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場所で変わる実り

合う環境、合わない環境。置かれている環境によって、自分のポテンシャルをどのくらい発揮できるか決まってくる。

ここで言うポテンシャルとは、仕事に活かせるような能力はもちろん、偽りなく楽しめたり、飾らず隠さずに存在できたりするような、「在り方」を含めたポテンシャルだ。

身を置く環境でいろいろなことが左右されていく。それはきっと人も植物も同じこと。

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随分日が経過してしまったが、畑の引越しをした。

昨年は、日当たりと水はけがとても良好な場所に畑を作っていた。もともと雑草がぼうぼうと生えていたところを地道に草取りし、スコップで土を耕していき、完成した畑だった。結構気に入っていた。

でもヤギが来た。

ヤギたちが来て半年も経たないうちに私たちが作った畑は、彼らに見事に荒らされてしまった。秋に植えたシュンギク、ルッコラ、小松菜などはほぼ全部食べられてしまって、最後の方は諦めモードになっていた。

「なんて食い意地を張っている子供たちなんだろう……」

そんなわけで、夏野菜は何とかしてヤギたちから守りたいと思い、夫と相談し、畑を庭の別の場所に新しく作ることにしたのだった。

場所は蔵の裏側で、日当たりは前回の畑よりは悪いけれど、土はサラサラして、耕しやすかった。よくお煎餅や海苔と一緒に入っている石灰(乾燥剤)は、とっておいて畑にまけば肥料になる(と夫から教えてもらった)。

「昨年と同じくらい野菜が収穫できるといいなあ」石灰をまきながら、淡い期待を抱く。

今のところ畑には、ナス、ピーマン、ズッキーニ、トマト、カボチャ、キュウリ、の苗が植わっている。ジャガイモはすでに収穫してしまった。今年は5月末から6月にかけて雨が前年より多かったように思う。

去年は梅雨が終わってからジャガイモを掘ったけれど、今年は梅雨前に全部掘ってしまった。大きく実ったジャガイモもあったけれど、全然実っていないところもあった。去年の方が収穫量は多かったかもしれない。

畑を引越したことで、夏野菜が今後どのくらい大きくなってくれるのかが分からず、なかなか不安である。日当たり、土の養分、水はけなど、ほんの少しの違いだけできっと野菜も輝けるか輝けないかが決まってしまう。

置かれた環境に左右される人間と少し似ている。

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これまで家庭菜園を楽しむ程度にしか野菜を育てていなくて、わざわざ本を読んだり、詳しい人に聞いたりして勉強してきたわけではなかった。

ただ、今年の野菜の育ち具合が昨年と違うことから、自分自身で最低限のことくらいは勉強してみようという気持ちが芽生えてきている。

家庭菜園とはいえ、野菜が大きく健康に育ってくれる様子は単純に嬉しいものだ。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。