『咲かずに枯れて』第一章1-2

登場人物                  

テト:音楽好きの高校2年生。バンドに憧れている

レイ:テトの中学生からの唯一の友達。ギターをやっている。

ツキ:????

第一章〜抹茶パフェ 1-2

出会いや別れも、ふと一呼吸する瞬間の様にそれはいつも突然やってくる。

その出会いや別れに価値があるのかは未来を生きなきゃ分からない。今はまだ知らない。

もしかしたら人生に置いて最も大事な出会いになるのかもしれない。

もしかしたら大した出会いなのでは無いのかもしれない。

疑心暗鬼だ。

テトはこの抹茶パフェからのメールに対して希望は抱いていないのだ。

『ええと。ああ。返事を打たなきゃ。』

初めまして。こんにちはテトといいます。

ヴォーカルとギターが出来ます。

高校2年生です。ドラムパートまだ空いてます。

僕と一緒に素晴らしい景色を観ませんか?

-----------------------------------------------

期待と不期待を抱きながら

『よし。送信っと。』

『ちょっと堅苦しかったかなあ?まあ。最初はこのぐらいの方がいっか。』

いつも敬語なんて使う事のないテトにはこういうメールは少し痒かった。

『てか、もう0時回ってんじゃん。今日は寝よお。』

スマホに充電器を刺し枕の下に埋め込む

ピッ

テトは部屋の灯りをリモコンで消した。

眠気まなこでぼんやり思い出した最後の一文。

テトはどうしてこんなにも自分らしくない言葉を打ったのか違和感でありながらもバンドという物に何か大きく期待していた。

次の朝

『レイおっはよー!』『テトおはー。』

いつもレイとは同じ時間の電車に乗る。

いつもの朝だ。

いつもの平和だ。

いつもの7:33分の電車だ。

駅で落ち合い電車に乗り次の駅で乗り換えた後に一駅越えると学校の最寄駅だ。

そこから朝は2人で歩いて学校に行く

大体学校に着くのは8:20分。

だがしかし、レイは朝が致命的にも弱過ぎる為エンジンが入っていない。

そう会話が無いのだ。

お互い耳にイヤホンを差してスマホを眺めて登校するだけ。

でもそれも心地よくて好きだ。

何も会話が無くても居心地の良い友達。

『生涯通じて友達なんだろうなぁ。』テトはそう思っている。

10分程歩くと学校の近くにあるコンビニに言わずとも2人の足は向かう

レイはコーラを補給してテトはパンを買う

これが毎日のルーティーンというやつだ

学校に着くとクラスの違うレイはこっちを見て手を「じゃっ」と、眠そうな顔で決め込んで去っていく。

朝の彼の後ろ姿は一匹彷徨ってるゾンビの様だ。

まるで魂を感じられない。

それが帰りにはどのゾンビとも仲良く出来そうな感じになっているあの変貌ぶりには本当に尊敬する。

ゾンビのレイと別れると今日もルールに縛られた退屈な1日のループが始まる。

キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン

起立!礼!ありがとうございました

監獄から解き放たれたテトはいつもの様に駅へと向かう

駅に着くと今日はレイが先に居た

『よっ!テト』『早いじゃん今日は!』

『たまたま終礼が早く終わっただけだぜ』

『ふーん、てか!レイ聞いて!!!!』

にやにや

『ん?なんだテト?』

レイは嫌な予感がしていた

テトがにやにやにしながら『聞いて!!!』と、言う時にはいつも得なことがない。

この前だって

『レイ聞いて!!!』

『BBQしよ!』って突然普段誘ってこないくせに思い付きで家に押しかけてきてせっかくの休日を潰された。

それも朝の8時に。

他にもカラオケに行って帰りに自転車置き場に向かうと

ねえ聞いて!!!

自転車盗まれた!!!

『は?』

テトの『聞いて』と思い付きは危ない。

危険過ぎる。これは無視だな。

うん。無視無視。

『レイ!!!聞いて!!!』

にやにや

『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙。。なんだよ。』

『どうしたテト。』

『もう。』

レイは悟りを開いたのと同時に逃げられない事を察して諦めてテトの話を聞くことにした。

『ドラム叩ける子から昨日連絡来たよ!』

??????

??????、?、、、????

???。???、、、、?????

『なんの話だ????笑』

レイはテトがなんの話をしているのかさっぱり分からなかった。

『レイがギターで僕がギタボね!!』

??、?????。???????

、、???????????、、、

『はい?』

『あとドラムとベースが必要なんだけどドラムが昨日連絡来たからあとはベースなんだよねぇ』

?????、、、。???、???

『君は何を言ってるんだい?笑』

『とりあえずドラムの子に昨日メール返したから返事待ってる所!』

レイは早い段階でテトの言ってる事を即座に理解していた

『おいおいおい待て。落ち着けてテト。』

『ん?なに?』

『なんで俺の参加が既に決まってるんだ?俺はギターは好きだけど別にバンドがやりたくて始めたんじゃないし別にやんないよ?』

『まぁまぁとりあえず遊び感覚でいいから付き合って!』

『はぁー。』

『じゃ!また進展があったら教えるね!!!』

身勝手過ぎるテトに流されレイのギター加入が決まった。

その夜

ぴろんっ

私も素晴らしい景色観てみたいです。

メールじゃ打ちにくいのでLINEでもいいですか?(QRコード貼っときますね)

決まってるメンバーが居ればグループ作りましょう。連絡待ってます。

抹茶パフェことツキより

------------------------------------------

1-3へ続く

















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?