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「好きなこと」が結局は自分の窮地を救ってくれた、という話

スキルノートの芦沢です。いよいよ年末も押し迫ってきましたが、皆さんにとって今年はどんな一年だったでしょうか? 自分自身について振り返りながら、そこから見えてきたこと、これから活かしていきたいことについて書きたいと思います。

振り返ると2022年の2月末頃から原因不明の疲労と、深く眠れない+早朝覚醒により少しずつ気力・体力が低下していきました。のちに心療内科で「抑うつ性神経症」の診断を受けたのですが、まさにメンタルが崩壊していました。いやー、本当に生きるか死ぬかの心境でした。

精神疾患の経験のある方はご承知と思いますが、「何か原因なの?どうしたら良くなりそう?無理しないでね」と周囲は悪気なく聞いてくるのですが、それがわからないから苦しんでいるのであって、出口の見えないトンネルの中で毎日雪だるまのように不安感と疲労が蓄積し膨れ上がっていきました。

よく言われるのは、人間は一種類のストレスには対応できるけれど、複数の異なる要因が重なった時に指数関数的にストレス度合いが増加するそうです。精神的にも肉体的にもほんの2週間〜1ヶ月くらいでストレスのバケツはいっぱいになり、「最後の一滴」が注がれた瞬間に全てのバランスが崩れていきます。

一つだけ幸いだったのは、私自身が10数年前にもう少し重めのうつ病を経験していたため、日々変わりゆく自分自身の体調や心理状態をどこか客観的に見続けることができたこと、早めに「これはダメだな…」と潔くギブアップできたことです。メンタルバランスが崩れた時に無理を続けると、より重症化していきますしそれだけ復帰に時間と労力を費やすことになります。

3月上旬に心療内科を受診し、過去にお世話になった先生に「また、やっちゃいました…」という再会を果たし、適切な投薬治療を始めることができました。日本では未だに精神科や心療内科を受診することに抵抗感のある方やご家庭があるようですが、自分のことを理解してくれているメンタルケアの専門家といつでもアクセスできることは大きなメリットです。自己判断ほど危険なことは無いですし、思い余って衝動的な行動につながる危険性も、専門家との接点を定期的に持つことで回避できるように思います。

しかしながらコロナ禍以降、メンタルバランスを崩される方が多く、今でも初診の予約は数ヶ月先という状態が続いているようです。「通いやすい距離にある」「先生との相性」など、病院はどこでも良いわけではありませんので、本来は最悪の事態になる前に余裕を持って主治医の心療内科医を見つけられると理想なのですが、なかなかそうもいかないのが実情でしょう。

先に「原因不明の」とボカしましたが、ある程度ストレス要因の中心は分かっており職場と家庭にそれぞれ存在していて、それらは症状が改善してきた今もあまり変わらない環境にあります。3月〜10月頃までは毎日を過ごすこと、時間を消化していくこと自体が大きなハードルでしたし、何も満たされることのできない一週間が過ぎ、そしてまた次の一週間が始まり心の痛みに耐えながら、休養という名目でただただ時間だけが過ぎていきました。

日々の仕事やルーティンは歯を食いしばって続けることで時間が解決してくれる、状態がいずれ上向く時が来るはずだ、と過去の経験から信じて続けました。周囲にはありのまま自分の状態を伝え、十分に自信の状況を理解されないまでも仕事量を減らしたり役割を軽くすることで、そうして本当に少しずつですが、消耗し切った気力と体力を少しずつ回復させていく、そんな半年を過ごしていきました。

ただ、そうなってみると逆に喪失感が生まれ、自分が役立てていないことに対して自責の念に囚われたり、充実感や達成感を味わえない日々がどれだけ無機質でつまらないものか、嫌というほど味わいました。症状そのもの以上に、そんな状態の自分を責める気持ちに心が狭められ、自信を失っていく過程は本当に辛いものです。人は「誰かの役に立っている」という実感を持つことで、生きがいややりがいを得ているのだなぁ、と再認識する機会にもなりました。

ではなぜ、ここ2ヶ月くらいで心身の体調が改善してきたのか、いくつか要因があります。一つは「カウンセラーさん」との出会いでした。5月の連休明けに、地元でカウンセリングを提供しているNPO団体さんに「お試し30分カウンセリング」を申し込んだところから始まりました。オンラインで30分間、臨床心理士の資格を持つカウンセラーさんと顔合わせ面談を行ない、直感的にこの方にお願いしようと即決しました。

カウンセリングは1回1時間、基本的には自分が話したいこと、聞いてもらいたいこと、最近の体調などを脈絡なく話し、聞いてもらいました。以降は1週間後、次は2週間後、少し心の余裕ができてきたら1ヶ月後、という頻度で今も続けています。時折カウンセラーさんの方からもお話いただくのですが、決して「こうしましょう」という指示や提案ではなく「世の中にはこんな事もありますよ」「私の目からは、今の芦沢さんは先月と比べて印象がこのように変化していますよ」という、柔らかで耳に自然に入ってくることばかりです。

