『反戦平和への希求』 その2

★日本が関与する戦争の実態
 わたくしが最も恐れ、現実に起き得ると予測していたのは、やはり朝鮮半島での紛争勃発です。北朝鮮からの韓国への侵略という形か、韓国の北朝鮮封じ込めと陰謀という形か、事態は流動的に思えておりましたが、とにかく朝鮮半島で紛争が勃発する危険を憂えておりました。勿論、ベトナム戦争後のベトナムにせよ、台湾にせよ、ビルマ(現ミャンマー)にせよ、インドネシアにせよ、アジアには不安定要素が幾つもありますが、とりわけ、朝鮮半島は、危険な火種と認識しておりました。しかも、日本が紛争に関与する可能性の大きさから言っても、朝鮮半島における紛争勃発は、極めて重大な意味をもっていると、認識していた次第です。
 では、日本が朝鮮半島での紛争勃発に際して、軍事的に関与する形とは、どういうものでしょうか?
 わたくしが予測したのは、当初は、<アメリカの軍事行動への協力>という形です。勿論、それは、過去の朝鮮戦争やベトナム戦争の際に、本土復帰前の沖縄基地を提供した以上の<協力>、事実上の参戦行為となるであろう<協力>という形です。言わば、<連合軍>とでも称すべきより踏み込んだ形です。具体的には、横田や三沢など本土内の基地の提供や民間施設の利用、燃料補給・武器弾薬の輸送といった紛争地域での米軍の行動への補助活動など、後方支援と言うには、あまりにも紛争に深く関与する形です。紛争当事国の相手(敵国)側からみれば、報復攻撃の対象として認識され位置づけられる行動を、日本は、アメリカ支援の立場から、積極的に取ることになるだろうと、わたくしは考えました。
 しかし、紛争に軍事的に関与する形は、決して、これに留まるものではありません。より深刻で重大な局面が予測されました。
 それは、前述しましたが、紛争の当事国の相手(敵国)からの報復攻撃を受けた場合の話です。
 万が一――しかし、それは大いに有り得る事ですが――、北朝鮮から日本海上の自衛隊艦船が攻撃されたり、日本本土内の基地が攻撃されたり、東京や大阪など大都市圏が攻撃されたり、とりわけ、皇居にミサイルが被弾したり、といった直接の攻撃を受け、戦火が上がり、人命を失う、それも民間人に犠牲者が出るという事態が発生したら、日本政府ならびに日本国民の大多数はどのように反応するだろうか……。
 わたくしは、具体的にこのような状況を想定して、日本が或る局面に立たされた場合、全面戦争へと容易に傾斜していくことを、確信致しました。

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