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眠れない夜の食べ物話〜餃子〜

時刻は0:19。今日はちょっと早い。

私はずっと決めている事がある。
最期の晩餐は「餃子と納豆ご飯」
口臭をぶっ放しながら死に絶えるのであろう。

なんとなく哀しい時、元気がない時、いつもそばにこの2者がいた。
無意識に納豆ご飯を作り、餃子を買う。
食べるまでの間レクイエムは鳴りっぱなしだが、
食べ終える頃はもうどうでもよくなり眠りにつく。
私は幾度となく「納豆ご飯と餃子」に救われて来た。

中国では餃子は水餃子が主流で、焼き餃子は残飯処理のためというのを聞いた事がある。私はどっちも好きだしなんなら揚げてるやつも好き。全部好き。しかし、家庭で食べるのは焼きが多かったためお店でも焼きを頼みがちである。故、水餃子はワンタンと連動してしまいあまり今まで食べてこなかった。
だが、水餃子のビッグバンを起こすお店に出会った。

いつかの誕生日の時、3種の餃子が食べられる幡ヶ谷の「您好」に連れて行ってくれた。
ここは焼き・水・揚げの餃子がメイン。店名に「餃子のお店」が入っているくらいだからガチ餃子が食べられるのだ。
誕生日ということもあり好きなだけ食えと言われ、まあまあな量を頼んだ気がする。

餃子にはビールっしょってことでちびちびしながら料理工程を眺める。
皮から手作りでその場その場で作っていくのでいつでも出来立てアツアツ。
お預けを食らっている犬だった。

そこに3種一気にきた。盛られた餃子たちを目に生きててよかったと頭の中のフラカンが歌い出した。哀しい時にそばにいるものが今日は喜びの時にいてくれる。2重嬉しさ。

順番に食べていったのだが、1番の衝撃は水餃子だった。
今まで≒ワンタンだった水餃子が、確固として餃子だと思わせてくれるものだった。
モチモチの分厚い皮に包まれた肉肉しい餡。
食べるとジュワッ、ツルン、アツッとなる。
こんな水餃子は食べた事がないと瞬時に思わせてくれた。
まさに餃子のビッグバン。傑作だった。

それからと言うもののいろんなお店で水餃子も頼んでみることにしたが、未だこの感動を超えた出会いはない。
≒ワンタンの間違った観点を覆してくれた「您好」には「謝謝」と伝えたい。

いつも側にいてくれる餃子よ、謝謝。

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