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逆噴射小説大賞

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記事一覧

バキラが首都にやってくる

「おーい少尉、しょーうい! デートに来たぞう!」  時速500km超で飛行する機動艦の尻に突き…

摩撫甲介
5か月前
25

非合法無人傭兵

 まずカメラが回復する。  青空と暗黒雲海。  意識のタイムスタンプを確認。断絶は数秒間。…

摩撫甲介
6か月前
36

ほほえみを焼き落とせ

「神野さん、もう悲しむことはありません」  病室のベッドの娘の亡骸に埋めていた顔を引き上…

摩撫甲介
1年前
45

鉛のあしゅら

 改造医の河豚は簡単に折れた。  河豚が扉越しに声をかけると、ガラス戸がかっ開き、待たせ…

摩撫甲介
1年前
23

宙、つめたく冷えて

 横薙ぎに椅子を男のこめかみに叩きつける。  吹っ飛んだそいつに椅子を投げつけ、腹の包丁…

摩撫甲介
2年前
33

空に噛みつく青い鳥

  犬の群れが追う。  ドアを叩きつけ、もつれる手で鍵を刺す。  ロックが掛かり、吠え声…

摩撫甲介
2年前
31

ホールケーキはもう出ない

 母さんは昨日のことが嘘みたいなニコニコ顔のまま、お皿を2つ、僕とカナの前にそれぞれ置いた。 「ごちそうさま」 「…ごちそうさま」  また平手だった。  カナ。次に僕。  母さんが空っぽのお皿を持ち上げた。  僕は窓を見る。 「母さん」  背中が止まった。 「なあに?」 「父さんの出張、いつまでだっけ」 「お昼すぎには帰ってくるって言ってたわ」 「うん」  次は土鍋が来た。  母さんが蓋を持ち上げる。いやな蒸気が膨れ、上がった。  お玉が中身をかき回し、すくったそれを僕ら

よごれ仕事

「おふくろがね、消えたんだ」  ビニル袋の中の酒を取ろうとした手が勝手に固まって、おれは…

摩撫甲介
4年前
20

人生の悪役

 幸八は3歳の娘を殺してしまった。例の怒りの発作が起きたのだ。  昼飯時のフードコートで…

摩撫甲介
4年前
4

血だるま放浪記 黄金の吹雪

 雪まみれのメッコングを丸机の上に投げ落とすと、酒場の酔漢どもがどよめいた。  店主曰く…

摩撫甲介
4年前
14

大統領の世界みなごろし大作戦

 アメリカの大統領が世界各国のテレビ衛星をジャックして、生放送を始めた。 「国民、ひいて…

摩撫甲介
4年前
42

月の光が人を焼く

 私を縛る縄が痛いけど、舌の感覚もなくなったから言えなかった。  殴られすぎて頭がパンパ…

摩撫甲介
4年前
19

英雄の証明

 警告灯で赤く染められた階段を駆け下り、地下3階へ。上階からの悲鳴と怒号がここまで響いて…

摩撫甲介
3年前
49

そしてあの子はいなくなる

 昼過ぎに玄関のチャイムが鳴った。  家事を終えたばかりのアリアが玄関の戸を開けると、黒いジャケットを着た大男が立ち塞がっていた。 「ダイモン……」絞り出すような声でアリアは言った。  茶と菓子をテーブルに置く。そばには、夫が買ってきた花が花瓶に生けられている。  ダイモンはソファに腰を静かに下ろすと、ジャケットの胸をはだけた。  アリアはそれを見た。  むき出しの皮膚に、窪みが14。うち2ツには黒い艶のない石が嵌められている。 「もう2人も……誰と誰を」 「1人目はガニア