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日々のエッセイ

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2019年から湖畔暮らし。自然、ヤギ、トリ、仕事、考え事の日々。
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2020年9月の記事一覧

湖での神隠し

湖での神隠し

数日前、実家の両親が私たち夫婦の家へ遊びに来た。

特に母は最近、外国人相手のガイドの仕事がめっきり無くなって、田舎でゆっくりしたいと「のんびり旅」を求めていた。そこで私たちの家へ招待してみることにしたのだった。

滞在中は庭仕事やヤギの世話など、自分らにとっては当たり前の日常タスクに生き生きと取り組んでくれた。とりわけヤギの世話は珍しかったようで、自分たちで食べた果物の皮をヤギのために大切にとっ

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朝の静寂

朝の静寂

「四連休は忙しかったねえ」

バタバタとしていた連休の最終日、ようやく一息つけるタイミングがあって、夫と感想を共有した。

民泊には2組のお客様が来て、2組ともカヌー体験をしてくれた。曇り空は絶好にカヌー日和で、連休中は毎日がそんな感じのお天気だった。湖のうえで舟に乗り、プカプカ浮きながらオールを漕いでもらう。

民泊やカヌー体験以外の時間は、畑と庭仕事に費やした。毎朝ヤギを放してお散歩させている

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今日を懐かしむこと

今日を懐かしむこと

何がある訳でもなく、落ち込む日がある。

これと言って大きな事件はないけれど、今やっていることや進めていることの何もかもが間違いだったのでは、と後悔の念が押し寄せてくる瞬間がある。月のめぐりなのか、太陽のめぐりなのか、自分ではコントロールできない感情に埋もれる。

こういう風に理由もなく陰っている時は、不思議と昔のことがよく思い出される。ふるさとのこと、昔の職場のこと、昔の旅先のこと。なぜだろう。

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何も生まないこと

何も生まないこと

最近、いろいろなことを頑張りすぎるのをやめたいと思うようになった。

自分は昔から根詰めがちで、気が付けば目の前のことを完璧にやろうやろうとするクセがある。頑張り屋さんなのは良いことだけれども、良くないこともある。そんな性分に以前から嫌気がさしていた。

何事に対しても意味を求め、行動するときに何かしらの生産性のある理由があると落ち着いた。でもこれって資本主義にすっかり染まった典型的なツマラナイ考

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諦めと共存のこと

諦めと共存のこと

「ねえねえ君たち、なんでそこにいるのだい?」

最近家の中に出現する小さいアリに悩まされている。アリなんて可愛いもんじゃない!と言われそうだし、かつての自分もそう思っていたけれど、今は可愛いなんて全く思わなくなった。

放っておけない理由もあって、私たちが普段使っている調味料や食材に遠慮なく入り込んでしまうから。そうなると食材を使う気持ちになれないし、とは言えもったいないし……と葛藤が始まる。

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コットンが弾けて

コットンが弾けて

4月末に種を蒔いたコットンがついに弾けた。

コットンを栽培するのは初めてで「大体9月頃になると自然と実が弾けて綿が出てくる」程度のことしか知らなかった。そんなわけで、9月になって本当に綿が飛び出てきたときは驚いた。

自分の腰より低い背丈の枝にいくつもの実がぶら下がっている。そのなかで今のところ3つだけが弾けた感じ。綿はふわふわで、何もしていないのにもうそのままクッションに使えそう。

自然の力

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