家族の問題に関心がある人ほど、新番組『HUGっと!プリキュア』は絶対に見たほうが良い………かも? という話。


 先日のプリリズ記事に興味を持ってくれた人ほど、新しく始まる『HUGっと!プリキュア』は絶対に見たほうが良い……かもしれない……という小話です。

 先日、新しいプリキュアのテーマは「育児」だということが発表されたのですが……その情報が出た時点で私は少し不安になりました。

 不思議な赤ちゃん「はぐたん」を守り育てるため、襲いかかってくるワルモノたちとの戦いや、日々のお世話に大忙し。そんな多忙な毎日を「子供を守る母の愛」で明るく乗り切っていきます。プリキュアシリーズはこれまで15 年間「戦うヒロイン」を描いてきましたが、一番身近な「おかあさん」こそ女の子にとっての「つよく」「やさしく」「カッコイイ」ヒロイン像を体現しているのではと考え、本作では「子供を守るおかあさん」としてのプリキュアを描いていきます。(梅田プロデューサー https://natalie.mu/comic/news/262941)

 ……ほら、なんか、やんわりと不安になりませんか?

 この情報が出て以降ツイッター上でも、性別役割に関する話などが盛んになされていたように感じます。

 しかし、本日『HUGっと!プリキュア』に関わるスタッフが発表されたことで、私の不安は一気に期待に変わりました! 一体どこが期待できるポイントで、どうしていろんな人にこのアニメを見てほしいのか。3つのポイントに絞りつつ簡潔にまとめてみようと思います。


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 期待ポイント①:シリーズ構成をつとめるのは、プリティーリズム・レインボーライブのシリーズ構成をつとめた坪田文さん


 坪田さんはプリティーリズムシリーズに関わり続け、プリティーリズム・レインボーライブではシリーズ構成をつとめた方です。この方が「子育て」について描くというのであれば、もう期待せざるをえないじゃないですか!

 加えて、坪田さんは先日までドラマ『コウノドリ』2期の脚本をメインで書いており、その過程で医療現場などへの取材を重ねてきたとお話しています。「コウノドリに続いて赤ちゃんに関わる話を書くとは思ってなかったけれど、色々学んだ事活かしつつ頑ります。」( https://twitter.com/tsubofumi/status/949419772306862080 ) とツイッターでもお話しており、期待が高まるばかりです。

 『コウノドリ』が終わったあとにも、世界には多様な選択があり、その選択が尊重される世の中であってほしいといったことをお話されており ( https://twitter.com/tsubofumi/status/946290439551721473 )、社会に対して繊細な感受性をちゃんと持った方であることが窺えます。


 期待ポイント②:シリーズディレクターの一人 座古明史さんは、「親の歪んだ価値観に育てられて分裂している子ども」についてのストーリーをプリキュア映画でやろうとしていた。


 シリーズディレクターには、『フレッシュプリキュア!』で16話以降シリーズディレクターをつとめ、『映画Go!プリンセスプリキュア』で監督をつとめた座古明史さんが名を連ねています。

 このnoteでもかつて触れましたが、『フレッシュプリキュア』は家族を真摯に描くことで、「家族を選ぶことができる」ということを描くことに成功した良作だったと私は思っています。子供向けアニメの場合、「行き過ぎた愛」について描くことはあるけれど、「そもそも愛されていない子供」を描くことは少なくなる傾向にあります。それはあまりにも辛いテーマなので。しかし、『フレッシュプリキュア』では、愛されようとしてボロボロになりながら戦った子が、そのまま父から捨てられてしまい、自分の「本当の家族」を探す様子が描かれていました。

 また、座古さんは『映画プリンセスプリキュア』公開後のインタビューで、没になった次のような映画ストーリー案を語っています。

 最初から「家族の愛情の話である」ということは軸になっています。ただ、パンプルル姫の設定がかなり違っていて。はじめのパンプルルは、「親の歪んだ価値観に育てられて分裂している子ども」だったんです。 (「当初の敵は「お父さん」と「お母さん」だった。映画「プリンセスプリキュア」監督に聞く」)

 残念ながら実際のストーリーは少し違う形になってしまいましたが、「家族」というものについて正面から考えている方なのだということが伝わってくるのではないでしょうか。加えて、「家族」だけではなく「社会」問題に関する感受性の強さも伺えます。同じく、映画に関するインタビューから。

──ウォープにこき使われる妖精たちの描写は、かなりブラック企業的なところがありますよね。
座古 本来であればみんな仲良く暮らしていけるのに、ウォープによってゆがめられてしまって、お互いを監視しながら過酷な状況に身を置いている……。絶望した妖精がゼツボーグになってプリキュアや妖精を襲うところもそう。世の中を広く見渡すと、ああいうシチュエーションって普通にあるじゃないですか。本当は手をつなぎ合わなくちゃいけない人たちが、お互い「あいつのせいだ」と指さしながら生きているさまっていうのは、非常に心苦しいと日ごろから思っているんです。
──たとえば、どういうことでしょう。
座古 いき過ぎた公務員バッシングや、生活保護バッシングでしょうか。生活保護に「なんで働いてないのにお金をあんなにもらえるんだ!」と怒る人がいるけど、「あなたがそんなに働いてるのに、それだけしかもらえない状況がおかしいんですよ!」。どこかにウォープみたいな存在がいて苦しめられているのに、それが見えていない。お互い本当は助け合わなきゃいけない人たちを指さして、お互いに首を絞めあっているっていう状況って、人間らしい生き方なんだろうか……? そういうモヤモヤした想いが僕の中にあって。この物語の中では、勇気を持って人々が立ち上がっていってほしいなと。まあ、僕は立ち上げた腰をそっと戻すみたいな生活をしてますけど……(笑)この物語の中では、そういう希望を描いてもいいのではないかと。
(「どうでもいいだろ! 目の前で人が死んでんだぞ!映画「プリンセスプリキュア」座古監督に聞く」)



 期待ポイント③:もう一人のシリーズディレクターは、『きんぎょ注意報!』『セーラームーン』『おジャ魔女どれみ』など数々の名作でディレクターをつとめてきた大ベテランの佐藤順一さん!


 そして、坪田さんや座古さんのアイディアをまとめあげて最高の作品にしあげてくれそうなのが、座古さんと共にシリーズディレクターをつとめる佐藤順一さん。

 佐藤さんが世に送り出してきた作品を挙げるときりがなく、どのような世代の人でも一度はお世話になっているはずです。その方がプリキュアのディレクターをやる………もうこれ期待するしかないですよね…?

 (こういう言い方をするのもあれなのですが) 強力なアイディアをもった人たちは、ともすれば暴走して空回りしてしまう危険性も同時に持っています。時折そういう不幸な作品に出会うこともあるのですが……今回の『HUGっと!プリキュア』は大ベテランの佐藤さんが入り、アイディアを咀嚼してくれることで、かなりバランス良くしあがった作品になるのではないでしょうか (勝手な妄想ですが)。そういうところも含めて、いまからワクワクがとまりません。


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 以上3点でした。考えれば考えるほど、期待が高まっていくスタッフ陣です!

 もちろん、ここで書いたことは期待と妄想でしかないし、実際にはプリキュアほどの作品になるとスポンサーをはじめとして様々な事情が絡んでくることになるので、まだまだどうなるかわかりません。

 ただ、上記のメンバーを見るとどうしても期待が膨らまざるをえないのでした……。みんな『HUGっと!プリキュア』みような!



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