見出し画像

アニメ"カイバ"感想-男の下心は愛になり得るか-


前の記事でカイバの感想を書こうとしたら脱線しまくったので後半として書いていく。


全体を通しての感想

アニメ全体を通しての感想は、第1話と第2話で世界観とか設定とかに物凄くワクワクして、第3話から第5話で家族愛とか記憶にまつわる物語にめちゃめちゃ感動して、第7話でのバニラが切なくて、後半一体どんな展開を迎えるんだ!?!?

と、高まっていた興奮は徐々に冷めていき、最後は惰性で見てしまいました…。

多分、全12話で全てを丁寧に解説するには広大すぎる設定で、描ききれなかった部分があったのだと思う。

富裕層の人たちについてとか、オープニングで説明されてた嫌な記憶を抜き去って楽しい記憶を入れる話とか出てこなかったし

後半のメインキャラたちワープ、ネイロ、ポポ、チェキ、キチ、サテの行動の理由となる部分の説明が少なくてどうにも消化不良だった。


結末についての感想

エンディング部分では、幼少期に母親に毒を盛られたチビワープの心のしこりはそのままに、ワープが「お前は俺だ!」と認め、ネイロが「ワープがいなきゃ嫌だ!」と告白したことで二人は結ばれたわけだけど

権力闘争から守るための愛だったとはいえ、毒を盛られたチビワープの傷は癒えないだろうなと思う。癒えない傷もそのまま認めましょうっていうのがインナーチャイルド癒して世界平和ってことなんだろう。

この辺の構造は「クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」と似てるけど、今回の場合そんなにちびワープ癒えました認めましたって感じではなくて、ネイロとワープの恋愛感情のみで結末を迎えた感じがする。

二人が恋仲になったきっかけもそんなに強くないし、この世界は二人の恋愛に振り回されてこんなになっちゃったの!?って思うと釈然としない。


下心は親子愛を超えるのか

とまあ作品に対して消化不良な気持ちを吐き散らかすのはここまでにして。

カイバでは、記憶や体をテーマに様々な愛のかたちが描かれている。

親子愛、夫婦愛、兄弟愛、そして男女愛。

物語を大きく動かしているのは親子愛と男女愛だったが、とりわけ心を動かされたのはバニラとクロニコの話だった。

クロニコは家族想いでめちゃくちゃ可愛い少女。それに一目惚れしてしまうのがブ男のバニラ。下心丸出しでクロニコに接近したけど最終的に命を投げ出してまで彼女を助け出した男気溢れる奴。



でもバニラが好きになったのはクロニコの体だけで、中身は男のカイバなんだよね。この辺もまた面白い。

女の子を見た目で好きになってそれを愛情と履き違えてしまうのは男の性だと思っているから、バニラにはすごい共感できる。

さらにバニラは母親の記憶チップを持っていて、母に新しい体を買ってあげるために頑張っていたんだけど、それすらクロニコのために諦めちゃうんだよね。

「完全に見た目のみで女性を好きになった男の下心は愛情なのか」という命題に対して、母親と自らの命を捨ててまでクロニコを助けてしまったバニラの行為は愛か、はたまた只の向こう見ずか…胸が苦しくなる話だった。

ぜひ女性からの意見を聞きたいところです。バニラ、ばっさり切られるだろうなw


おわりに

カイバは総じてメインキャラクターの話は感情移入ができず、周辺の、クロニコとバニラの話とか、第5話のツギハギの猫と犬の二人とか、そっちの方に心が動かされた。

それにしてもひょーひょーに入れられたオリジナルネイロの人格は最後までないがしろにされすぎてない!?とも思った。作者陣すらもひょーひょーの見た目に騙されて雑に扱ってない!?みたいな。

そんな感じで、見た目と心について考えさせられて自分の下心の切なさを実感した作品でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?