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【企業インタビュー】女将の企画を副業者が事業展開へとつなげる

和歌山・白浜温泉の奥座敷とも呼ばれる椿温泉を味わえる旅館「しらさぎ」。海抜60mの太平洋を望む展望風呂と、地元の旬な魚介料理を堪能できます。

椿温泉は江戸時代から近畿有数の「湯治の湯」として知られ、PH9.9という強アルカリ天然温泉は最近美肌の湯として女性客の人気も高まっています。今回、女将の熊野幸代さんに、副業者採用のきっかけや経緯、採用後に起こった変化などについて伺いました。


ー企業の特徴を教えてください

1954年に創業した、家族で営むアットホームな宿です。

椿温泉は江戸時代から湯治で知られる温泉地ですが、全盛期に20件ほどあった旅館が今は6件まで減っています。女将の数も減っていく中で、なんとか地元を盛り上げたいという想いで、新しい事を何かはじめようと考えていた時に、新型コロナウイルスの猛威に直面しました。

「今こそチャレンジするとき!」と、「日本一女将のいる宿」を目指し、全国から「サポート女将」を募集して旅館の活性化を一緒に考える企画を立ち上げました。

ー副業人材を募集しようと思ったきっかけを教えてください

SkillShift副業者応募求人

第1弾「日本一女将のいる宿」企画として、サポート女将と一緒に旅館の新メニューを考える「釜めしプロジェクト」を推進しました。

ホームページとFacebook、あとは椿温泉のある白浜町の有志で行なったクラウドファンディングを活用し、最終的に8名の方に参加いただくことになりました。

この8名のサポート女将と一緒に第1弾のプロジェクトを行いましたが、今後進めていく上でこのプロジェクトを旅館の経営にどう活かしていけばいいのかが悩みでした。

サポート女将の方々からもアイディアや意見を頂くのですが、あくまでボランティアの方々。経営の相談はできません。またうちの旅館は家族経営なので主人と話もしますが、主人には主人の仕事があるので、このプロジェクトに集中して相談できる人が必要だと感じました。


そんな時に、南紀白浜空港の岡田社長から副業人材のことを教えていただきました。本当にいいタイミングでお話をいただいて夢みたいで、すぐに「Skill Shift」で副業人材を募集することにしました。

ーなぜその副業者を選んだのですか?

たくさんの方にご応募いただきました。皆さんとても良い方で、当旅館が大企業だったら全員採用したいと思ったほどです。

数名の方とお話してお一人採用させていただきました。どの方も経歴も人柄も素晴らしい方ばかりでしたが、最終的に「私の想い」に一番共感してくださる方を採用させていただきました。

しかし、今回ご縁がなかった方にも、ただお断りして終わるのではなくて、きちんとした人間関係を築きたいと思い、ご連絡させて頂きました。和歌山や南紀白浜に興味を持ってくださった方々ですし、皆さんのコメントを読むと本当に心に響くことが多いです。

南紀白浜ビーチ

しっかりした人間関係があれば、何かの時に南紀白浜に行ってみようかなとか女将に会ってみようかなとか、思い出してくれるのではないでしょうか。こういうつながりこそ、私たちにとって宝になります。

副業人材でご応募いただいた方とお仕事自体がつながらなくても、人としてのつながりは大切にしたい。そういう意味でも全国の副業人材の方とつながるきっかけができたのは、本当にありがたいと感じています。


ー副業者に依頼している仕事内容について教えてください


まず、集客のためのコンテンツの整理をお願いしました。湯治はご年配の方が身体の痛みを和らげにいらっしゃるという目的がほとんどです。

しかし、それとは別のお客様にも来てもらいたいと考えています。例えば、働く女性がちょっと癒しを求めて2~3泊で来れるような湯治プランやネーミングを考えたり。そもそも湯治という言葉もまだまだ馴染みがないので、表現を変えたりわかりやすい言葉を付けたりするのが良いのかどうかなど、整理をしてもらっています。

私が悶々と悩んでいることを言葉で示し、方向性をアドバイスしてくれているのでとても助かります。

それから、ホームページも見直しています。今のホームページが見づらくて悩んでいたため、今までのお客様も大切にしつつ、新しいターゲット層を見据えたホームページにしたいという希望や想いを色々考えてまとめてくれています。

私自身がパソコン作業に詳しくないので、今契約しているホームページの制作会社と何をどこまで実現可能か、費用や内容について直接お話してもらっています。

さらに、今後は「しらさぎ」を知ってもらうために、もっと発信もしていかなくてはいけないと思っています。どのような方向や内容でやるか、そういったことも一緒に検討しています。

この新しい取り組みを進める中で、元々お願いさせて頂いている副業者の方だけでは対応し切れない業務もあり、その方がもう一人の方を連れてきてくださり、今は二名の方にサポート頂いています。


ー副業者が来たことで、どうかわりましたか?

従業員のやる気が上がったと感じています。第1弾「日本一女将のいる宿」企画から始まり、副業人材の方にもいろいろな意見やアイディアをもらうと、楽しくなってきた様子でした。

料理長に本音を聞いてみたところ、「最初は正直うーんという感じだったけど、今は協力してくださる方々に感謝しているし、新しいものを一緒に作りたいと思っている」と言っていました。


ー今後の展望について教えてください

たくさんの人とのご縁が増えることによって、椿温泉のファンの輪が広がることを願っています。そして、椿温泉を訪れた方が周りの方にその良さを語り、和歌山に行ってみようと思う人が増えてほしいです。

最終的には、和歌山へ移住する人を増やすことが夢です。和歌山、白浜、椿温泉という土地が好きで誇りに思える人や、「自分の町が大好きやな」と言ってくれる人たちを増やしたいです。

大人が自分の町を誇りに思えば、子どもたちも自然とそうなるはずです。私もいろいろあってくじけそうになることもありますが、チャレンジを続ける一番の原点は「子どもたちにこの町を誇りに思ってほしい」という想いです。

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