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道徳開き(リメイク授業のすゝめ)

さて、好評につき(?)道徳びらきの第2弾です!

実は、前回の記事では、教材を用いないパターンでの授業開きでした。

上のやつです。お時間がある方はぜひ前回の記事から読んでみてください。

「やっぱり、王道は教材を用いた授業開きでしょ!」
そのように思われた方はぜひ今回の記事を読んでみてください。

それでは、授業開き・・・レッツスタート!

授業開きでおさえること(理論編)

理論編とかカッコつけましたが、
やわらかい言葉で書いてみましたので
読んでいただけたら嬉しいなぁ・・・と。

はい。まずは前回の復習です。

  • その授業でつけたい力が子どもに伝わること

  • 学習のルールを確認すること

  • 「ワクワク感」を大切にすること!

この3つを大切にしていこうぜ!って話でした。

今回は、1つ目のポイントから派生させて
「そもそも道徳では『なぜ』同じようなことを何度も学習するのか?」
これを子ども達に考えさせる展開を目指していきます。

学年毎に学習内容が明確に異なる算数なんかは、
そんなことを問われるまでもなく分かりやすいんですよ。

算数の「数と計算」を例にすると・・・

1年生で足し算、引き算をして
2年生で九九をやって
3年生でかけ算の筆算をやって
4年生でわり算の筆算をやって
5年生で分数の足し算、引き算をして
6年生で分数のわり算をして

とまぁ、ざっくりとこんな感じで学年毎にやるべきことが明確で分かりやすいですよね。

では、道徳科の場合はどうでしょうか。
昨日に引き続き学習指導要領解説の力を借ります。
学習指導要領解説「特別な教科 道徳編」の内容項目の頁を見てみましょう。
今回は「親切、思いやり」について確認します。

学習指導要領解説「特別の教科 道徳編」より

このような感じになっています。
※ちなみに、学習指導要領解説はiPadのアプリGoodNotes5にダウンロードして使っております。気になったことはじゃんじゃん書き込めていい感じです!

GoodNotes5はいい感じ!

GoodNotes5に学習指導要領解説を入れておくとめちゃくちゃ便利です。

  • データだから、かさばらない

  • どこでも見ることができる

  • データだから気になるワードがあったら検索をかけることができる

こんな感じでいいことづくし!
しかも文科省のホームページに飛ぶとこれらは無料でダウンロードできますしね。

一応リンク貼っておきます。

すみません。話が少しそれてしまいました。
でも、大事なことなのでね。

さて、先ほどの「親切、おもいやり」について
もう少し整理したものが下の図になります。

拙著「おもしろすぎて授業したくなる道徳図解」より引用

自分の本からの引用で、誠に恐縮ではございますが(笑)

低→中→高と順を追って、レベルアップしていってることが分かりますね。
はい!ここ重要!テストに出ます!(道徳ではテストないですが・・・)

先ほど示した算数の例。

6年生で、1年生の内容を1時間かけてやることってないですよね。

6年生相手に
「はい。今日の授業は一桁の足し算をしま〜す!」
とか言った日には・・・
寒い親父ギャグを言った時なみに、寒い目で見られることは必死!

逆に、
1年生相手に
「え〜っと、今日は分数のかけ算をします。」
こう伝えても、チンプンカンプンでしょう。(ん?この言葉死語かな?)

そうです。逆転現象は基本的には起きないんですよ。

これ、道徳でも同じです!!

ここが抜け落ちると、(子どもにとって)面白くない授業になってしまいます。
6年生相手に「身近な人にする親切っていいよね〜」ってな感じの授業を展開したとしても、「いや、それ知っとるで!」となるわけですよ。

まぁ、実態によって多少前後することはあるとは思いますが・・・

リメイク授業の実践

お待たせしました。
前置きが長くなったしましました。

さて、ここからはリメイク授業の実践についてです。

リメイクって何でしょうか?
辞書(デジタル大辞泉)によると

1つくりなおすこと。もう一度つくること
2再び映画化すること。また、その作品。

デジタル大辞泉

このようになっています。
つまり、授業においては
「過去にやったことをもう一度やる」ということになります。

今回は6年生の授業開きで「はしのうえのおおかみ」を行った実践です。

そう。みなさんご存知だと思いますが、
「はしのうえのおおかみ」は1年生の教科書に載っている教材です。

それをあえて6年生でやってみました。

なぜ、6年生でもう一回やるのか。
なぜ、授業びらきで扱うのか。

この辺りは実践を読み進めていってもらえたら分かるかと思います。

T「今日から、道徳の授業が始まりますね。みなさんは、そもそもなぜ道徳を学ぶのでしょうか。」

スライドで示します

C「相手の気持ちを考える練習のため」
C「礼儀とかを身につけるため」
C「ためになるから」

T「なるほど。では、どうして毎年のように同じようなことを何度も学ぶのでしょうか?1年生で友達について学びました。2年生でも友達について学びました。3、4、5年生でも学びましたね。そして、6年生でも出てきます。それはなぜでしょうか?」

