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凛として真紅

梅干しが完成した。梅雨の始まりに仕込んだ梅漬けをようやく太陽の光に当てることができた。今年の梅雨は長かった。

作った量は全部で4kg。和歌山県の無農薬梅と地元産の赤しそを使った。

時間はかかるけど作業工程がとても楽しかったし、上手に出来たから素直に嬉しい。普通に買っただけの梅干しならそんなに何度も見つめないのに、自分で作った梅干しは何度もチラチラ見てしまう。依怙贔屓だ。

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梅干しを作ったのは初めてのことだった。

実は人生のなかで達成したいことの一つが「梅干しを作れるようになる」だった。だから今年、その夢を叶えられたことになる。

人生で達成したいことや夢、そんなに小さいの?って他の人からは思われそうだ。でも自分が持っている夢はこんなものばかり。

特に多いのは「○○を作れるようになりたい」という願望。自分が作れる技術を身に付けることが大切だから、決して「○○を作りたい」ではない。○○を作りたい、だったら自分でやらずともアウトソーシングして作ってもらえるかもしれないから。

そういう意味の「梅干しを作れるようになりたい」だ。

じゃあいざその夢が叶ってしまったあとはどうなるのか?というと、楽しかったら続けるし、つまらなかったり一回きりで満足しそうだと感じたら「一回でいいや」となる。

梅干しは楽しかったから必ず毎年やるようになるだろうな、と予感している。過去「一回でいいや」になったものの例として、ワンピースづくりがあった。

ワンピースを作り終えたときの充実感は半端なかったけれども、もう一枚作りたい!とはならなかった。また時間が経てば、そんな気持ちも変わってくるのかどうなのか。いつかチクチクと縫い出すかもしれない。

何においても「経験」を求めていて、とにかく自分が経験してみないことには語りたがらない性格だ。自分が経験してもいないことについてベラベラ喋っている人を見ると、よく出来るなあと感じる。自分には出来ない。未経験のことに対しては大体「分からない」と返してしまう。

こんな感じだから、何事も幅広くやってみたいし、行ってみたい。おかげで旅行は大好き。もう少しで47都道府県訪問を達成できそうで、これも人生で叶えたいことの一つ。

読んだり聞いたりするだけで満足する人、自分でやってみないと気が済まない人、いろいろな人がいる。

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赤しそで真紅に染まった梅一粒一粒は、とても綺麗だった。

ざるに並べたとたんに凛として、人間で言えば33歳くらいの色気と大人っぽさを兼ね備えた女性みたいだと勝手に思った。赤くて、水分弾いてきらきらしていて。

私はこれまで(たぶんこれからも)黒色が好きで、靴はほとんどが黒だ。でも赤も結構惹かれるから好きな色なのかも……と梅を干す作業のときに気が付いた。来月お誕生日だから赤いお洋服、買おうかな。


そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。