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9/28“亞卍Qギグ”を楽しむための解説

いよいよ来週木曜日に迫った、あヴぁんだんど×電影と少年CQによるコラボ企画“亞卍Qギグ”【CQ#61 ××娘と天才科学者】at 下北沢ERAを楽しむためのアレコレを解説していこうかと思っております。

はじめにライブの概要から。

【CQ#61 ××娘と天才科学者】
日時:9/28(木曜日)
開場18:30 / 開演19:00(20:30終演予定)
会場:下北沢ERA
料金:前売り¥2500(+1ドリンク) / 当日¥3000(+1ドリンク)

※前売りは公式twitterのリプライやDM、もしくはeigakouron@gmail.comへ「お名前(ニックネーム可)・イベント名・枚数」の3点を記していただけたら予約完了です。あとは会場受付にてお名前を言っていただくと前売料金で入場いただけます。

【亞卍Qギグを楽しむために①/亞卍Qとは?】

まず“亞卍Q”(あヴぁんきゅー)とは、あヴぁんだんどと電影と少年CQが合体してしまったユニットです。発音は“シャ乱Q”と一緒。
見捨てられて見捨てられてそれでも立ち上がって歌い踊り続けるアイドルグループ“あヴぁんだんど”と、映画の世界を行き来する現実味のないエイガサントラーアイドルグループ“電影と少年CQ”の共通点は異なる個性と個性のコラボレーションであると思っております。宇佐蔵べに、小鳥こたお、ルアン、ユッキュンの4人はそれぞれ別次元の物語の登場人物。それがデュエットしている魅力というのが最大のウリなのではないかと。そんな各々が主役を張れる異色の4人が手を組んだらどうなるか。まるで映画『アべンジャーズ』。
そんなライブを作ってみたいというのがこのプロジェクトの始まりでした。
またコンセプトとして「今までのあヴぁや電少にはない楽曲と雰囲気」というものがあります。いつものあヴぁんだんどや電影と少年CQでは見られない、この個性豊かな4人手を組んではじめて作られるショーをお楽しみいただけたらと思っております。

【亞卍Qギグを楽しむために②/どんなライブになるの?】

電影と少年CQが通常やっている物語仕立てのライブにあヴぁんだんどが巻き込まれる形でライブは進行していきますが、逆にあヴぁのライブスタイルに電少が巻き込まれ普段はやらないような沸けるライブになることも。
電少ライブのように静かに見入るのもアリ、あヴぁライブのように大騒ぎするのもアリ。多角的に様々な方が様々な楽しみかたをできるような作りになっております。
それぞれオリジナル曲のコラボもあり、更には亞卍Qオリジナル曲も2曲あります。小鳥こたおさんが受験のため10月中に一時活動休止してしまうので、この機会を逃すと次観れるのがいつになるのかわからないライブです。お見逃しないように!

【亞卍Qギグ楽しむために③/どんな物語?】

あらすじ:売れないし才能もないが情熱だけはあるB級映画監督のユッキュンは次回作として、今まで撮った4つの映画を合体させた映画を作る企画を立てる。「4つの物語、4人の主人公、4つの世界観が合わさって70分に収まるんですよ!」と息巻くユッキュンであるが、それまでの映画があまりに酷い出来であったため、その企画に賛同・出資する映画会社はない。困ったユッキュンは目についたピストルを拾い、映画会社を脅し映画製作資金を盗んでしまう。

一度お芝居を見ただけでは少しわかりづらい箇所もあるので、一応解説いたしますと、ユッキュンは低級映画ばかり撮っている映画監督の役、べに、ルアン、こたおはユッキュンがそれまでに撮った“映画の役”を演じます。
“映画の役”とは何か。簡単に言うと映画作品が擬人化した存在です。もっとわかりやすく言うと映画それぞれに作品が持つキャラクターというのがあり、それを一人の人間に当てはめた存在……それが“映画の役”ということです。
例えるなら“映画『ジュラシック・パーク』の役”を少女が演じるならば“巨大で薄気味悪く、異常に攻撃的な少女”というキャラクターになるでしょうか。
ダメ映画監督と3本の映画たちが織りなす、不思議でキュートでちょっと切ない物語、どうぞお楽しみいただけたらと思います。

