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サンドボックスってなに?・実証実験の事例とともにご紹介

こんにちは!SIRU+の川﨑です。
突然ですが、サンドボックスという言葉をご存知ですか?

サンドボックス(sandbox)は日本語に直訳すると、「砂場」のことですが
IT用語における意味はプログラムの安全性を確認するためにコンピュータの中に設けられた「仮想環境」のことを指します。

セキュリティにおけるサンドボックスとは、ユーザーが通常利用する領域から隔離した、保護された空間のことです。 外部から送られてきたプログラムやファイルを実行する際、プログラムやファイルが不正な操作を行うものであったとしても、通常の領域からは隔離されているため、害を防ぐことができるという仕組みです。

NTTコミュニケーションズHPより


仮想環境なので、機能制限が設けられていたり外界から隔離されていたりして、何か起きてもなんとかなる環境っていうことです。つまりお試し環境っていうイメージですね。

「作っては崩し作っては崩し」ができる砂場の魅力

今回紹介するひろしまサンドボックスも、「思い切って試せる環境」という意味は同じで、「砂場」のように何度も試行錯誤できる実証実験の場です。
今日はSIRU+が採択された、「ひろしまサンドボックス」について書いていきます!

ひろしまサンドボックスが始まった背景

「広島県をまるごと デジタル・テクノロジーの実証フィールドに!」 

広島の工場夜景

広島県の産業は⻑い間「ものづくり」 が中心であり、化学・造船・自動車などの重工業の他 オンリーワン・ ナンバーワンの製品・技術を保有する企業も多数存在しています。

「ものづくり」中心に成⻑を続けた広島県。

IoT・AI・ビッグデータ等の新たな技術・ノウハウをビジネス環境に取り入れ成⻑エンジンとする「第4次産業革命」が世界的な潮流となって広がっている中で、
広島県内ではデジタル技術の導入が進んでいない、という課題がありました。
そして豊富なリソースを保有するという強みを活かすための取り組みとし「イノベーション立県」というコンセプトを掲げました。

「イノベーション立県」とは地方自治体がイノベーションを推進し、地域経済の活性化や地域課題の解決に取り組むことで、県全体がイノベーションによって発展することを目指す取り組みを指します。
具体的には新しい技術やビジネスモデルを活用し、地域産業の競争力を高めたり、地域の課題を解決するための取り組みを進めることで、地域の活性化を図ることです。

広島県が「イノベーション立県」に向けて実施している取り組みは3つあります。

・イノベーション・ハブ・ひろしま Camps
・ひろしまデジタルイノベーションセンター
・ひろしまサンドボックス

広島県HPより

今回ご紹介するのは「イノベーション立県」の施策の一つとして、2018年か始まった「ひろしまサンドボックス」です。

デジタル技術の普及のために誕生した「ひろしまサンドボックス」

ひろしまサンドボックスHPより

広島県の地域企業はデジタル技術の導入について、前例がないため「費用対効果がわからない」「導入するにも莫大な費用が費用がかかる」ことから進んでいませんでした。
導入するためにアレコレ手間をかけるならこれまで通りのやり方の方がいい、導入するにも人的・費用的にもコストがかかる、と新しい技術の導入は後回しになりがちですよね。

そこで広島県が「失敗してもいいからチャレンジを促したい」と3年間で10億円規模の予算を投じて始まったのが「ひろしまサンドボックス」です。
3年間で10億円という莫大な予算からも力を入れていることが伝わりますね…!

ひろしまサンドボックスのHPには、
「作ってはならし、みんなが集まって、創作を繰り返す、『砂場(サンドボックス)』のように何度も試行錯誤できる場」
とあります。

この言葉通り、ひろしまサンドボックスは試行錯誤できるオープンな実証実験の場です。
全国からさまざまなアイディアを募り、資金や実証フィールドといったチャレンジできる環境を提供しました。
「ひろしまサンドボックス」が開始した2018年当時に採択されたプロジェクトは9つ。そこから2019年にはパートナー企業(デジタル化を進めることができる技術を持つ企業)を中心に組織として新規ビジネスの生成にチャレンジする仕組みづくりを進め、パートナー企業と共に挑戦したい県内企業を募集し、実証の幅を取組を広げていきました。

SIRU+が採択された「D-EGGS PROJECT」について

イノベーション立県を進める一環として取り組んできた「ひろしまサンドボックス」。ネクストステップとして、2020年11月26日からスタートしたプロジェクトが「D-EGGS PROJECT」です。SIRU+が採択されたのはこのプロジェクトになります。

2020年といえば、新型コロナウイルスが流行し始めた年ですが、コロナが拡大すると地域にもそれに伴った課題が出てきました。
なるべく家から出てはいけない!という時期が続き、ここでリモートワークが広まったりもしましたが、リモートワークをするにもデジタル技術が必要となるので、リモート体制が整っていない企業はてんやわんやでしたよね…。

そこで、コロナ拡大によって出てきたさまざまな課題をデジタル技術を活用することで克服し、広島における「新しい日常」を構築・地域経済の活性化を狙うために始まったのが「D-EGGS PROJECT」です。

3密対策等が必須となった社会環境変化を踏まえて、オンライン化などの新しい生活様式や新しい価値観に適応するソリューション(製品・アプリ・サービス等)の提案を全国から広く募集し、アクセラレーションプログラムを実施することで、県内外のプレーヤーの共創によるプロトタイプ開発から県内フィールドでの実証実験
※アクセラレーションプログラム・・・短期間で事業を成長させるためのプログラム

D-EGGS PROJECT HP

ひろしまサンドボックスを進める中で、コロナ禍・コロナ以降の生活に合わせた取り組みとして始まったのが「D-EGGS PROJECT」なんですね。

D-EGGS
は、「DX」と「卵(eggs)」を掛け合わせた言葉で
このプロジェクトは企業や学生を含む個人と、幅広い方からのアイディアの卵を募り、起案者を支援するための技術やノウハウを持っている企業(パートナー・ベンダー)も募集し、マッチングしてアイディアを形にするための支援を行いました。

採択された企業には1件1300万円もの支援に加えて交通費や滞在費を最大1000万円もの支援を行うというこちらも思い切ったプロジェクトです…!(すごい金額…!)

