが通る。
「高齢者優先」と言われていた。
でも、令和元年に幼保無償化がスタートをした辺りから雰囲気が変わった。
不妊治療の保険適用
乳幼児の医療費助成に所得制限の撤廃
男性育休の推進
ここ数年は「少子化対策」「子育て支援策」が目立ってきている。
これは、国としてそろそろ真剣に少子化対策をしなければ…というモードに入ってきた証拠なのかもしれない。
危機感の有無
一方で国民はどうだろうか?
幼稚園、保育園、教育機関、アミューズメント、子供服など、直接子供に関わる仕事に就いている人以外でどれくらい「少子化」を実感してる人がいるだろうか。
少し前にYouTubeで「限界集落に20年ぶりの赤ちゃん誕生」というニュース映像を見た。
20年ぶりは中々のインパクトだけど、きっと地方では「少子化」を物凄く感じている事だろう。
一方で、今回の都知事選の舞台になった東京は?
東京都の人口推移を調べてみたら、面白い資料を見つけた。
この資料によると、出生率は減少傾向で全国最低にも関わらず「就学前人口(0歳~5歳)」は増えているそうだ。
何と平成7年には56.6万人だったのが、平成31年には64.1万人まで増えている。
理由は「他県からの流入等」らしい。
年代は違うけれど、この傾向を助長するのが高校の授業料無償化だろう。
実際に我が家でも夫が「高校の授業料がタダになるなら都内に引っ越すのもアリだな」等と言い出している。
我が家の子供は、まだ小2と年長なので実際に高校へ進学する頃にはどうなっているか…と、私はイマイチ気分が乗らない。
だけど、小学校高学年~中学生位のお子さんがいる家庭であれば真剣に移住を検討する材料になり得る。
この件については、神奈川県・千葉県・埼玉県の知事が文部科学省を訪れて要望書を出したそうだ。
結局そういう事なのだ。
財源に困らない東京都はどんどん魅力的な施策を実行できる。
そうすると地域間格差が拡大する。
東京都で新しく家を買うとか、保育園、受験等に直面しているならともかく、持ち家があり、「狭き門」を狙うライフイベントがない人にとっては過密になろうが、出生率が低かろうが、日々の生活では全く感じないし大した問題じゃないのだ。
そうは言っても10年、20年も経てば分母が減るので必ず東京都でも「働き手の減少」という事態に直面する。
でも「今、困ってない」というのが都民の総意であり、日本全体を見てもぼんやりとした危機感しか抱いていない人が殆どだろう。
政策よりも雰囲気
投票日前、TV等のメディアでは「政策」に関する報道は殆どしない。
候補者Aが〇〇で街頭演説をした。
世論調査で候補者Aが1位、候補者Cが2位に躍進した。
与党が推薦するAと野党が推薦するBが…
「元タレント候補者」等、目立つ人がいればそういう人を追いかける。
そして終わってからも、政策云々よりも「候補者個人の人格」についてのニュースが飛び交う。
すっかりテレビを見なくなってしまったので、今回の選挙をどう伝えていたか分からないけど。
WBS、モーサテ、池上彰さんの番組辺りを見ない限り、「現実的な問題点」に気付く機会がないのでは?と思う。
経済も、災害対策も、人口の問題も、労働基準法も、教育施策も、老後支援も。
どこを切り取っても行きつく先には「政治」がある。
法律を決めるのは国会議員。
法律に基づいて政治を行うのは内閣。
そして都道県知事、市町村知事…と組織は物凄く階層が深い。
この前書いた通り、自分がどこから情報を得るのか?はとても重要だ。
そして「選挙」という仕組みで政治家を選ぶ限りは、国民の多くが「危機感を共有してる状態」じゃない限り、本質的な選択ができない。
一部のネットメディアや、ジャーナリストが立派な解説をしても、隅々までは届かない。
今までは、それでも何とかなってきた。
でも、今こうして「歴史的な円安」を迎えて「そろそろヤバイのでは?」と薄々感じてきた人も増えたのではないだろうか?
単純に出生数が上がれば良いワケじゃない。
せっかく生まれた子供にも、虐待、不登校、いじめ、自殺…と辛くなるようなニュースが飛び交う。
何から手をつければ良いか分からないけど、このnoteでも、身近な人とも、この国の状況について「対話」ができたら良いなと思う。
私は、どこにでもいる普通の二児の母だけど。
今日も有難うございました!
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