テンポよくいきましょう

C「大切なことだから」
C「それだけ、身につけて欲しいってことかな」
C「私たちの考えが変わっていくからでは?」

T「ほうほう。考えが変わったのかな?では、それを今から確認したいと思います。」
T「題して『はしのうえのおおかみ リメイク』です。」
T「みんなは『はしのうえのおおかみ』ってお話を学習したことを覚えているかな?」

(実際に手を挙げたのは数人でした。やっぱり忘れますよね・・・)

T「ちなみに、この『はしのうえのおおかみ』はみんなが1年生の頃に授業参観でやったやつだよ。先生がくまさん役でみんなにはおおかみ役をしてもらってさ。抱き抱えてはしを渡してあげて、気持ちを聞いたんだけどね。」
(実はこの時担任した子ども達は1年生の時にも担任した子ども達でした)

T「あの時は、『人に優しくするっていいなぁ』君たちはそんなことを言っていました。さて、今日はそこから考えが変わったのかを見てみたいと思います。」

教材を読みます。

教材を確認したい方は文科省の「わたしたちの道徳」のリンクを貼っておきますのでこちらで確認してみてください↓↓↓

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/doutoku/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/03/12/1344239_2.pdf

さて、ここで一つ目の発問です。

みなさんならどっちになりたいですか?

こんな発問をしてみました。
ポイントとしては

  • 最初はいじわるをしていたけれど、くまさんに親切にしてもらい「親切」の良さに気がついて、変わることができた「おおかみ」

  • 最初から「親切」をしていた、お手本のような「くま」

ただし、この発問はかなり自己開示を伴いますので、
クラスの実態によっては
「おおかみ」と「くま」とどちらが素敵だと思いましたか?
と客観視できるようなものに変えてもよいと思います。

さて、2択の発問にしたのには訳があります。
授業開きということで、子ども達はまだまだ硬さが取れていません。

そこで2択にすることで、発言のハードルを下げて「誰でも参加できる」というスタイルにしたというわけです。
ネームプレートを使って、黒板に貼りにこさせました。
今だったらICT端末を使っていたかもしれません。

以下こんな意見が出ました。

〈くま派〉

  • 親切を教えたのがいい

  • 人の気持ちを動かす力がある

  • 自分から親切にしているのが素敵

〈おおかみ派〉

  • 反省して真似をするのがいい

  • 自分のやるべきことが分かったところがいい

  • 行動が変わるのが素敵!

この時点で1年生の頃に学習したものより、かなり深くなっていますが、せっかくなので、そこから発問を追加していきます。

T「ところで、くまが親切にしていたのは、おおかみだけかな?」
C「う〜ん、おおかみさんに親切にしたくらいだから色々な動物に親切にしたんじゃない?」
T「例えばどんな動物?」
C「ゴリラとか・・・」
C「リス!」
C「サルかな」

T「じゃあ、くまに親切にしてもらったおおかみはどうかな?うさぎ(物語に出てくる)以外の他の動物にも親切にした?」
C「リスとかにも親切にしたんじゃない?」
C「サルとか?」

C「あっ!」
(ここで何かに気づく子ども達)
C「親切にしてもらったサルは自分より小さいネズミに親切にしたんじゃない」
C「そのネズミはアリに親切にしたかもね。」

T「おもしろい気づきだね。」
T「オオカミはこの話の後、親切になったかな?」
C「親切にする良さに気がついたからなったのでは?」
C「う〜ん。でも、難しいかもしれないなぁ」
(以下、話し合いは続きます。)

ここで、さらに別の視点でお話しをします。

T「こうやって、お手本を見せることができる、『くま』って、最高学年である君たち6年生と似ているよね。」

C「うん。確かにそうだなぁ。」
C「あっ!ってことはおおかみは1年生じゃない?」
T「え?何で?」
C「だって、教えてあげたらできるようになるじゃん」
C「だったら、うさぎさんは幼稚園の子だね。守ってあげなきゃだし。」

いかがでしょうか?
視点を変えるような発問・・・(というかこの場合は投げかけと言ったほうがいいでしょうか。)をすると、子ども達から面白い考えがどんどん出てきます。

これが道徳の醍醐味でしょう。

そして、学習の最後の発問です。

もう一度「親切」について考えます。

ここでの、子ども達の考えが素敵でした。

ここは、実際の板書を見てもらいましょう。

挿絵、ネームプレートは諸事情で隠してあります。

ここまで、きたら最後に確認です。

T「どうだった?1年生の頃と考えが変わっていたと思う人は挙手!」
(全員手が挙がります)

道徳の授業(同じ内容目)を学年が変わっても、何度もやる意味を全員で実感して、授業開き終了となりました。

※なお、この子達に関しては、持ち上がりだったため、ノートの使い方などは割愛しました。

いかがだったでしょうか?
教材を普通にやってみてもいいですが、
高学年だったら、リメイク教材というやり方を通して
「何度も同じことを学習する意味について考える」
ということにも目を向けるのが面白いのではないかという提案でした。

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!

(なんだかんだで今回も4000字オーバーになってしまったことをお詫びします。長いよね・・・)

きっと、あなたはもう道徳大好きメンバーの一員です。

最後に、その道徳大好きの気持ちでポチッとスキを押しておいてもらえると次回作を書く励みになります!

それでは、道徳開きを楽しんでくださいねー!

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