【亞卍Qギグを楽しむために④/亞卍Qのオリジナル曲とは?】

ここでは当日限定発売される亞卍Qオリジナル曲についての解説をいたします。

★『Strange Lovers』
作曲:久徳亮
作詞:長田左右吉
監修・ダンス振付:宇佐蔵べに

ジャジーで大人っぽいビートでユッキュンがひたすらエロく、こたおちゃんがひたすらエモい曲。元ネタはスタンリー・キューブリック監督によるブラックコメディ映画『博士の異常な愛情(Dr.Strange Love)』。
作曲はPFFアワード2017入選作「情操家族」等の映画音楽を手掛ける久徳亮さん。あヴぁのバックバンドも務めたことがあるそうです。
宇佐蔵べにによる妖しく情熱的なダンスも期待していてください。
会場限定CDは、ユッキュン&小鳥こたおによる“フランス人形チーム”製作のZINEと、おまけトラックまで付いて¥1500で発売いたします。

★『雨月物語』
作曲:yellowsuburb
作詞:長田左右吉
監修・ダンス振付:宇佐蔵べに

ルアンの怪しくも色気のあるウィスパーと、うさべにの力強い生命感のある熱唱が印象的な曲。元ネタは溝口健二監督の同タイトル作品。
あヴぁんだんどと溝口映画といえば、あヴぁんだんどファンは最近歌われていない名曲『西鶴一代女』を思い出されるかもしれませんが、この曲はあのアンサーソングとしての一面も持っております。
9/28に限定発売される亞卍QのCD、2枚目は『雨月物語』。
作曲は、電少の『街の灯り』や『タイムトラベル(モンキー)ビジネス』、SAKA-SAMAの『パーティ・パーティ』などを手がけるyellowsuburb氏。
会場限定CDは、うさべに&ルアンによる“日本人形チーム”製作のZINEと、おまけトラックが付いてお値段は¥1500也。

※なおCDは一応「会場限定」となっております。お買い逃しのないように!

【亞卍Qギグを楽しむために⑤/どんなスタイルで見ればいいの?】

これは演劇ではなく、あくまでライブですので、みなさまお好きなようにご覧頂ければと思っております。
一応、オススメの鑑賞方法を以下に記します。

第一部は電影と少年CQがメインになります。電少は基本座りながら見るのを推奨しておりますので、座って観たい方は是非座ってご覧くださいませ。
第二部はあヴぁんだんどメイン。あヴぁは立って大騒ぎしながら見るのを推奨しておりますので、ぜひ思う存分立ち上がって騒いでください。
第三部は亞卍Qメイン。ぜひ大騒ぎしていただいたら良いと思います。

なお、お身体が不自由な方、背が低い方などが近くにいた場合、鑑賞場所は譲り合いの精神で、他のお客様に迷惑をかけないようにご覧くださいませ。

【亞卍Qギグを楽しむために⑥/事前知識は必要?】

特に必要ではありませんが、今回の話や新曲の元ネタとなる映画をいくつかご紹介。

『プラン9・フロム・アウター・スペース』(1959・米)

今回、ユッキュンが演じるダメ映画監督は“史上最低の映画監督”エド・ウッドがモデルになっております。エド・ウッドといえばティム・バートンによる1995年の作品『エド・ウッド』が有名ですが、先にこちらのエド・ウッドの代表作をご覧いただくと、あの名作映画もさらに楽しむことができます(『エド・ウッド』も観ましょう)。何がどういったわけで史上最低なのか? 意味不明のセリフ、前後の脈略を無視したカット割り、幼稚園のお遊戯会のようなセット、大根甚だしい演技……枚挙にいとまはありませんが、なのに彼の映画には無闇に情熱的な愛が溢れています。

