田中浩朗

大学で科学技術史を教えています。納得のいく教育のあり方を日々模索しています。

田中浩朗

大学で科学技術史を教えています。納得のいく教育のあり方を日々模索しています。

マガジン

  • ラジオの歴史の授業準備

    日本でラジオ放送が始まってから100年となる2025年度に,ラジオの歴史をテーマとする授業を行おうと,1年かけて準備を行います。その途中経過を報告します。

  • 来年度(2023年度)の授業を考える

    2022年度後期に,来年度(2023年度)の授業について考え始め,いくつか記事を書きました。

  • 2021年度前期の授業の反省

    コロナ禍2年目の2021年度前期の授業の反省です。ハイフレックス授業のやり方について記録しています。

最近の記事

LISTEN始めました

ポッドキャスト配信サービスのLISTENでポッドキャストを公開し始めました。 こちらからどうぞ ここでは,アイデアメモ,ブログ,レクチャーなどを音声で配信していきたいと思っています。なお,音声はAIにより文字化されて,文章として読むことも可能です。

    • 鉱石ラジオに魅せられて

      ラジオの歴史の実感を得ようと,テレビ録画を見始めていますが,最初に観たNHK趣味悠々「大人が遊ぶサイエンス」の第2,3回「石に込められたロマン 鉱石ラジオを作ろう」で,鉱石ラジオの魅力にとりつかれてしまいました。というか,鉱石ラジオの魅力を語る講師の小林健二さんに魅せられたと行った方が良いかもしれません。 そこで,小林さんの著書『ぼくらの鉱石ラジオ』(筑摩書房,1997)をアマゾンマーケットプレイスで入手するだけでなく,小林さんの記事が載っている雑誌『オーディオクラフトマガ

      • 趣味悠々のビデオを観る

        私は歴史を学ぶ際に重要なのは実感だと思っています。歴史が嫌いな人がいますが(かつての私もそうです),そうなってしまうのは歴史に実感が湧かないからだと思うのです。年号や人名を覚えることが嫌われるのは,何の実感も伴わない情報を暗記しなければならないからではないでしょうか。 さて,歴史の実感を得るためには,歴史に関係のある物・人・場所などを経験することが大事ですが,すぐにそうした経験を得るのは簡単ではありません。そこで,次善の策として私は,テレビ番組の録画ビデオを利用します。

        • 高橋雄造『ラジオの歴史』

          元日にアマゾンマーケットプレイスに注文していた高橋雄造『ラジオの歴史——工作の〈文化〉と電子工業のあゆみ』(法政大学出版局,2011)が届きました。早速パラパラとページをめくってみると,興味深い事実がたくさん書かれているようで,少々高かったのですが買って良かったと思いました。 こうした本を買ったときは,まず目次と索引を見ます。「電機学校,東京電機大学」や東京電機大学初代学長の「丹羽保次郎」という索引項目も含まれていて,電機大で授業をする際に学生が興味を持つであろう内容も含ま

        LISTEN始めました

        マガジン

        • ラジオの歴史の授業準備
          6本
        • 来年度(2023年度)の授業を考える
          7本
        • 2021年度前期の授業の反省
          7本

        記事

          手持ちビデオの検索

          授業を準備する上で重要な情報源は,本の他にテレビ番組のビデオがあります。私は毎朝新聞を見るときにまずテレビ欄を眺めます。そして,興味を持った番組に印を付け,ビデオデッキで録画予約を行います。そうして録りためたテレビ番組のコレクションがあり,現在では1万本を超える番組がDVD/BDとして保存されています。 これらのビデオはデータベースソフトに入力して,容易に検索して探せるようにしてあります。今回はとりあえず「ラジオ」で検索して140本の番組が出てきました。その中から,まずはラ

          手持ちビデオの検索

          まずは概説書を注文

          全く未知の分野で授業をするには,まずその分野に関する一通りの知識を頭に入れる必要があります。その分野がある程度成熟しているなら,概説書が数冊はあるはずなので,それを探してざっと読みます。 所属している組織に充実した図書館があれば,そこへ行って適当な本を探し,すぐに読むことができますが,私が所属する組織の図書館はとても貧弱です。したがって,生協やアマゾンなどに注文することとなります。 私は今回,新刊書を買うことができない本『ラジオの歴史』はアマゾンへ,また新刊書が買える『ラ

          まずは概説書を注文

          ラジオの歴史の授業準備を始めます

          元旦の今朝,来年度の「科学と技術の社会史」でラジオの歴史を全体のテーマとして授業をしたいと思い立ちました。寝床で,NHKR1でラジオ100年プロジェクトの100人インタビューの再放送を聴いていて,ふと思いついたのです。 ラジオの歴史は私の教員人生で全く取り上げたことのないテーマなので,授業の経験が全くありません。一から勉強して授業に臨むことになります(もし実現すればの話ですが)。 そこでまた思いついたのですが,その授業準備をこのnoteで公開しようと思いつきました。新たな

          ラジオの歴史の授業準備を始めます

          2023年度前期の実際の授業

          自分のnoteへの投稿を読み返していて,昨年9月に「来年度」つまり2023年度の授業について考えていること,およびその準備の過程を書きかけていたことに気づいた。その連載は中断しているのだが,これはまとめて読めるようにしておいた方がいいかと思い,次のマガジンにまとめた。 中断してしまった理由は,個人的に急に忙しくなって,新しい授業を構想する余裕がなくなってしまったことである。したがって,2023年度前期は,基本的に2022年度と同じ授業を行った。 この連載の最初の記事で,私

          2023年度前期の実際の授業

          「ユニークな学校」はどう生まれるか?

