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破れない和紙「ナオロン」はなぜマスクの素材に最適なのでしょう。

山梨県の和紙メーカー大直の一瀬です。私は毎日使える和紙ブランドをテーマにしたブランド「SIWA | 紙和」を運営しています。今回は私たちの製品が使用している素材であり、またブランドの大きなテーマでもある自社開発の和紙、「ナオロン」についてお話しいたいと思います。

『現代に求められる和紙として』

わたしたち株式会社大直は、1000年の歴史ある和紙の産地、山梨県市川三郷町に社を構える和紙メーカーで、障子紙の産地として製造、企画販売を行なっています。日本人のライフスタイルの変化によって「障子紙」の消費は様変わりしてきました。かつてはどこの家庭にもあった一般的な「障子」は減ってしまいましたが、逆に飲食店や旅館、ホテルなどの利用は増え、モダンなマンションなどでは和室を取り入れる物件も増えて、むしろ「障子紙」が新しい現代の暮らしの素材として利用される傾向にあります。

そんな中でお客様からの最も強い要望があったのが「強度のある障子紙」でした。これまでの障子紙の「破れやすさ」は特に商業施設で使用を考えると大きな弱点でした。そこで、見た目は和紙、手触りも和紙、でもお子さんがプスっとしても破れない。そんな障子紙が待ち望まれていたのです。そこで私たちが開発に踏み込んだのが新しい和紙「ナオロン」でした。

『ナオロンって和紙なの?』        

水に濡れても破れない強度のある障子紙、それが「ナオロン(naoron)」です。通常の障子紙(弊社通常販売品)の5倍の強度を持ち、水に濡れても破れることはありません。

和紙漉きの技術を生かしながら原料に化学繊維を使用することで強度をつけ、薄くても破れない。昔ながらの和紙漉きの技術と現代の技術を掛け合わせて作ることで、良い所取りの素材となりました。

紙ならではの軽さや風合いの良さ、伝統的な技法をそのまま生かしつつ、私たちの現代の暮らしに求めているものはなにか?そんな問いに答えられるように開発した素材「ナオロン」。私たち大直はこの「ナオロン」を日本の新しい技術から生まれた「和紙」であると考えています。

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こちらは「ナオロン」の顕微鏡写真です。右下の白い線の長さが100マイクロメートル、つまりヒトの髪の毛の太さに相当しますから、どれだけ微細な繊維が複雑に絡み合って成り立っているかがお分かりになるでしょう。

さらにこの絡み合った繊維には十分な隙間が空いていることから、適度な通気性も確保されていることがお分かりになると思います。私たちSIWAブランドが 2020年7月に発売を開始した「SIWA マスク」も開発過程で着目したのもこの「ナオロン」の優れた特徴でした。

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比較対象として同じ倍率で撮影した顕微鏡写真をご覧ください。こちらは一般的なウレタンマスクの表面を撮影したものですが、「ナオロン」と比較すると大きな隙間が開いてしまっていることがお分かりになると思います。

新しい和紙、私たちの「ナオロン」の優れた特性である繰り返し洗って使える耐久性。さらに隙間がミクロン単位で極めて狭いこと。なにより、和紙ならではの肌触りの良さ、付け心地の良さがあること。これらの利点を考えてつくったのがこの「SIWA マスク」なのです。



ナオロンを利用して生まれた日常品ブランド-SIWA-
2008年にナオロンを使って開発をし誕生した「SIWA|紙和」。
工業デザイナーの深澤直人さんとタッグを組み、「日常で使える和紙製品」をテーマに様々な製品を作りました。水にも強く破れないナオロンの特性を生かしバッグや小物、インテリアアイテムなどを作っています。
製品は軽く、洗ってもいただるので長くお使いいただける製品です。

ナオロンの活用
破れない障子紙の開発で誕生したナオロンですが、様々な可能性を見出し
SIWAブランドではバッグ、小物、マスクなどを開発。
さらには印刷なども可能なことから印刷用の紙やインテリア建材としてなど
今後もさらなる開発を進めてまいります。


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