見出し画像

「あの人に読んでほしい記事」を書くプロセス

ブログ記事を書き始めて、かれこれ10年くらいになります。自分なりに文字表現の考え方や、記事作成のステップを整理してみましたので、少しでもご参考になれば嬉しいです。

よく聞くお悩みは

「何をどんな風に発信したらよいのか、わからない」

ということです。書きたい分野が広すぎる、という方もいらっしゃいます。

この質問を言い換えると

「誰に向かって、どんな課題について自らの考えを示すのか」

ということになります。

課題というと重いイメージですが、もっと軽いテーマも含めて「課題」とひとくくりにしています。「課題」がない記事、そしてその課題に対する「書き手の考え」が無い記事は読まれないですし、読んだ人へ影響を与えることも難しいです。

では、何の課題(テーマ)にするか、選択するところから始めていきます。ここは、当初私はまったくの手探りで、間違ったことをしていました。

「自分が書きたいこと、専門分野だと思っている課題について書く」

これは、なかなか相手に読んでもらえませんでした。「これを伝えたい・・・」と自分の熱量が高いほど、相手に見透かされてしまうような「主張したいことを一方的に書いているだけの記事」になってしまいがちです。

取り扱うテーマが社会課題や地域課題だったりするとなおさらです。つまり、「正しい意見を、ストレートに主張する」のは、隙がなさ過ぎて相手が引いてしまう、読んでもらえない、拡散していかない、という状態になります。「正しいこと」を伝えることほど、難しいことは無いと思っています。

また、相手が耳を傾けてくれるような、最後まで読んでくれるような、「自分も不安だし学んでいる途中なのだけれど・・・」といった謙虚さが文字表現に現れる方が、読んでもらえます。
(例:あの大活躍されている〇〇さんでも、こんな小さなことで悩んでいたのか、など)

そして次は、何の課題(テーマ)にするかの選択です。

「相手が知りたいことについて、そのテーマのみに絞った内容を書く」

のが私なりの答えで、実践していることです。ポイントは「自分が書きたいこと」ではなく、「相手が知りたいこと」という部分です。

では相手が知りたいことって何だろう? という点ですが、これは実際に日常会話やメール・チャットでの会話、SNSでの自分の投稿に対するコメントなど、実在する誰か(知人)から「実際に質問されたこと」です。ここには、第3者の目線で「この人に聞いてみよう」というフィルターがかかっていますから、そこには必ずご自身の専門性や得意分野が含まれているはずです。自分目線よりも他人からの目線の方が的確に、知りたいと思っていただけるテーマにつながります。

その質問を起点にして、あらためて考えを深めたり広げたりして、整理し直してみる作業、文章に置き換えてみる作業を通じて自然と「読みたい」と感じていただける内容が出来上がってきます。

私自身、今まさにこうして「ブログ記事のテーマ選定の仕方や執筆のプロセス」について、先日実際にいただいたご質問を起点にしてアレコレ考えたり、過去の記事を見直しながら実際の経験を振り返り考えを整理しています。

最初の問いに戻りますと、

「誰に向かって、どんな課題について自らの考えを示すのか」

でした。「誰に向かって」は質問をしてくれた相手に向かって、ということになります。その「たった一人」に向かって伝えることによって、自然とテーマの切り口や伝えるエッセンスが絞り込まれていきます。相手の年齢や性別、仕事、性格、役割、経験等々を加味して、その人に伝わるように書くわけですから、ごく自然に「伝えるべきこと」と「伝えないこと」が分かれていき、「伝えるべきこと」だけが残ります。

決して、自分の専門性や知識のすべてから、すべてを伝える記事を書く必要はありません。何かの課題を抱えている人、解決したい人に向けては「不要なものをそぎ落とした情報」の方が伝わりやすいですし、行動に移すことも容易なはずです。

そして、不思議なのですがその「たった一人」に向けて絞り込まれたメッセージは、ご本人はもとよりそれに近い悩みや関心を持っている方の共感をいただくことができます。一人の後ろには何十人もの「読みたい」と感じてくれる方々がいらっしゃるのです。

「みんなに読んでほしい記事」は、誰にも読まれません。
「あの人に読んでほしい記事」は、一見狭いと思われるテーマについて実は答えを探していた、見えない相手からの賛同を得て読んでいただくことができます。

注意すべきなのは「もの凄く多くの人に読んでもらう必要はない」ということです。自分自身が有名人でもない限り、影響を与えることのできる範囲や領域は限られています。その限られた中で、まさにその情報を知りたかった、〇〇さんの考えだから信頼できるし参考になる!と思っていただけたなら、それは書き手も読み手にとっても幸せなことです。

(いわゆる「バズる文章」というのは、得てして質の高い内容を伴っていません。多くの人が容易に賛同するということは、記事の専門性が低いことの証明でもあるからです。)

ブログで記事を書き残すことのメリットは、後にもずっと残り、誰かがその情報を必要とした際に、検索や何らかのきっかけで目に入り、「参考になった、助かった、安心した」と、お役に立てる可能性があることです。

そうして1本1本の記事を、誰かに質問をされたタイミングごとに書いていくことができると、割と無理のないペースで「ある課題に対する自分なりの考え」をストックしていくことができます。web上に残るご自身の財産であり、またその蓄積がブランディングにつながっていきます。

すると、「ちょっと困ってるんだけど、あの人に聞いてみよう」と、質問の連鎖が発生し、それが次の記事のヒントにもなっていきます。

記事の更新頻度などは、あまり気にする必要はありません。必要とされた時が書くタイミングです。最初の1記事目をぜひ「あの人に読んでほしい」という気持ちを込めて、「質問」を起点にして書き始めていただければと思います。

クリックするとLINE登録画面に遷移します。ご感想をお寄せください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?