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日々のエッセイ

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2019年から湖畔暮らし。自然、ヤギ、トリ、仕事、考え事の日々。
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2020年2月の記事一覧

静かな湖畔でよかったこと

静かな湖畔でよかったこと

田舎へ越してきてからというもの、出かけるのが一大事になった。

スーパーにお買い物へ行くときも、大きなエコバックを3つか4つは持っていく。まとめ買いするから。次に来るのは、たぶん二週間後。

「都市部で用事」なんてことになると、もう「終日がかりの大イベント」だ。

前日からスケジュールを考える。朝何時に起きて、出発して、車は○○駅の駐車場に停めて、何時の列車に乗車する…。

夕方17時までには帰っ

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文化を守る姿が美しくって

文化を守る姿が美しくって

三連休で地元を離れ、ちょっとした旅に出た。

行き先は、群馬県桐生市。

桐生はずいぶんと昔から織物の町として栄え、今でもその面影が大いに感じられる文化的な場所だった。世界遺産に登録された富岡製糸場もすぐ近く。

自然豊かで、森林を散策したりもした。

その時のこと。

素敵な生き方をしている方に出会った。和紙職人だった。

***

彼女は森の近くで和紙工房を一人きりもりしていた。

お店は小さ

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その当たり前はたぶん凄い

その当たり前はたぶん凄い

家から車で10分走らせたところに、JA農協が営む野菜の直売所がある。

いつも肉・魚・乳製品などのたんぱく質類はスーパーで仕入れているが、野菜は別途ここへ来る。

「やっぱ安いよなぁ…安すぎだよなあ…!」

もうこの町に住んで4か月が経とうとしているのに、改めて野菜の安さに驚く。

たしか2017年だったか全国的に大根が不作で、ものすごく高い時期があった。1本270~300円くらいは出したと記憶し

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悩めることにらしさがある

悩めることにらしさがある

移住生活は楽しいけれど、地元に置いてきた友人とすぐ会えないのが寂しいところだ。

ちょっと相談したいこととか、意見を聞きたいとき、ふと思い立ってふらふら会いに行くことは出来ない。

だから電話に頼る。昨日もそうだった。

地元にいる大好きな友人に電話した。友人は二人の子を持つママで、世代が違うはずのわたしたちは不思議とウマが合う。出会ったその日からそうだった。

「最後に一言だけアドバイスもらえま

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季節の便りは苦くてまずいけど

季節の便りは苦くてまずいけど

庭にフキノトウが生えていた。

「こっちにも、あっちにも!」

庭の畑にジャガイモを植えているとき、夫が見つけた。

「もうすぐ春が来るんだなあ。」

まだ花咲かないフキノトウを摘みながら、中腰で半歩ずつ進んだ。

夕食は天ぷらになった。フキノトウはすごく苦くてまずかった。上品な苦さを越えていて、そんなに美味しくなかった。

でも、好き。

味よりなにより、この時期にこのニガイ食べ物を「食べる行為

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だったら生き方変えてみるか

だったら生き方変えてみるか

実家の最寄り駅に急遽用事ができて、先日とんぼ返りで行ってきた。

市役所、地方銀行、ATM、金券ショップ、美容院、駅ビル内ショップなど、たくさん回る場所があった。

「急いで回らないと!」

その日中に自宅へ帰りたかったから、少し小走りで回った。

でも、そんな不安をよそに用事は1時間ちょっとで、あっという間に終わった。(美容院を除く。)

「あれもこれも、なんて密集しているんだ!」

大学生

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裁縫箱と命のルーツ

裁縫箱と命のルーツ

先日祖母が亡くなって、遺品をいくつかもらうことになった。

食器、茶箪笥、洋服箪笥など、まだまだ十分使えるものがたくさんあった。

祖母が使っていたものはやっぱりどこか、ノスタルジックだった。時代を感じる。

「今ではこんな品物どこにも売ってない。見たことない。」

埃っぽい遺品を触りながら考える。

***

祖母の死を目の前にして、これまで考えていなかったことを考えるようになった。

「自分の

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