          映画「夢みる小学校」について調べていたら,とても興味深いイベントの録画を見つけた。それは,「『ユニークな学校』はどう生まれるか?ー映画『夢みる小学校』を題材に−」(2022年1月28日開催)という経済産業省関係のイベントを記録したもので,同映画のオオタヴィン監督のほか,映画で紹介されている学校の校長・元校長や有識者が参加し,議論をしている。寝る前に見つけたのだが,面白くて2時間の動画を最後まで観てしまった。 このイベントの目的は,今の学校制度の枠組みの中でも,かなり自由な取

          「ユニークな学校」はどう生まれるか?

          新しい学びは始まっている

          今朝のNHKラジオ第1(マイあさ!5時台)で,2023年4月に開校した私立小学校「まおい学びのさと小学校」が紹介されていた。宿題もテストもない学校で,子どもたちがやりたいことを行うプロジェクトを教育の柱にしているということで,興味を持った。 調べてみると,この学校にはモデルがあり,それは1992年に小学校が開校した「きのくに子どもの村学園」である。それほど昔からそうした学校は存在したのだ。現在では,この学園の姉妹校が全国に5つあるとのことである。 さらに調べてみると,この

          新しい学びは始まっている

          オンライン講座と大学の授業

          後期授業の採点が終わりに近づいてきた8月初めより,ChatGPTを使ったチャットボットアプリの作成がしたくなり,そのためのUdemyのオンライン講座をいくつか受講し始めた。現在受講しているのは次の二つ。どちらも数時間で受講可能なコースだが,各項目が短い動画に分かれているので,少しずつ受講でき,採点の合間の気分転換にはちょうど良い。 「ChatGPT APIを使ってチャットボットを作ろう!【GPT-3.5/GPT-4】 -LLMを使うアプリの構築と公開-」(講師:我妻幸長さん

          オンライン講座と大学の授業

          祝!デジタル出版ツールRomancer 10年目

          7月1日にデジタル出版ツールRomancerがサービス開始から10年目を迎えたという。誰でも無料で手軽に本を出版できるこのサービスは,本当に画期的なサービスだと私は思っているのだが,その重要性の割には,一般的な注目度が低く,身近なところで利用している人が少ないのはもったいないとも思っている。 私はこのサービスにずいぶん前から注目していて,何かこれで出版したいと思っていたのだが,最近まで行ってこなかった。なぜかというと,やはりまだ使い勝手が十分ではないと感じていたからだろう。

          祝!デジタル出版ツールRomancer 10年目

          新しい教育方法論を学ぶために,齋藤孝氏の著作を読む

          来年度の授業を考えるために,学生も教員もやりがいを感じることができる授業のやり方について学びたいと思いました。そして,そのためにまず私がやり始めたのは,齋藤孝氏の著作を読むことです。 私はかつて教育学部で教えていたこともあり,また学生時代から教育に関心を持っていたこともあって,様々な教育学者や教育者の著作は読んできたのですが,なぜか齋藤孝氏の著作を読むことは全くありませんでした。齋藤氏の名前は『声に出して読みたい日本語』(2001年)がベストセラーになってから知ったのですが

          新しい教育方法論を学ぶために,齋藤孝氏の著作を読む

          学び始めは情報集めから

          幕末・維新期の科学技術史の学びを始めてまずやっていることは,手持ちのテレビ録画と本を使って,関連する情報を集めること。 科学技術史の勉強は学生時代以来,何十年もやっていながら,意外と幕末・明治期のことは知らない自分に気が付きました。自分の研究テーマではなくても,周りにいる人や学会での研究発表などから,古今東西の実に多様な話題を聞く機会はあるのですが,私の記憶に残らなかったのか,実際にそうしたテーマの研究者が少ないのか,その両方かもしれません。 私がやる情報収集の方法は,ま

          学び始めは情報集めから

          Nスペ「新・幕末史」をみた

          ※2022.11.7更新(第2集を追加しました) 来年度の授業準備の手始めに,「科学と技術の社会史」の教材となる幕末・維新期の科学史・技術史の興味深いテーマやトピック(人物・出来事)について学びたいと思い,そのため,これまで録画しておいたテレビ番組の中で,幕末・維新期を扱った歴史番組をリストアップし,順に見ていくことを始めました。 とりあえず,私の録画ビデオのデータベースを使い,「幕末」で検索したところ,69の番組が選ばれましたが,まずは一番最近のNHKスペシャル「新・幕

          Nスペ「新・幕末史」をみた

          自分の学び方を振り返る

          私は授業で,その授業で学ぶことになっていることを学ぶだけでなく,学び方自体を学んでもらいたいと思っています。その授業で学んだ知識がその後の人生で役立つことはめったにないと思いますが,学び方を学んでおけば,あとは学びたいことを自分でどんどん学んでもらえるからです。 学び方を学ぶような授業としては,たとえば初年次生向けのスタディスキルのような授業がありますが,学び方を学ぶことがメインの目的ではない授業でも,学び方を学んでもらえるといいなと思っています。 例えば,私は科学技術史

          自分の学び方を振り返る