最初の頃は分からなかったのですが、自分の意見を言わずに「ただただ聞くだけ(しかも関わりのない他人の話)」を続けることは本当に凄いことですし、「ここは」というごく限られたポイントにのみサラリと上記のようなお話を入れてくれ、心地の良い時間を提供してくださっています。私には到底できないことですし、それがカウンセラーとしてのプロフェッショナルの技術ということになります。

これまで8ヶ月間のカウンセリングを経験してわかったことは、自分自身の状態を自分の生活圏の外側にいて専門性のある方に継続的に見ていただくことで、「何が変化したか、良くなっている具体的なことは何か」を第三者目線で的確に伝えていただけることの重要性です。そこには思い込みも忖度も無いので、純粋に「今の自分の状態」を知ることができます。心療内科の先生もカウンセリングを続けていることに賛成して下さっていて、少しずつですが投薬治療と相まって良い方向に体調が向かっている実感が沸いてきました。

そして、体調がかなり改善してきた10月のカウンセリングで「芦沢さんが大切にしたい軸は、勤めの仕事でも家庭内での役割でも趣味や余暇でもなく、個人で手掛けている『スキルノート』の役割ですね。これまでのお話を聞いてきてハッキリと感じます。」といったお話をいただきました。

およそ10年前、勤め以外にやることもなく、これといった趣味もない自分が何か出来ることは無いかな?と気軽なサードプレイスを作る気持ちで始めた活動でした。当初はごく小規模で気軽なイベントや、ボランティアに近い運営でしたが、次第に「生涯にわたる社会の期待役割を形にしたい」という気持ちに変わっていきました。

少しずつ影響の輪が広がり、自分自身が組織に頼らずに専門性を身につけ発揮することで、喜んでいただける機会に恵まれてきました。理解ある周囲の支えや協働により、事業を起こしていくダイナミズムを体感することは、勤めの仕事で得られるものとは全く異質で、魅力あるものでした。

そんな大切な役割や機会を、メンタルバランスを崩すことで相当数失ってしまったことの影響が、相乗的に体調の悪化につながっていたことがわかりました。既に実施が決まっていた講座やセミナーのみをその時にできる最善のやり方で全力で対応し、その反動としての疲労とも向き合いました。

もちろん、体も気持ちも休養を必要としていた半年間は無理もできませんでしたから必要な充電期間でしたが、今はもう「攻めていい、むしろ動いたほうがより良い」ということにカウンセラーさんから気づかせていただいたことに、本当に感謝が尽きません。

そんな矢先に声が掛かりました。それは地域の人たちとのつながりからでした。「市民協働まつり」という、地域でさまざまなコミュニティや趣味や運動・学びなどを提供しているNPO団体や企業や個人が参加するイベントへの出展案内です。当初は自身の体調と半年のブランクによる自信の無さからためらう気持ちが勝っていましたが、わざわざ「1枠空きがあるのですが、いかがですか?」という呼びかけをいただいた時に、ああこれはもう動いていいよというサインなのだな、と思いました。

当日は「ソーシャルビジネス」を進める組織のいち会員として、ヘッダー写真のようにブース出展を行いました。かねてより作成していたキャリア支援のためのワークブック兼セミナー資料でもある「スキルノート®︎」を知っていただくために200冊用意しました。10時〜16時の限られた時間で、しかも久しぶりの対面出展で果たして人は来るのだろうか、30冊も持ち帰っていただけたなら…という正直な気持ちで臨みました。

ありがたいことに、立ち寄っては関心を示していただき受け取っていかれる方、内容についてご説明を求められる方や、かつてオンラインセミナーに参加してくれた方がわざわざ他市から乗り継いで顔を見にきてくれたりして、人の列が途切れることはほとんどありませんでした。出展時刻を終えた時、ちょうどご用意した200冊のワークブックが全て、皆さんのお手元に渡りました。

そのように動き出すと、不思議なものであちこちから連絡や相談をいただいたりするようになりました。オンラインセッションのゲストに呼ばれたり、セミナーの登壇依頼をいただいたりと、本当にありがたい限りです。まるで私の日々の変化を皆さん知っていたかのように、またふたたび「自分の期待役割」を果たすことのできる機会を次々に提案下さいます。

スキルノートの活動・事業は、私が興味関心を持った、世の中で必要だけどまだ明確に解が提供されていない知識やスキルを、他よりほんの少しだけ早いタイミングで、出来るだけシンプルに変換して伝えるという役割を、勝手に担っているものです。ライフワークでありサードプレイスであり、心の底から「好きなこと」なのです。

今年の年末を今のような心境で迎えられるとは、10ヶ月前には考えられませんでした。長いトンネルの辛さは出口が見えないことにあります。その間、少しでも気にして声をかけてくれた多くの皆さんに心から感謝します。もう一度「好きなこと」を思い出してアレコレ企画を考えている時間ほど幸せなことはありません。

皆さんのお役にたてるよう、新年はより良い年にしていきたいと思います。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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