『水爆と深海の怪物』(1955・米)

1950年代には上記エド・ウッドや低予算映画の帝王ロジャー・コーマンなどの手によって無数の科学映画が作られ忘れられていきました。
科学映画というのは現在で言うSF映画のこと。当時は冷戦や核兵器の恐怖により放射能によって生物が暴走するというテーマの科学映画が人気でした。『ゴジラ』『放射能X』、60年代だけど『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』なんかもそのくくり。
亞卍Qギグで宇佐蔵べにが演じるのはダメな科学映画『プランF:放射能タコあらわる』という映画の擬人化、元ネタはこの『水爆と深海の怪物』だったりします。
大タコというのも当時の人気モチーフ。『キングコング対ゴジラ』にも登場しましたね。

『ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう』より『SFボイン・パニック』(1972・米)
小鳥こたおが演じるのは『怪人博士Qの館』というマッドサイエンティストが登場する怪奇映画の擬人化……ということで50年代マッド・サイエンティストものをパロディしたこの作品。おっぱいがどんどん巨大化して平和を脅かします。
最近ではあまり見かけませんが、若い女性(あるいはカップル)が嵐の夜に怪しいマッドサイエンティストの館に迷い込むというモチーフは腐るほどございました。有名どころでは『カリガリ博士』『悪魔の植物人間』『死霊のしたたり』『ロッキー・ホラー・ショー』『ムカデ人間』『恐怖奇形人形』ドクターモローの島』など。我らがエド・ウッドも『怪物の花嫁』という映画でベラ・ルゴシにマッドサイエンティストを演じさせております。

『キッスで殺せ!』(1959・米)
ルアンが演じるのは『ブロンドの蠍』というフィルムノワールの擬人化。
フィルムノワールというのは1950年代に中小の映画会社が大量生産した犯罪映画のこと。大体展開が決まっていて、ハードボイルドなシブい探偵がある美女を巡って事件に巻き込まれる。美女は大体悪女で主人公を狂わせていく。事件の真相には巨大な陰謀が……みたいな。この流行が60〜70年代のアメリカン・ニュー・シネマブームにつながっていく。とりわけ本作は最後のトンデモ展開や映像の渋さ、音楽のカッコよさも含め人気作品。
古い映画は手を出しにくいという方には入門編としてアカデミー賞も受賞した97年のフィルムノワール『L.A.コンフィデンシャル』や、ゲーム『L.A.ノワール』から入るのもオススメ。

『雨月物語』(1953・日)
今回の新曲の元ネタ。
世界的に評価がある日本の映画監督といえば小津安二郎、黒澤明、宮崎駿、北野武、塚本晋也……色々いますが、溝口健二も忘れてはなりません。
映像の幽玄、女優たちのエネルギッシュさ、幸福というテーマの深淵さ、そして京マチ子と毛利菊枝の恐ろしさ。
亞卍Qの曲『雨月物語』は、この映画をインダストリアルなダンスナンバーで再現しております。

『博士の異常な愛情 また私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964・米)

亞卍Qの曲『Strange Lovers』の元ネタ。キューブリック映画では珍しいコメディ。やはり当時の水爆への恐怖をブラックに笑い飛ばしている。作品の根底にあるのは男たちの浅ましい男根主義思想。
『Strange Lovers』ではそれをラブソング的解釈にして、ユッキュンと女性メンバー3人のセクシー怪しい掛け合いのダンスナンバーにまとめております。

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以上、長くなりましたが、【CQ#61 ××娘と天才科学者】をご覧いただくまでの参考になれば幸いでございます。

あヴぁんだんどと電影と少年CQ、そして亞卍Qの一大コラボイベント【CQ#61 ××娘と天才科学者】は9月28日木曜日18:30、下北沢ERAにてスタートいたします!
みなさまぜひぜひお越しください!
見たこともないようなまったく新しいアイドルライブをお届けいたします!