そんなD-EGGS PROJECTのビジョンはこちらです。

「D-EGGS PROJECT」HPより

企業や個人のアイディアの卵を支援し、社会イノベーションシーズを創出・そして共創することで事業を成長させ、それにより産業や人材が集積し、集積した人材がさらに社会イノベーションのシーズとなる、という循環型のエコシステムを長期・持続的に作っていくことをビジョンとして実施されました。

※共創、というのは起案者1人で作るのではなく、起案者を支援するノウハウや技術を持った企業(パートナー・ベンダー)もチームとして一緒に取り組み、横のつながりも広げていくことを示しています。

自治体が実証実験の場を提供するワケ

広島県がここまで大規模なプロジェクトを行っていく上でのビジョンや内容は分かりましたが、どうして自治体が実証実験の場の提供を行っているのでしょうか?
自治体が実証実験の場を提供することで得られる価値はいくつかあります。

1.地域の課題解決に向けた取り組み
地域の課題解決に向けた取り組みを進めるために、先進的な技術やサービスの実証実験を推進し解決策を見いだすため。

2.民間企業や研究機関の誘致
実証実験の場を提供することで、民間企業や研究機関などを誘致することができます。その結果、地域経済の活性化や新たな雇用の創出につながることが期待されます。

3.地域のプロモーション
実証実験の場を提供することで、地域の魅力をアピール。例えば、スマートシティの実証実験を行うことで、先進的なまちづくりに取り組んでいることをアピールすることができます。

4.政策の実証と改善
自治体は、政策の実証実験を通じて、その効果や課題を把握し、改善に取り組むことができます。例えば、新しい政策を実証実験で試験することで、その効果や問題点を把握し、改善につなげることができます。

実証実験の場を提供することは、人を取り込んだり、地域の課題を解決する上でも有効な取り組みなんですね。

広島県の他にも日本の各地で、自治体が実証実験の場を提供する事例は他にもあります。

神戸市  urban innovation japan

北九州 北九州市DX推進プラットフォーム

横浜市 横浜スマートシティプロジェクト


SIRU+とフレスタの実証実験について


大好きなフレスタさん

SIRU+が採択された広島県事業「ひろしまサンドボックス D-EGGS PROJECT」。

全国391の応募の中から30件が採択され、その1つにSIRU+は選ばれました。

SIRU+はD-EGGSプロジェクトに参加し、広島人ならおなじみのスーパーマーケット「株式会社フレスタ」を協業相手に指名しました。

フレスタさんは会社の理念に「最上級の健康提案企業(ヘルシストスーパー)」になりたい、とあり、SIRU+と志が同じなので、小原も初めから「フレスタさんとやりたい!」と決めていたそうです。(溢れ出るフレスタさんへの愛)

実証実験詳細

検証時期:2021年7月20日~11月18日
対象店舗:フレスタ60店舗
対象人数:649人
検証項目:SIRU+の利用前後における、参加者の栄養摂取状況や健康意識、
購買意識、購買行動の変化を検証

概要

栄養管理アプリ「SIRU+」と、地域の健康を推進する「ヘルシストスーパーマーケット」を掲げている「フレスタ」が連携して、スーパーの購買履歴から栄養状態を可視化し、食生活の改善を目指す取り組みを行いました。

流れ

①フレスタのポイントカード「スマイルカード」を栄養管理アプリ「SIRU+」に連携
②フレスタ対象店舗で買い物すると、購買履歴が自動でアプリに取り込まれ、購入食材の栄養素を診断。
③アプリ上で不足栄養素を補える食材やレシピを提案
④フレスタと連携してキャンペーン等を行い、アプリ上だけでなく、スーパー店舗での訴求を同時に行い、健康軸でのタッチポイントの創出を図る

結果

  • 実証実験参加者の71%が、買い物時に栄養バランスを意識すると回答。買い物から健康を目指すきっかけ作りにつながりました。

  • 検証期間である4ヶ月間において、実証実験参加者の58% がSIRU+継続利用。一般的に、ヘルスケアアプリの継続率は1ヶ月半で15%(※)前後といわれているため、高い継続率であるといえます。※ サントリー 健康白書 2021より

  • 実証実験開始前後で購買された食品を比較したところ、くだもの、魚、卵・乳製品において、購買点数が増加しました。

  • 実証実験参加者の栄養摂取状況を可視化したところ、充足傾向にある栄養素と不足傾向にある栄養素があることが分かりました。

  • 実証実験を開始した7月の栄養摂取状況と、SIRU+を使い続けた10月の栄養摂取を比較したところ、ほぼすべての栄養素の摂取状況において、
    改善したという結果
    を得られました。

アプリを使っていただいた方の健康意識が改善されたり、栄養状態が改善されたという成果が出ました!非常に有意義な取り組みだったみたいですね。

こちらの成果報告会の様子は、D-EGGSのYouTubeにも上がっています。(SIRU+は39:46〜です)

ひろしまサンドボックスの公式noteでもご紹介いただいていますのでよろしければこちらもぜひ!


SIRU+はD-EGGSを経て、2022年度に「実装支援事業」にフレスタさんと一緒にエントリーしました。
こちらの実証実験はフレスタさんだけではなく、キヌヤさんというスーパーも一緒に取り組みを行なっています。

またnoteでご紹介しますね。

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